古泉が心底意外だと言わんばかりの表情をした。
それが当たり障りもなく流れていた俺と古泉の会話を断ち切った。そういうリアクションを返すところではないと少なくとも俺は思っていたので、何故古泉がそんな顔をするのか俺にはそっちが意外だった。
「なんだよ…それがどうかしたか?」
眉をしかめつつ返すと、古泉は何度か瞬きをした後ふわりといつもの笑顔を顔に戻す。
「いえ、すみません。あなたは僕のことを友人だと思っていたのですね…
はあ、成る程」
何がなるほど、なのか。
まるで難解な数学理論かなにかを理解できたみたいな口調だ。
古泉のよくわからない反応に、さっきまで交わしていた会話を覚えている限り頭の中で巻き戻してみる。話していた内容はこうだ。
昨日の晩、今週の日曜妹の友達の母親と外出するので留守番していてほしいとお袋に頼まれた。しかしその日は先々週から古泉と映画に行く約束をしていたので(このへんの経緯は長くなるので割愛する)「友達と約束があるから」と断った。お袋はその”友達”を国木田と勘違いしていたので、古泉だと訂正をした…そこまでだ。
はっきり言って意味もなければ中身もない他愛もない日常会話であって、びっくりするようなオチもなければ成る程、と相槌を打つような推理小説のトリックをネタバレしていたわけでもない。
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