フォローお願いします٩(๑´0`๑)۶

スポンサードリンク

伊吹「奏に恋愛映画見せたらガチ泣きされた」

THE IDOLM@STER

1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/10/13(月) 20:06:56.93 ID:gojQLelf0

モバマスSSになるよ

速水奏「失敗だらけのリップスティック」の蛇足すぎる後日談

速水奏(17) キス魔

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1413198406


2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 20:09:09.41 ID:gojQLelf0

[伊吹の部屋]

奏「……ふぅ」

伊吹「はぁ……相当久しぶりに観たけど、やっぱりいいねえ」

奏「本当に。不朽の名作ね」

伊吹「ちなみにコレ観るの何回目?」

奏「さあ……かなりの回数になるはずだけど」

伊吹「アタシは高校くらいのときに一度観たっきりかなあ」

 

3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 20:10:39.49 ID:gojQLelf0

奏「前置きが長いから何度も見ない人が多いみたいね」

伊吹「あー、わかる。最初のあたり飛ばしそう」

奏「前置きがあってこそのカタルシスなのに。勿体ない」

伊吹「前から思ってたけど、奏ってこういうの好きだよね」

奏「こういうのって?」

伊吹「こうさ、いっぱい苦しいこと辛いことがあって」

伊吹「でも最後は愛が勝つ!ハッピーエンドです!みたいなの」

奏「…確かに、そうかも。いい気分で見終われるのは好きね」

 

4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 20:13:55.54 ID:gojQLelf0

伊吹「だよね!ならきっと、アタシの選んだコレも気に入るはず!」

伊吹「ささ、次いこ次?♪」

奏「……ちょっと待って。そのパッケージ、アレでしょ」

伊吹「んー?」

奏「恋愛映画」

伊吹「うん、そうだよ?」

奏「……私が苦手なの、知ってるわよね?」

伊吹「大丈夫大丈夫、奏ならきっと気に入るから!」

奏「……」

 

5: 文字化けェ!! 2014/10/13(月) 20:15:09.21 ID:gojQLelf0

伊吹「だよね!ならきっと、アタシの選んだコレも気に入るはず!」

伊吹「ささ、次いこ次~♪」

奏「……ちょっと待って。そのパッケージ、アレでしょ」

伊吹「んー?」

奏「恋愛映画」

伊吹「うん、そうだよ?」

奏「……私が苦手なの、知ってるわよね?」

伊吹「大丈夫大丈夫、奏ならきっと気に入るから!」

奏「……」

 

6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 20:15:49.80 ID:gojQLelf0

伊吹「ほら、コレ話題作だったし、話のタネにもなるじゃん?」

奏「はぁ…」

伊吹「やーもー、そんな怖い顔しないで、さ!」

奏「途中でギブアップしてもいい?」

伊吹「えー、ダメダメ!次回は2本とも奏が選んでいいから!」

伊吹「だから今日はアタシに付き合うと思って、ねっ?」

奏「……面白くなかったら、ひどいわよ」

伊吹「おっ、そうこなくっちゃ!」

 

7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 20:16:25.88 ID:gojQLelf0

奏「休憩は挟ませてよね。胸焼けしたりするから」

伊吹「よっしゃ!やー、一人で恋愛映画鑑賞って結構寂しくてさ」

奏「……いつも一人で観てたの?」

伊吹「うん。一時期は沙紀捕まえてたんだけど、逃げられちゃって」

奏「……沙紀に同情するわ」

伊吹「えー、奏もそれ言う?」

奏「私が犠牲者二号ね。きっと短命よ」

伊吹「まあまあ、そう言わずに。さっ、観よ観よ~♪」

 

8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 20:50:15.78 ID:gojQLelf0

・・・
・・

伊吹「はー……どうだった?」

伊吹「実は奏がこれ観てどう思うか、前から一度聞いてみたくて……さ…」

奏「……」

伊吹「……」

 

9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 20:50:44.09 ID:gojQLelf0

伊吹(……え?)

奏「……」

伊吹(え?ええぇ?)

伊吹(か、奏が)

奏「…ヒグッ……………グスッ……」

伊吹(ひ、膝抱えて泣いてる……)

 

10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 20:51:20.36 ID:gojQLelf0

伊吹「か、奏?大丈夫?」

奏「……ん…………グスッ…」

奏「…ごめん、えっと……何?」

伊吹「あー、えーっと、感想とか聞いてみたいなーと思ったんだけど……」

奏「うん、感想………グスッ、感想、ね……グスン」

伊吹「あ、落ち着いてからでいいよ?」

伊吹「……あー、ちょっとタオル蒸かして持ってくるから。うん、うん」

奏「っ、グスッ…………ごめん、ありがと……」

 

11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 20:54:15.16 ID:gojQLelf0

伊吹(え、何、何、ヤバっ!あれかなりマジ泣きだよね!?)

伊吹(うわ、うわー…確かに感動作だけど、まさかぼろぼろ泣くとは……)

伊吹(『演出はよかったんじゃない?演出は』みたいな感じだと思ってたのに)

伊吹(……これは恋バナが弾むね、うん、間違いない!)

伊吹(へへへ、楽しみ楽しみ♪)

伊吹(電子レンジ早くしろーい♪)

チーン

 

12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 20:54:50.93 ID:gojQLelf0

伊吹「ほーい、お待たせー。熱いから気を付けてね」

奏「ありがとう……ん、いい香り」

伊吹「でしょ?蒸しタオル用の芳香剤があってさ」

奏「凝ってるわね。いい気分転換になりそう」

伊吹「アタシの数少ないスキンケアの一つだからね!」

奏「ふふ。アイドルにあるまじき発言」

伊吹「肌に合わないことはしない!無理しても続かない!」

奏「伊吹ちゃんらしいわね。その通りだけど」

 

13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 20:58:28.67 ID:gojQLelf0

伊吹「で、で!!映画、どうよ!」

奏「……良かったわ。最初のあたりはベタベタな恋愛で、苦手だったけど」

伊吹「けど?」

奏「素敵じゃない。ああいうの」

伊吹「おー!」

奏「時間も距離も立場も乗り越えて、初恋の相手に戻るなんて…ね」

奏「結局やってることは浮気だから、褒められたものじゃないけど」

伊吹「確かに。美談に見えて、婚約者はポイだもんね」

奏「……でも、悪くない、って思えちゃうのよね」

伊吹「そうそう!観てる最中はそんなことほとんど考えないもん」

 

14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 20:59:03.69 ID:gojQLelf0

伊吹「忘れられない初恋!ふとしたことから燃え上がる想い!!……憧れるよねぇ」

奏「……ね。立場も家もかなぐり捨てて恋に走って」

奏「相手も腕を広げて受け入れて愛してくれて、最後は幸せに添い遂げる」

奏「…それこそ夢物語みたいな都合のよさだけど。少し憧れるわ」

伊吹「おー……まさかここまでノってくれるとは……」

奏「……何よ」

 

15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 20:59:40.69 ID:gojQLelf0

伊吹「や、この映画さ、奏に合うと思ってのチョイスなんだ。当たりでしょ?」

奏「そうね。よかったわ」

伊吹「でもさ、クライマックスのキスシーンの演出とか?」

伊吹「いろいろあったけど最後は奇跡的に添い遂げるストーリーとか?」

伊吹「その辺は奏の趣味だし、恋愛云々が苦手でも楽しめる、って考えでさ」

伊吹「でも、いやー、恋愛の部分もちゃーんと観て、楽しんでるじゃん!」

伊吹「奏ってああいう純愛路線が好みなんだねー。うん、うん」

奏「……」

 

16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 21:00:20.41 ID:gojQLelf0

伊吹「じゃあさ、次はベッタベタに甘いのとか」

奏「伊吹ちゃん」

伊吹「ん?」

奏「こういうの、苦手なのよ。これは本当」

伊吹「ふーん、へぇー」

奏「いつもは耐えられないの。大体途中で観るのやめちゃうくらい」

伊吹「いつもって?」

奏「え?」

 

17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 21:01:25.81 ID:gojQLelf0

伊吹「恋愛映画観るの、いつ振りくらい?」

奏「……相当、ね。一、ニ年くらいずっと避けてた気がする」

伊吹「ほーん?ふぅーん?」

奏「…何よ」

伊吹「んー、その一年の間に何があったのかなーってねー?」

奏「……」

伊吹「ああいうベタな展開にそこまで感情移入してたってことは…」

 

18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 21:02:13.42 ID:gojQLelf0

伊吹「奏ー?最近、素敵な恋愛したでしょー?んふふ」

奏「……失敗した」

伊吹「んんー?」

奏「やっぱり恋愛映画なんて、観るものじゃないわね…」

伊吹「いやいや、いいよいいよ、恋愛について饒舌な奏ちゃん面白かったよ?」

伊吹「ほーれほれ、お姉さんに話してみ?恋バナしようぜ恋バナ♪」

奏「はぁ…」

 

19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 21:02:54.07 ID:gojQLelf0

伊吹「ほらほら、相手は誰?学校?業界の人?」

伊吹「あ、もしかしてー…Pだったり?あははっ」

奏「…っ」

伊吹「……え?マジ?」

奏「…………ああ、もう…」

伊吹「ちょ、聞かせて聞かせて!」

奏「……誰にも、絶っ対に話さないで」

伊吹「うん、うん!話さない、話さない!」

 

20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 21:04:19.29 ID:gojQLelf0

奏「……事務所に入ってしばらくの頃。結構思い切ったことをしたのよ」

伊吹「おー、おー、なになに、アタシと会う前?」

奏「そうね。……端的に言うと、告白したの。Pさんに」

伊吹「えっ」

奏「それで、振られたわ」

伊吹「え、ちょっと待って、端折り過ぎ!もっと詳しく!」

奏「ライブ後の帰りの車でね。初めて会った時から好きでした、って」

伊吹「そうだったの!?」

奏「告白するときに嘘ついてどうするのよ」

伊吹「あ、うん、そうだけど……」

 

21: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 21:05:35.36 ID:gojQLelf0

伊吹「で、Pにフラれた?マジ?」

奏「そう。嬉しいけど応えられません、って」

伊吹「えぇ……直球勝負?」

奏「バカみたいに直球。ちょっと昔話して、告白しただけ」

伊吹「その時は勝算があったとか?」

奏「無し」

伊吹「えーっ、嘘だ、嘘、嘘!」

 

22: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 21:06:49.46 ID:gojQLelf0

奏「本当。……Pさんとの関係を一度清算したかったのよ。だから、ね」

伊吹「清算って?」

奏「Pさんが私の扱いに困ってたの。最初はよかったんだけど、耐えられなくて」

伊吹「…何したん」

奏「やたらめったらキスしてたのよ。今じゃ黒歴史」

伊吹「や、やたらめったらって」

奏「それこそ隙と機会があれば、くらいの勢いで」

奏「……こうして口にしてみるとホント、バカね」

伊吹「うへぇー…」

 

23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 21:08:11.04 ID:gojQLelf0

奏「そうやって好意を伝えようとしてたんだけど、完全に一方通行」

奏「伝わるどころか、Pさんにはただのキス魔だと思われてたのよ」

伊吹「あー……確かに、奏のキャラだとからかわれてると思うかも」

奏「だから本当に『告白』。全部話して、わかってもらいたかったの」

伊吹「へぇ……で、ダメ、かぁ……えぇー……」

奏「……なんで伊吹ちゃんががっかりするのよ」

 

24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 21:09:02.15 ID:gojQLelf0

伊吹「えーっ、だってさ、そういう告白ってすっごく勇気いるじゃん」

奏「……そんなこと」

伊吹「いやいや、あるっしょ!純に直球って、普段のキャラじゃないじゃん!」

伊吹「一代一世の大決心でしょ、絶対!」

奏「……もう決着ついたことだから」

伊吹「かもしれないけどさぁ……何、もうすっぱり諦めついた感じなの?」

伊吹「普段一緒にいる時間長いのに、諦めるとか難しいというか無理じゃない?」

奏「……そう、ね」

 

25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 21:09:47.59 ID:gojQLelf0

伊吹「えーっ、やだやだ、何、なんかないの?」

奏「やだ、って言われても…」

伊吹「Pも奏レベルの子にキスされまくって、落ちないはずが…」

伊吹「そうそう、なんかそういう話ないの!?」

奏「そういう話?」

伊吹「Pからいい反応があったとか……あ、仕返しに逆にキスされた、とか!」

奏「…………なくはない、けど」

伊吹「えっ、マジ、あんの!?」

奏「…二回だけ」

伊吹「二回?キス?」

奏「……キスよ」

伊吹「おおー……キスし合った仲なんだ……」

 

27: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 21:10:48.94 ID:gojQLelf0

奏「……Pさんからされたのは、振られた後なの」

伊吹「……えっ、なにそれ?奏の好意を弄んで更なるドロドロが!的な展開?」

奏「あの人はそんなことしない」

伊吹「あ、うん。えっと、ご、ごめん?」

奏「そもそも童貞だし」

伊吹「ぶふっ、え、あ、そうなんだ」

奏「だから無神経に優しくするし、デリカシーが足りないのよ。もう」

伊吹「そ、そうなん?へ、へぇー」

 

28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 21:11:48.73 ID:gojQLelf0

伊吹「えっと、つまりどゆこと?」

奏「……複雑なのよ。いろいろと」

伊吹「じゃあ順追って話して、ほらほら!」

奏「…はぁ。本当、恋愛映画なんて観るものじゃないわね……」

伊吹「いいじゃんいいじゃん、アタシがキューピッドになるかもよ?」

奏「別にいらないわよ…」

伊吹「いいから、ほら!どういうこと、フラれた後にキスされたって」

奏「……そう、ね。一回目は…」


・・
・・・

 

29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 21:14:57.66 ID:gojQLelf0

[ライブ中 控室]
ワーワー

奏「……すごい歓声」

奏(今の時間帯は……珠美ちゃんね。私は、あと15分くらい……)

奏(衣装、髪、メイク……うん。いつでもいける)

奏(歌は……大丈夫。いつもレッスンでやってる通り)

奏(体が全部覚えてるから、私は魂を込めるだけ)

奏(いつも通り、いつも通り……)

ブルッ

奏「っ、ああっ、もう……!」

 

30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 21:15:35.92 ID:gojQLelf0

奏(あの夜から、こんなことばっかり)

『応えられなくて、ごめんな』

奏(大丈夫、失敗しない、上手くできる、できるはず…)

奏(………っ、あ、い、息……)

奏(深呼吸、深呼吸……落ち着いて、切り替えて)

奏(ステージに集中、集中、深呼吸、深呼吸……)

奏(……うん、大丈夫。意識を変な方向に傾けなければ…)

P『奏ー、入るぞー』

ガチャッ

奏(……最悪。今は一番会いたくないのに)

 

31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 21:18:17.98 ID:gojQLelf0

P「奏、あと10分でスタンバイ……大丈夫か?」

奏「…大丈夫よ。ちょっと瞑想してるだけ」

P「そっか。じゃ、静かにしてるな」

奏「…」

奏(大丈夫、学校と同じ。仮面を被れば、やりすごせる)

奏(私たちは舞台俳優、人間の真逆)

奏(頭を空にして舞台装置になる)

奏(切り替えて、切り替えて……)

奏(……よし)

 

33: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 21:18:41.95 ID:gojQLelf0

奏「……大丈夫よ。何?」

P「あ、そのまま。後ろ髪ちょっと跳ねてる」

奏「…ん。ありがと」

奏「でもPさん、髪は女の命なんだから。そんなに気安く触っちゃダメよ?」

P「まあ、ステージ直前なんだから許してくれ。衣装は…OKだな」

奏「メイクもばっちりよ。唇はどう?」

P「はは、調子はいつも通り……うん?」

 

34: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 21:19:26.69 ID:gojQLelf0

P「……奏?」

奏「何?」

P「……大丈夫か?」

奏「ふふ、チェックしたばっかりでしょ?あ、それとももっと近くで…」

P「奏」

奏「何?」

P「…いや、なんでも……うん。しっかり頼むぞ」

奏「もちろん。完璧にこなしてみせるわ」

P「おう、楽しみにしてる。何かあるなら今のうちにな」

奏「…何よ」

 

35: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 21:21:13.96 ID:gojQLelf0

P「いや、ちょっと翳がある気がしてさ」

奏「……さっきから言ってる通り。大丈夫」

P「ならいいんだけど。……俺が気にし過ぎなだけ、だよな」

奏「……っ」

P「まあ、できることがあればなんでもするから。気兼ねなく言ってくれると…」

奏「だからっ…!」バンッ

P「うおっ!?」

奏「大丈夫だってば!いいから、出て行って!!」

P「え、ちょ、どうしたんだ急に、」

奏「私は…っ」

 

36: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 21:21:45.11 ID:gojQLelf0

奏「……っ……」

奏「…なんでもないわ。ごめんなさい。気が立ってるのよ」

P「……」

奏「こんな大きなステージで失敗したくないもの。わかるでしょ?」

奏「大丈夫。緊張はするけど、本番はしっかりできるから」

P「そう、だな。そこは信頼してるよ」

奏「秘訣があるのよ」

P「さっきの瞑想?」

奏「そう。ポジティブなセルフイメージ。失敗しない、最高の自分を描くのよ」

P「…………」

 

37: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 21:22:20.92 ID:gojQLelf0

奏「……だから、お願い。ステージに集中させて」

P「そっか。俺にできること、何かあるか?」

奏「一人にさせて」

P「……わかった。奏、あのさ」

奏「何」

P「失敗するのも、悪いことばかりじゃないぞ。次の一歩を踏み出したら、案外…」

奏「わかってるから、やめて」

 

38: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 21:22:48.33 ID:gojQLelf0

奏「……まだ、あの車の中から一歩を踏み出すのは難しいの」

P「……」

奏「だから、今は忘れたフリをして進むしかないのよ」

P「…ごめん」

奏「っ、やめてってば。謝ったからって、何も変わらないでしょ」

奏「少し時間と距離が必要なのよ。本調子じゃないのは私が一番わかってるから」

P「……」

 

39: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 21:23:40.19 ID:gojQLelf0

奏「最近ね、たまに思うの。アイドルにならなかったらどうなってたのか、って」

奏「Pさんと出会って、その時点で自分の気持ちに気付いて」

奏「……それでも、失敗してたかもしれないけど。もっとマシな結果だったかもしれない」

P「…アイドルの道を選んだこと、後悔してるのか?」

奏「…貴重な経験ができてる、とは思ってるわ。でも、それとこれは別」

P「……そっか」

 

40: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 21:24:39.31 ID:gojQLelf0

奏「お願い。今は構わないでいてくれるのが、一番ありがたいの」

奏「お察しの通り、心に影が落ちてる。でも、やれるから」

奏「……だから、切り替えてステージに挑ませて」

P「わかった。その前に、襟」

奏「……これで大丈夫?」

P「直せてない直せてない。こっち向いて」

奏「はぁ……はい。ホント、こういうところが…」

 

41: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 21:25:29.60 ID:gojQLelf0

・・・
・・

奏「で、近づいてきて、そのまま」

伊吹「へ?」

奏「ちょっと鬱陶しく感じてたから、目瞑ってたのよ。その隙に」

伊吹「え、その流れでキスされたの!?キザっ!!」

奏「……『襟直すから』は私が前に仕掛けたやり方なの。仕返しされた形ね」

伊吹「う、うわぁ……」

 

42: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 21:25:56.85 ID:gojQLelf0

伊吹「で、で?感想は?」

奏「覚えてない。混乱の方が大きかったから」

伊吹「えー……混乱って、どんな?あたふた?」

奏「……大荒れ。泣いたし、喚いたし、怒鳴ったし、引っ叩いたし、ひっかいたわ」

伊吹「おおぅ」

奏「あんなに感情的になったのは、自分でも驚いたけど。悪いのはPさん」

奏「だって意味がわからないじゃない。割とバサッと振られたのよ?」

奏「それを諦めよう、忘れようってときに突然、だもの。本当、あの人は…」

伊吹「その時ってまだまだPのこと、好きだったんだ?」

奏「……そうよ」

 

43: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 21:28:56.77 ID:gojQLelf0

伊吹「……奏って結構引きずるタイプ?」

奏「そういう認識はなかったけど。そうみたい」

伊吹「さっきの話だと過呼吸気味だったんでしょ?」

奏「振られてからは、しばらくずっと」

伊吹「だーいぶきてたね、そりゃ…」

奏「あの時も、そのままステージに上がってたらダメになってたかもね」

 

44: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 21:31:25.76 ID:gojQLelf0

伊吹「ちなみにそのステージって、どれ?」

奏「珠美ちゃんがMCで泣きそうになったときの。事務所に録画あるでしょ」

伊吹「あー、観た観た!……あれ?」

伊吹「でもあのときの奏のステージ、めっちゃよかったじゃん」

伊吹「歌も怖いくらい入り込んでて感じで、絶好調にしか見えなかったけど」

奏「……」

伊吹「お?おおー?」

 

45: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 21:32:08.35 ID:gojQLelf0

伊吹「つ、ま、り!これは!」

伊吹「Pに当たり散らしはしたけど、実は嬉しかった!これでしょ!」

奏「……そうよ。人間の頭って都合よくできてるんだ、って実感したわ」

伊吹「おー!いいねいいね!乙女だね!」

奏「……あの時のステージは、本当に夢心地だったの」

伊吹「うん、うん」

奏「練習も散々して、喉もばっちり整えて。完璧に歌えるはずだったのに」

奏「直前でPさん相手に喚いてたせいで、喉はボロボロ、メイクも半崩れ」

伊吹「そうなるよねぇ。メイクさんつかまらないっしょ、そのタイミング」

奏「そうね。だから二人で必死で直したわ」

 

46: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 21:33:33.91 ID:gojQLelf0

奏「直してる間、Pさんはたじたじで、私は若干ヒステリック」

奏「滅茶苦茶じゃないどうしてくれるの、唐変木、無神経、とか喚いてて」

伊吹(奏の癇癪……事務所だとP以外見たことなさそう)

奏「私が落ち着かないから、Pさんがね。こう、頬に手を添えてきて」

伊吹「おーっ」

奏「『完璧じゃなくていい、失敗していい。転んでも躓いても、一緒にいるから』、って」

伊吹「うっわー…」

奏「散々かき乱しておいて何言ってるんだって、半分くらい思ったけど」

奏「…残り半分は、その言葉と、Pさんの手の温もりと、その前のキスとで」

奏「……信じられないくらい、浮かれてたわ」

 

47: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 21:36:03.04 ID:gojQLelf0

伊吹「どのあたりがストライクだったの?」

奏「……口にすると陳腐だけど」

伊吹「うん?」

奏「欠陥も失敗も全て受け入れて、愛してくれる。私を真摯に見てくれる、って」

奏「…そう感じさせてくれたのよ」

 

48: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 21:36:31.89 ID:gojQLelf0

伊吹「ただのステージ前の送り出し文句とは思わなかったん?」

奏「直前にキスしてきた相手から、慈愛顔で言われたのよ?」

伊吹「あー……フラれたこと考えたら、それもまた複雑そうだけど」

奏「そうね。だけど、なんとなく確信できたのよ」

奏「……さっきの映画風に言えば、『まだ終わってない』って、ね」

 

49: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 21:38:24.48 ID:gojQLelf0

奏「だから、その言葉が決定打」

伊吹「何の決定打~?」

奏「…事務所的に言えば、『魔法にかかる』決定打、かしら」

伊吹「嘘やーん♪奏を落とす決定打、でしょ!」

奏「……」

伊吹「んんー?」

奏「そう、ね」

伊吹「おお!?認めちゃう!?」

 

50: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 21:39:39.00 ID:gojQLelf0

奏「認めるわよ。この時から、完全にベタ惚れ。Pさんのこと考えない夜はないくらい」

伊吹「あ、う、うん?えっと、そこまでは」

奏「Pさんってね、指がいいのよ」

伊吹「ゆ、指!?いいって、え、それ、どういう」

奏「聞きたい?いつもPさんの指を思い出しながら」

伊吹「あーストップストップ!わかった、ごめんごめん!」

奏「そう?」

伊吹「そう!そ、そんな進んでんの!?」

奏「全然?そんな甲斐性ないわよ」

伊吹「……じゃあ指って何」

奏「何って、物の受け渡しするときとか、車運転してるときとか。見るでしょ」

伊吹「……」

 

51: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 21:40:49.12 ID:gojQLelf0

奏「で、なんだったかしら。ああ、『魔法にかかる』、ね」

伊吹「…うん」

奏「あの時以前は、仮面を被ってばっかりだったから。がらっと変わったのよ」

奏「失敗も何も怖くないと思わせるような、魔法の一言だったの」

伊吹「へー…あのステージ、声枯れかけてたのはそういうことだったんだ」

奏「いつもはあれくらい余裕なんだけど、ね」

 

52: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 21:41:44.71 ID:gojQLelf0

伊吹「あれはあれでよかったよ?これがありったけ!って感じで」

奏「Pさんも似たようなこと言ってたわ」

伊吹「うん、だろうねぇ」

奏「…と、まあそんな感じ」

伊吹「ステージ終わった後は何かなかったの?」

奏「……別に」

伊吹(嘘だ)

奏(嘘だけど)

 

53: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 21:44:08.89 ID:gojQLelf0


・・
・・・
[楽屋 奏の出番後]

奏「っ、はぁ、はぁ…………」

奏(……歌で、こんなに、息、上がる、なんて、初めて)

奏(…………清々しい、気分)

奏(魂ごと、吐ききって、空っぽ…なんて、ね)

奏(……ふふ。恋に悩んで、恋に浮かれて。滑稽、ね。でも)

奏「…っ、ふふ、ふふっ」

奏「あはは……っ、苦し、ふふ……」

 

54: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 21:44:43.01 ID:gojQLelf0

P『奏、入るぞー!』ガチャッ

奏「ふふふ………っ、はぁ…」

P「お、おう?どうしたんだ?」

奏「なんでも、ないわ。ちょっと、息、追い付いてないから。待って」

P「待つ、待つぞ。いくらでも待つ」

奏「本当?」

P「本当、本当」

奏「…ふふっ。じゃあ、それで」

 

55: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 21:47:28.53 ID:gojQLelf0

奏「ふぅ……ん。なぁに?」

P「何って、奏、すごかったじゃないか!」

奏「あなたがああしろって言ったんでしょ」

P「いや、言ったけどさ!」

奏「ご満足いただけた?」

P「した、した!いや、ははは、うわぁ、奏、すごい、すごいなぁ!」

奏「ふふっ。語彙がかわいそうなことになってるわよ」

P「いや、うん、どう言い表せばいいかわからん!」

奏「はしゃぎすぎ」

 

56: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 21:48:37.85 ID:gojQLelf0

P「悪い悪い……でもなぁ、いやぁ、よかった、よかった」

奏「『よかった』?」

P「うん、よかったよかった」

奏「ステージが?それとも、私の調子が上がったから?」

P「うん?……えっと、両方、かな?」

奏「自分がキスしたのが効いた、と思ってるでしょ」

P「え、ええ!?え、いや、そのだな、」

奏「思ってるでしょ?」

P「……多少は?」

パァン!!

P「っ!?」

 

57: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 21:49:55.19 ID:gojQLelf0

奏「普通は振った女にキスなんてしたら、こういう平手が返ってくるの」

P「え、あれ、うん、そう、だな」

奏「私でよかったわね?」

グイッ

P「え?」

ちゅうっ

P「んっ!?」

奏「……んっ。ふぅ……」

 

58: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 21:51:11.98 ID:gojQLelf0

奏「Pさん、前に言ったわよね。キスは気持ちを込めたメッセージだって」

P「……そう、だな」

奏「さっきの、『担当アイドルへの応援メッセージでした』じゃ済ませないから」

P「……」

奏「『応えられない』っていうのは、『好きだけど、ダメ』。ということでいいのよね?」

P「……えっと」

奏「ここで白黒つけないと、また他の子の前でするわよ」

P「いや、うん……その通り、です」

 

59: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 21:53:39.40 ID:gojQLelf0

奏「……そう。なら、いいかな」

ズイッ

奏「Pさん」

P「お、おう?」

奏「厄介な女に、目をつけられたわね」

P「え?っ、んむっ!?」

・・・
・・

 

60: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 22:00:09.85 ID:gojQLelf0

奏「で……二回目のとき、ね」

伊吹「おー、自分から来る」

奏「早く言えって顔してるんだもの」

伊吹「うん、聞きたい聞きたい。あ、でも」

奏「何?」

伊吹「それさ、奏とPって結局どういう関係?」

奏「……好き合ってるけど、立場があるから我慢してる。そういう関係」

 

61: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 22:01:59.21 ID:gojQLelf0

伊吹「んふふ、ホントに我慢してるー?」

奏「してるわよ」

伊吹「こっそり人目のないところでいちゃいちゃしてたり」

奏「ないから」

伊吹「いやいや、隠さなくていいよ!やることやってるならほら、吐いた吐いた!」

奏「本当にないの。……Pさんを失いたくないのよ。絶対に」

伊吹「……わお」

 

62: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 22:03:59.26 ID:gojQLelf0

奏「悲恋なんて、絶対に嫌。離れたくないし、離したくない」

伊吹「おおー……おぉ」

奏「もどかしいけど。破滅的な恋愛によりはマシだもの」

伊吹「あっ、アレだ、アンナ・カレーニナみたいな」

奏「そうね。……映画は観る気ないわよ」

伊吹「え?いやいや、今のは次はそれ観るか!ってなる流れでしょ」

奏「嫌」

伊吹「えー……」

 

63: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 22:05:02.91 ID:gojQLelf0

伊吹「でも、奏の印象変わるなぁ」

奏「そう?」

伊吹「うん。もっとこう、相手を追いかけさせる恋愛するもんだと思ってた」

奏「……そうね。私もそのつもりだったわ」

伊吹「だっよねー。思ってたよりもずっと……んー、情が深い、っていうのかな」

奏「……重い、とも言うわね」

伊吹「言わない!ちゃんと思慮があって、愛があって。いいんだよ、それで」

奏「……そうなのかしら」

伊吹「多分」

奏「多分、って……」

 

64: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 22:07:01.04 ID:gojQLelf0

伊吹「ま、とりあえず続きカモーン!二回目!二回目!」

奏「……ウェディングドレスの撮影のときよ」

伊吹「うっわー、出た!」

伊吹「えっ、なになに、ウェディングドレス姿見て、つい!みたいな?」

奏「そんな感じ。じゃあ終わりね」

伊吹「ダメダメ、詳しく、詳しく!」

奏「そんなに面白い話じゃないわよ」

伊吹「いいから、ほら!」

 

65: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 22:09:39.98 ID:gojQLelf0

奏「……あの時、居残り撮影したの」

伊吹「居残り?そもそも夜遅くに撮影してなかった?」

奏「更にその後。スタジオの人が撤収してから」

伊吹「ボツ食らったの?」

奏「ううん。Pさんのわがまま」

伊吹「なにそれ」

奏「ちひろさんが衣装回収に来るまで、手持ち無沙汰だったのよ」

奏「まだチャペルも使えるし、事務所のカメラもあるし、何枚か撮りたいって」

伊吹「へー…」

奏「それで…」

 

66: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 22:11:37.00 ID:gojQLelf0


・・
・・・
[チャペル 夜]

奏「で、時間はどれくらいあるの?」

P「一時間くらい。渋滞してるんだとさ」

奏「そう。……さっき撮った写真、ダメだった?」

P「いや、そういうわけじゃないんだ。撮影スタジオの人たちも満点評価してた」

奏「……じゃあなんで撮り直すのよ」

P「うん、なんというか……間違いなく綺麗な画だったんだぞ?」

 

67: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 22:15:42.94 ID:gojQLelf0

P「イメージ通りだし、各方面からOKは間違いなく出ると思うんだ。けど」

奏「けど?」

P「こう、奏ならもっと幅がある、というか」

奏「はっきり言って」

P「……花嫁らしい幸せさが詰まった画も撮れるんじゃないか、と」

奏「……はぁ。撮影の企画はPさんがしたんじゃないの?」

P「そうなんだけどな。見てたら物足りなさがあって」

奏「何それ。自分の方が上手く速水奏の撮影ができる、ってこと?」

P「えーっと、その…」

 

68: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 22:16:36.39 ID:gojQLelf0

奏「自分に惚れてる女だから、もっと幸せそうな顔を向けさせられる、って?」

P「いや、そこまでは」

奏「Pさん」

P「う、うん?」

奏「なら、私からも一つ付き合ってもらうわ」

P「……あんまり難題じゃなければ」

奏「スーツの上着、取ってきて。ネクタイも締めて」

P「えっ?」

 

69: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 22:18:05.04 ID:gojQLelf0

奏「誰も見ていない夜のチャペルに、男一人と女一人」

奏「することは、一つじゃない」

P「……え、ちょ、いや、」

奏「…そういうのじゃなくて」

P「……」

奏「幸せそうな花嫁姿を撮りたいなら、花嫁の気分にさせてくれなきゃ」

P「うん…?」

奏「折角のウェディングドレス、折角の二人っきり。証人は月だけ」

奏「……後ろめたい二人の結婚式の予行練習には、丁度いいんじゃない?」

 

70: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 22:19:27.63 ID:gojQLelf0

・ ・ ・

奏「ほら、Pさんから歩いてくれないと。ベールで見づらいんだから」

P「ああ、うん。そう、だな」

奏「一歩ずつ、ね。そう、そう」

P「……よくこんな作法知ってるなあ」

奏「別に。エスコートはいないんだから、二人で歩くしかないじゃない」

P「そうだけど、さ」

奏「歩き方は、まあ、ね。嗜み」

P「……俺が17の頃はそんな嗜み考えたこともなかったぞ」

奏「女は一歩も二歩も先を行こうとするものよ」

P「だよなぁ……はぁ」

 

71: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 22:20:01.50 ID:gojQLelf0

奏「ふふっ。こんな花嫁じゃ、不満?」

P「……そんなこと言ってないだろ。ほら」

奏「あっ、ちょっと、引っ張らないで。裾踏んじゃう」

P「奥の演壇まで行くならちゃっちゃと歩かないと、結構かかるぞ」

奏「はぁ……そんなだからモテないのよ」

P「えぇ…」

 

72: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 22:21:07.17 ID:gojQLelf0

奏「演壇じゃなくて講壇。学校じゃないんだから」

P「…はい」

奏「あそこまでたどり着いたら、第二の人生が始まるのよ」

P「まあ、実際の結婚式だとそうなんだろうけど」

奏「だからこそ、一歩一歩噛みしめるの」

奏「過去と、今と、将来の幸せに思いを馳せて、ね」

P「…でも今日結婚するわけじゃないんだからさ」

奏「あら。来年ならしてくれるのかしら」

P「……っ、あ、あのな…」

奏「…ふふ。そういうわかりやすいところ、好きよ」

 

73: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 22:21:33.20 ID:gojQLelf0

P「……奏には勝てる気しないなぁ」

奏「こんな関係だからよ。実際に伴侶になるような関係なら、きっと私の方がベタベタ」

P「…本当かぁ?」

奏「本当よ。勿論Pさんにもベタベタになってもらうけど」

P「あー…なんとなく、見える」

 

74: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 22:22:20.41 ID:gojQLelf0

奏「……ね、Pさん」

P「うん?」

奏「いろいろ、あったわね」

P「……なんだ急に」

奏「だ、か、ら。この廊下は、思いに耽りながら歩くの」

P「…はい」

奏「折角なんだから、一緒に思い出話でもしようと思ったのよ。もう」

P「じゃあ、えっと……何の話にするか…」

奏「はぁ……仕事のときの機転はどこに行ったのかしら」

P「すまん…」

奏「……」

P「……」

 

75: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 22:24:53.84 ID:gojQLelf0

奏「……実のことを言うとね」

P「うん?」

奏「私も同じ。状況に浮かれて、何の話をすればいいかわからないの」

奏「だからさっきから口に喋らせてるだけ。頭は真っ白」

P「……ははは」

奏「なぁに?」

P「いや、奏がそういうこと言うなんてさ。変わったなぁと思って」

奏「そう?」

P「うん。前はからかわれてばっかりだったからな」

奏「……あなただけ、よ」

P「え、あ、うん?」

奏「受け入れてくれるって、信じてるから」

奏「……私がこんなこと言うのは、あなただけ」

P「……」

 

76: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 22:26:00.62 ID:gojQLelf0

奏「ほら、黙らないで。何か上手く切り返してよ」

P「えっと……ドレス、すごく似合ってるよ」

奏「……」

P「……ダメ?」

奏「全然気も利いてないし、切り返しでもないじゃない」

P「……すまん」

奏「……でも、ありがとう。嬉しい」

 

77: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 22:27:14.60 ID:gojQLelf0

奏「このドレス、私も気に入ってるの」

P「…よかった」

奏「フィッティングしてるとき、衣装さんがおおはしゃぎだったのよ」

P「あの年配の?」

奏「ええ。Pさん、変な注文いっぱい付けたらしいじゃない」

P「あー……ははは」

奏「だから変なドレスになったと思ったのに、着せてみたらぴったりだって」

奏「Pさんの目にはいつも見誤りがないのね。……ね、私はどう?」

P「へ?」

 

78: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 22:28:17.47 ID:gojQLelf0

奏「私のことを見初めたPさんの目に、誤りはなかった?」

P「見初めたって、それは」

奏「それは?」

P「……その、な?」

奏「…わかりやすいんだから。ふふ」

 

79: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 22:29:11.02 ID:gojQLelf0

奏「ね、Pさん。ありがとう」

P「……ん?」

奏「好きでいさせてくれて。好きでいてくれて」

P「……」

奏「……」

P「……あ、あー、ほら、もうそろそろ講壇だぞ」

奏「…そうね。神父さんはいないんだし、二人でしましょうか」

P「へ?」

奏「ほら、こっち向いて」

 

80: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 22:30:00.89 ID:gojQLelf0

奏「手。……そうじゃなくて、下から。そう」

奏「……ふぅ。それじゃあ、復唱して」

P「……え?これって……え、暗記してるの?」

奏「昔、何度も見た映画でこういうワンシーンがあったのよ。覚えちゃったの」

奏「これで最後だから。付き合って。ね?」

P「……まぁ、練習、か」

奏「そう。練習、ね」

 

81: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 22:31:52.60 ID:gojQLelf0

『この結婚を神の導きによるものだと受け取り』

『神の教えに従い、互いの分を果たし』

『常に互いを愛し、敬い、慰め』

『助けて変わることなく』

『その健やかなるときも、病めるときも、富めるときも、貧しきときも』

『死が二人を分かつまで、命の日の続く限り』

『互いに対して、堅く節操を守ることを』

 

82: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 22:32:49.23 ID:gojQLelf0

奏「…約束、します」

P「約束します」

奏「……ふふ。約束しちゃっていいの?」

P「奏こそ」

奏「私は…」

P「…」

奏「……ほどほどにしないと、なんでも言っちゃいそうね」

奏「付き合ってくれてありがとう。それじゃ、ちひろさんが来る前に写真…」

グイッ

奏「……え?」

 

83: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 22:33:42.44 ID:gojQLelf0

・・・
・・

伊吹「お、おぉ……結婚式ごっこして、キス……」

奏「……私はそんなつもりなかったのよ」

伊吹「え、何言ってんの、絶対そうなるでしょ!!」

奏「だってそこはとっておきじゃない」

伊吹「いや、うん、そうだけど、さ?」

奏「でも、ぐっと引き寄せられて。気が付いたら目と鼻の先」

伊吹「で、そのまま?」

奏「うん」

 

84: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 22:34:26.97 ID:gojQLelf0

伊吹「うひゃー……いいなぁ…」

奏「……そう?」

伊吹「そうだよ!ホント恋愛映画のワンシーンじゃん!」

伊吹「立場に遮られた男女!深夜のチャペルに、とびっきりのドレス!」

伊吹「神父も呼べない二人っきりの結婚式!」

伊吹「決心のつかない花嫁を強引に引き寄せて、月が見守る中で誓いのキス!」

伊吹「うわー、いいねいいね!奏いいなぁ……」

奏「……言葉にすると薄ら寒くなるわね」

伊吹「ふっふー、残念ながらヒロインは奏ちゃんだからね!ひゅーっ!」

奏「……」

 

85: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 22:35:10.20 ID:gojQLelf0

伊吹「へー、へぇー……ロマンチックだなぁ……いいなぁ…」

伊吹「しかもさっきの話しっぷりだと、回廊歩いてるときとかラブラブじゃん!」

奏「……そう、かもね」

伊吹「認めちゃう!!いいね、いいねぇ……」

伊吹「で、で?一応写真は撮ったの?」

奏「撮らなかったわ。そんな雰囲気じゃなくなっちゃって」

伊吹「お?どんな雰囲気ー?」

奏「したことがアレだったから。恥ずかしかったのよ」

伊吹「いやいや、もっとさ!こう、満足感というか、充実感、あったでしょ!」

伊吹「こう、言葉は交わせないけど、隣から離れたくない!みたいな、さ!」

奏「……あった、かも」

伊吹「かもぉ?」

 

86: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 22:40:04.23 ID:gojQLelf0

奏「ああ、もう…あったわよ」

伊吹「やっぱり!」

奏「ちひろさんが来るまで、ずっと両手繋いでベタベタしてました。はい、いい?」

伊吹「いいよいいよ、両手繋いで……んふふ」

伊吹「ねね、やっぱりそういういちゃいちゃするの、日頃から」

奏「してないってば。特別だったのよ、あの夜は」

伊吹「えー……まあ非日常的なアレだろうけどさぁ」

奏「そう。だから本当に、特別」

 

87: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 22:40:39.78 ID:gojQLelf0

伊吹「で?それだけ?」

奏「……それだけ。一言二言交わしながら、ちひろさん待ってただけよ」

伊吹「そっか」

伊吹(嘘だ」

奏「……」

伊吹「……あれ?あ、いや、口に出すつもりはなかったんだけど」

奏「……嘘、だけど」

伊吹「聞いてもいい感じ?」

 

88: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 22:43:27.23 ID:gojQLelf0


・・
・・・

奏「……不意打ちばっかり」

P「……すまん」

奏「『誓いのキスを』って導入があって、初めてするものなのよ」

P「あ、うん、確かに」

奏「それに、そこは本番まで取っておくのが……何よその顔」

P「いや、面白い表情してるなぁ、と」

奏「……ふふ、いい度胸ね。なら、Pさんにも……」

グイッ

 

89: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 22:44:20.97 ID:gojQLelf0

奏「……」

奏「…………やめた」

P「え?」

奏「……ねぇ、Pさん」

P「……うん?」

奏「もう一回」

P「え?」

奏「もう一回、キスしましょう。さっきの、やり直したいの」

奏「今の……ううん、今までの強引なのも嫌いじゃないけど」

奏「…キスはやっぱり、二人でしないと。ね?」

 

90: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 22:45:01.55 ID:gojQLelf0

奏「……肩張りすぎじゃない?」

P「奏こそ強張ってる」

奏「……ふふっ」

P「……はは」

奏「ねぇ。よく考えたら『二人で』キスするのは初めてね」

P「……確かに、そうかも」

奏「いつもお互いに好き勝手してただけ」

P「……不器用って損だな」

奏「そうね。でも、直せば取り返せるんだから。直さないと」

 

91: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 22:47:17.46 ID:gojQLelf0

奏「……じゃあ、もう一回。手」

P「うん」

奏「今回は、『約束』の前借り」

P「約束?……あ」

奏「いつかその時が来て、気持ちが続いてたら……」

奏「なんて言う前に、お互いに独り善がりを治すところから、ね」

奏「……いつか、もう少し上手く…格好良く、寄り添えるようになりましょう」

P「……そう、だな」

 

92: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 22:49:10.63 ID:gojQLelf0

奏「私は……本当に約束できる時が来たらいいと、思ってるわ」

P「……」

奏「ふふっ。やっぱりわかりやすい」

P「…ごめん、そこまで考えてなくて」

奏「いいのよ。むしろそれが普通だもの」

P「こういう時、ズバッと言えたらいいんだけど」

奏「Pさん」

P「ん?」

奏「いいの。焦がれて焦がした恋だもの」

 

93: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 22:49:51.42 ID:gojQLelf0

奏「でも、あなたが許してくれるなら。私は、焦がれ続けるから」

P「うん」

奏「だから……」

ぎゅっ

奏「……ふふ。こういうところは乙女心がわかってるじゃない。素敵」

奏「それでは……なんて、ね」

 

94: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 22:50:52.01 ID:gojQLelf0

・・・
・・

伊吹「……」

奏「……不思議。話したら、なんだか心が軽くなった気がするわ」

伊吹「……」

奏「ふふ、ありがとう。話せる年上のお姉さんがいて助かったわ」

奏「なんなら次もまた、恋愛映画付き合っても…」

 

95: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 22:51:36.81 ID:gojQLelf0

伊吹「…………」

奏「……大丈夫?」

伊吹「……っ、グスッ」

奏「えっ」

伊吹「ん゛……ううう……ヒグッ」

奏「ちょ、ちょっと、なんで泣いてるのよ」

伊吹「うう……だって、だっで…グスッ、ヒグッ」

 

96: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 22:52:41.94 ID:gojQLelf0

伊吹「グスッ……奏、っ、グスン」

奏「……なぁに?」

伊吹「……グスッ、なんでも、手伝うから」

伊吹「ヒグッ、頑張って、頑張れ、奏ぇ……」

奏「………ありがとう。伊吹ちゃんに話してよかった」

伊吹「グスッ、ううぅ……グスッ」

奏「ああ、もう……ほら、擦ったら腫れるから」

伊吹「う゛ぅ゛……」

 

97: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 22:56:28.32 ID:gojQLelf0

奏「……ねぇ。早速一つ、お願いしてもいい?」」

伊吹「……んっ、何?」

奏「今度、Pさんと恋愛映画、挑戦してみたいの」

奏「失敗するかもしれないけど。意識していてもらいたいから」

奏「だから、とろけるくらい、とびっきり甘いのを一つ。見繕ってもらってもいい?」

 

98: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 22:57:24.21 ID:gojQLelf0

    ̄ ̄ ̄二二ニ=-
””'””” ̄ ̄
-=ニニニニ=-

/⌒ヽ   _,,-””
_ ,(^ω^ ) ,-””;  ;,
/ ,_O_,,-””‘; ’, :’ ;; ;,’
(.゙ー”'”, ;,; ’ ; ;;  ’:  ,’
_,,-‘,'”, ;: ’ ; :, ’: ,:    :’  ┼ヽ  -|r‐、. レ |
_,,-‘,'”, ;: ’ ; :, ’: ,:    :’     d⌒) ./| _ノ  __ノ

 

104: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 23:31:12.25 ID:gojQLelf0

起きてスレ残ってたら後日談書く!中身考えてあるし!
と思って寝たらスレが落ちてたのが2年近く前になりますが後日談れす

しばらくしたらHTML化依頼出しときます

 

105: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/10/13(月) 23:56:10.51 ID:G1+SF8Abo
乙乙
すごくよかった


元スレ
タイトル:伊吹「奏に恋愛映画見せたらガチ泣きされた」
URL:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1413198406/
掲載サイト:SS速報VIP@VIPサービスに投稿されたスレッドの紹介です

Similar Posts:


PAGE TOP