緒方智絵里「小さな幸せ、見つけたみたい。」
これは、幸せを探す少女達のおはなし。
加蓮「智絵里?」
智絵里「あ、加蓮ちゃん…お疲れ様ですっ」
加蓮「うん、お疲れー。何してるの?」
加蓮「って、見れば大体予想はつくんだけどさ」
智絵里「四つ葉のクローバーを探してるんです」
加蓮「やっぱり。」
智絵里「でも、なかなか見付からなくて…加蓮ちゃんは今、帰るところですか?」
加蓮「ううん、上の方でゆっくりしてたら、中庭に可愛い子がいるなーって思って。ちょっと様子見に?」
加蓮「あー、無自覚かー。きょとんとしてるとこも可愛いけど。ふふっ」
智絵里「?」
加蓮「で、クローバー探しだっけ。私も時間空いてるしさ、一緒に探してもいい?」
智絵里「え…?でも、特に面白くはないっていうか、その…退屈かも…ですし」
加蓮「なら、探す手が増えた方が短い時間で済むかも知れないし。こんなとこでずーっと風に当たってると、風邪ひいちゃうよ?」
智絵里「それは…そうかも、です…でも」
加蓮「うん、決まり。私が先に見つけて、智絵里にプレゼントしてあげる」
智絵里「な、なら私も頑張って探しますっ。見付けたら、加蓮ちゃんにプレゼント、します」
加蓮「おっ。じゃあ競争だね。」
智絵里「は、はいっ。頑張りますっ」
加蓮「負けないよー。ふふっ」
二人で、広い中庭のクローバー探しが始まりました。
見つかるといいなあ…。
加蓮「こっち……これも違う…」
加蓮「意外と見付からないね…智絵里はいつもどうやって探してるの?」
智絵里「えっと…最初の一枚を見つけると、そのまわりに何枚か生えてたりするんですよ」
智絵里「四つ葉のクローバーは、仲良しなので」
加蓮「へーえ…じゃあ、まずは最初の幸せを見つけなくちゃね。」
智絵里「最初の幸せ…」
加蓮「智絵里?」
加蓮「日陰とか水辺…じゃあこの辺りはダメかな、日当たり良さそうだし。木の影とか、どうかな」
智絵里「うーん…こっちより…向こうの木の方が、見つかるかも…?」
加蓮「どう違うの?」
智絵里「あっちは人がよく通るところなんです」
智絵里「四つ葉のクローバーは、踏まれたり、傷付いたりして出来ることがあるので…」
加蓮「流石に詳しいね、クローバー博士だ」
智絵里「は、博士だなんて…えへへ、照れちゃいます」
智絵里「それは…えっと」
智絵里「さっきも言いましたけど、四つ葉のクローバーは仲良しなので…たくさんとっちゃうと、お友達が減っちゃってかわいそうかな、って…」
加蓮「智絵里…」
智絵里「結局摘み取っちゃうから同じかもしれないんですけど…どうせ見つけてあげるなら、一人ぼっちで寂しそうな子を、探してあげたくて」
加蓮「そっか。…じゃあ、私もやっぱりこの辺りを探してみるよ。一人ぼっちでいるの、辛いしね」
加蓮「私達がその四つ葉のクローバーを見付けたら、もう一人ぼっちじゃなくなるもんね」
智絵里「加蓮ちゃん…あ、ありがとうございますっ」
加蓮「お礼は早いでしょ、ほら、頑張って見つけてあげなくちゃ」
智絵里「あ、そうですね…頑張らなくちゃ」グッ
智絵里「あ、ポットに暖かいお茶、入ってますよ」
加蓮「本当?わー、実は結構喉からからでさ…」
智絵里「今、準備しますね。えっと、紙コップですけど」
加蓮「大丈夫だよ。気を使わないで…って、遣わせちゃってるの、私か」
智絵里「そんなことないですよ?加蓮ちゃんがいてくれると、お話できるので…はい、どうぞっ」
加蓮「ありがとー。…あ、いい香り」ゴクッ
加蓮「…ふう…何だか落ち着く感じ。ハーブティーかな、烏龍茶?」
智絵里「レッドクローバーのお茶なんです。お肌にいいんですよ」
加蓮「あ、出てきた。…ふーん、アカツメクサって言うんだ…美容や健康にいいみたいだね」
智絵里「クローバーのお茶、って言うので興味がわいて、ちょっと試してるんです。最近飲み始めたんですよ」
加蓮「なるほどね…。ほんのり甘い烏龍茶って感じだし、言われなきゃクローバーだなんて気付かなかったかも」
智絵里「私も、あ、烏龍茶だ…って思いました」
加蓮「智絵里もか~。ふふっ、そこはひと口飲んで、これは…クローバーの味がします…って」
智絵里「ふふっ、ふふふふ、加蓮ちゃんは私を何だと思ってるんですか」
加蓮「ん~、クローバーの妖精さん、とか」
智絵里「も~。からかわないでくださいっ。ふふふ。」
智絵里「あ、いたずらはめっ、ですよ。チョップですっ」
加蓮「おお、久しぶりに見た。ちえりんチョップ」
智絵里「私も久しぶりに言いました…チョップ…」
加蓮「ぷっ」
智絵里「…ふふふふ。」
あはははははは………
加蓮「智絵里、そろそろ切り上げないと。」
智絵里「うーん…でも、多分この辺りに…」
加蓮「勘ってやつ?そう簡単には…」
四つ葉「………」ソヨソヨ
二人「「あっ」」
智絵里「あった…」
加蓮「四つ葉のクローバー…本当に…」
智絵里「…………」
加蓮「智絵里?」
智絵里「………加蓮ちゃん、あの…」
智絵里「えっ?」
加蓮「この四つ葉のクローバーは、摘まないでそのままにしていこう……でしょ」
智絵里「あ……」
加蓮「私もね、今さら摘んじゃうの、かわいそうかなって。それに…」
智絵里「楽しい時間なら、もう二人でいっぱい過ごしましたし、ね。」
加蓮「うん。そういうこと。やっぱり同じだったか」
智絵里「きっと、このクローバーが小さな幸せをわけてくれたんだと思います。それに、ほら。」
智絵里「お友達が、ここにも。あそこにも。たくさん隠れてます」
加蓮「本当だ…あー、何で気が付かなかったんだろ」
加蓮「…だね。んーっ…!」ノビー
智絵里「今度、またここで四つ葉のクローバーを探しませんか?たくさん、お友達を見つけてあげなくっちゃ」
加蓮「お、いいね。じゃあその時は、ユニットの皆も呼んでこよっか」
智絵里「いいですね。それじゃあ、お茶をたっぷり用意しておかなきゃ」
加蓮「李衣菜あたりに、これ、何のお茶でしょうか?なんてクイズ出してみるの、どう?」
智絵里「加蓮ちゃん、いじわるな顔しちゃってますよ?」
加蓮「智絵里もね。ふふふっ」
加蓮「プロデューサー。」
智絵里「お疲れ様ですっ」
P「お疲れ様。二人してクローバー探しかな」
P「四つ葉、見つかったのか?」
加蓮「ううん、それよりもっといいもの」
智絵里「見つけちゃいましたっ」
P「お、なんだなんだ、いたずらっ子の顔して」
智絵里「ふふっ。」 加蓮「なーいしょ。」
P「うん?何だよ、気になるなあ」
加蓮「今度はプロデューサーも混ぜてあげるから♪」
P「ーーー。」
遠ざかる二人。
追いかける前に、私はもう一度だけ。
智絵里「またくるね、四つ葉のクローバーさん達。」コソッ
四つ葉「………」ソヨソヨ
加蓮「智絵里~~っ」
智絵里「あ、はーいっ!」
小さな幸せ、見つけたみたい。
おしまい。
秋の話には少し早いですが、まったりしていただければ幸いです。
ではお目汚し、失礼をば。
ちえりん可愛い……ただただ可愛い
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タイトル:緒方智絵里「小さな幸せ、見つけたみたい。」
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