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あけましておめでとうございます。٩(๑´0`๑)۶

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もしライブ! ~もしもμ’sのみんながUTX学院生だったら~ 前編②

2018年6月30日ラブライブ!

【前回の復習】
もしライブ! ~もしもμ’sのみんながUTX学院生だったら~ 前編 

169: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 22:54:15.79 ID:pCvZJpcOo
前回のもしライブ!(声:南ことり)デン 

スクールアイドルの活動のため、私と海未ちゃんに目を付けた真姫ちゃん! 

作詞係として海未ちゃんを勧誘しに行くんだけど…。 

 

海未「嫌です」

花陽「回答早っ!」

当然断られちゃったけど真姫ちゃんは諦めない!

海未ちゃんの秘密のバイトをダシに脅しをかけて強引に引き抜いちゃった!

その流れで今度は衣装係として私を勧誘しに行こうとする真姫ちゃん。けれど…。

海未「どうしても、ダメな理由があるのです」

海未「彼女は、A-RISEの服飾を担当しているのですから」

だけど理由はそれだけじゃなくて、穂乃果ちゃんと私…、そして海未ちゃんとの薄い絆を無くさないためでもあった。

けど私は海未ちゃんが持っていない、穂乃果ちゃんとの直接のつながりを持ってることに優越感を抱いてて…。

真姫ちゃんの勧誘をきっかけに、変わりたいと感じ始める私。そして…。

ことり「一年、周回遅れだけど」

ことり「絶対に追いついてみせるから」

ことり「絶対に、追い越してやるから」

ことり「覚悟しててよね、穂乃果ちゃん」

変わらない日々をやり直すために変わることを選択した私。

スクールアイドルっていう穂乃果ちゃんと同じ目線に立った今なら…。

いつか、たどり着けるって信じてる。
 


    

170: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 22:55:05.78 ID:pCvZJpcOo
金曜日 放課後

音楽室

真姫「皆、揃ってるわね?」

花陽「うん!」

海未「え、えぇ…」

ことり「はーい」

真姫「海未の働きにより、ついに我がスクールアイドルにも曲が完成したわ!」

真姫「これからは基礎体力作りもしつつ、歌の練習にも力を入れていきたいと思っているの!」

真姫「もともと歌手専攻の私や花陽はともかく、デザイン学科のことりも歌うなら激しい特訓が必要よ!」

真姫「だからこの音楽室を貸し切って放課後はここで歌の練習をしようと思うの!神田明神じゃ近所迷惑だし」

真姫「…で、なんだけど」

真姫「音楽室ってどうやって借りればいいか教えてくれない?」

海未「…」

花陽「し、知らなかったの…?」

真姫「うん…」

真姫(私こういう主体性のあること元いた世界じゃほとんどしてこなかったし)

ことり「え、えっとねー、真姫ちゃん…。非常に言いづらい事なんだけど…」

海未「こういった特別教室は部活動に所属していなければ借りることはできません」

真姫「えっ…!」

海未「そうでなければ不良生徒のたまり場になってしまうかもしれませんからね」

ことり「今のこの状況がそれに当てはまってそうな…」

真姫「じ、じゃあ別の教室は?屋上とか!」

海未「部活に所属していなくても貸し切れる教室はないことはないですが…」

海未「そういったところは特定のサークルに人気なので、毎日借りることは不可能かと」

ことり「屋上も入れないことはないけど…、みんなで使えるような広いところは普段は立ち入り禁止だねー」

真姫「だったら私たちで新しい部活を!」

花陽「新しい部の設立には最低5人必要なんだよね…」

真姫「…」

海未「生徒手帳にも書いてあるでしょう。読んだんですか?」

真姫「…読んでないわ。無駄に長くて」

ことり「それにー…。新しい部を申請するためには生徒会の許可が必要だから…」

ことり「必然的に穂乃果ちゃんと対面することになっちゃうかも…?」

真姫「それは…、キツいわね…」

真姫(部活の設立の問題…。ここもμ’sと同じね…)

真姫(また壁が立ちふさがってしまった…。どうしようかしら)

171: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 22:55:45.27 ID:pCvZJpcOo
海未「仮にもうひとり連れてきて5人にしたとしても、部活動の内容はどうするのですか?」

海未「スクールアイドル活動をする、など今のA-RISEの体制の中で許可されるとは思いません」

真姫「…そうね。今のところ、禁止されてないから勝手にやっている行為であって…」

真姫「公的なところを通しちゃったらどんなこと言われるかわかったものじゃないしね…」

花陽「今はまだ、学校で練習するのはやめておいたほうがいい、ってことかな…?」

ことり「そうだね。ライブの開催に明確な期限があるわけじゃないし、発声練習ならカラオケとかでもできるし」

真姫「どうしてもダメなら学外の施設を借りることも視野に入れましょう。じゃ、今日は改めて神田明神で体力作りと行くわよ」

真姫「そしてことりとは衣装の打ち合わせもするわよ!いずれ来たるUTXでのライブに向けてね!」

ことり「はーい」

海未「すみません。そろそろ部活動の方にも顔を出したいのですが…」

真姫「あー…そうね。作詞も終わったことだしそれはオッケー」

海未「分かりました。それでは失礼します」スタスタ…

花陽「あ…、行っちゃった」

ことり「それじゃ、私たちは神田明神へ行こっか」

真姫「えぇ」

神田明神

真姫「…さぁこれでラスト!頑張って!」

花陽「はぁっ…、はぁっ…!」タッタッタッ…

ことり「ふぅっ…!ふぅっ…!!」タッタッタッ…

真姫「はい、お疲れ様。二人共よく頑張ったわね」ドリンクサッ

ことり「あ、ありがと…。ごくごくっ…。ぷはーっ…」

ことり「あの、真姫ちゃんは走らなくても平気なの?」

花陽「…ふひぃ…。ま、真姫ちゃんは…、こう見えてもすごい体力あって…全然平気みたいですぅ…」

真姫「今日はことりの初練習だから監修してるだけで、いつもはちゃんと走ってるのよ?」

花陽「それにしても…、こ、ことりさんは今日が初めての練習なのに…、ど、どうしてスクールアイドルの先輩である私と…互角…」

ことり「んー?なんでだろね?」

真姫「一週間フルに練習してやっとこの練習量にも耐えられるようになったのにすんなりことりにこなされちゃったわね」

花陽「わ、私って…運動音痴なのかなぁ…?」

172: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 22:56:19.74 ID:pCvZJpcOo
ピリリリリ…

ことり「ん?海未ちゃんからメールだ…」

ことり「あ、真姫ちゃん宛だって」

真姫「私に?あぁ、そういえばメールアドレス交換してなかったわね」

花陽「なんて書いてるの?」

真姫「えっと、なになに…『明日明後日も所用によりお休みします。と真姫に伝えてください』」

真姫「所用?部活動かしら」

花陽「違うよ真姫ちゃん。きっと…」

ことり「メイドさん♪」

真姫「…あぁ。土曜もなんだ」

ことり「基本的に毎週土日はバイトだねー」

真姫「まぁ、それなら仕方ないわ。今は作詞係は必要ないし」

真姫「できれば振り付けを考えるためにいてくれると助かるんだけどね」

真姫(…だけど、いずれは海未にも…加入してもらわないとね)

真姫「それじゃ、今日はこれで解散!明日の朝、またこの場所で集合よ!」

花陽「うんっ…!」

ことり「はーい」

希の家 食後

希「ふー…、忙しい一週間が終わって、明日はついに休日やねー」

真姫「って言っても、私もあなたも練習やバイトがあるでしょう」

希「まー、そーなんやけど…いいやん。細かいことは」

希「はぁー…」

真姫「…なんか希、気が抜けてない?」

希「んー、かもねー。なんか昔のこと思い出して、しんみりしちゃってー」

真姫「昔…って、いつごろのことよ?」

希「あー…、去年ー?あの頃はー…ふひー…」

真姫(…去年の希。私が完全に知らない頃の希)

真姫(普段の言動から言って…きっと希にも複雑な過去があるのでしょうね)

173: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 22:57:20.63 ID:pCvZJpcOo
真姫「ねぇ、ところで…」

希「ふに?」

真姫「…希は、スクールアイドルになる気ない?」

真姫「生徒会長もやめたんだし、暇でしょ?よかったら…」

希「うちが、スクールアイドルかぁ…。うーん…、せやねー…」

希「悪くない、かも…」

真姫「お、本当?」

希「んまー…でもなぁ…。大変そうかなぁ…」

真姫「ちょ、どっちなのよ」

希「どっちかなぁ…」

真姫(ダメだ。完全にだらけてるわ)

真姫「…その気になったら、いつでも歓迎するわ。希ならね」

希「んふー…、わかたー…」

真姫「…先お風呂入るわよ」

希「おけけー」

翌日 朝

神田明神

花陽「おはよう真姫ちゃん!!おはようございますことりさん!」

ことり「ことりちゃんでいいよー」

花陽「じゃあ…こ、ことりちゃん!!今日は負けません!」

真姫「どうしたのよ、えらく張り切っちゃって」

花陽「昨日はアイドルの先輩ながら互角の戦いを許しちゃったけど…」

花陽「私にだって負けられないことがあるから!衣装係も兼ねてることりちゃんに体力で負けられないよ!」

ことり「おぉー!花陽ちゃん張り切ってる!これはうかうかしてられないなぁ」

真姫「その意気よ花陽!ことりに目にもの見せてあげなさい!」

花陽「うん!絶対にことりちゃんには負けない!」

夕方

花陽「ぜー…!はーっ…!!」

ことり「ふう…。疲れたー」

真姫「…ことりはまだまだ余裕ね」

花陽「な、なんでなのぉ…?」

ことり「一時期ほぼ毎日海未ちゃんの家に行ってたからかな?」

真姫「その時の精神状態も含めてメンタルの面で強いのかもね」

花陽「うぅぅ…、これじゃ私、いいとこなしだよぉ…」

真姫「う、歌は上手いじゃない」

花陽「…それも真姫ちゃんには負けちゃうんだよねー。ふみゅぅ…」

174: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 22:57:55.78 ID:pCvZJpcOo
真姫「ところで、質問なんだけど。ことり」

ことり「ごくごくっ…、んぷっ。ん?何かな」

真姫「どうして海未はその…メイドのバイトなんてやってるの?」

花陽「あ!それ私も知りたかったんです!」

ことり「あー…」

真姫「あんなメイドの格好をして人前で歌ったりするところでバイト、だなんて」

真姫「もしかしたら海未って、アイドルをやりたかったりするの?」

ことり「…え、えと…うーん…」

花陽「…ん?どうして言い淀んでるんですか?」

ことり「いや、その…うぅーん…言っていいのかなぁ…」

ことり「…いいや!言っちゃおう!きっと真姫ちゃんや花陽ちゃんなら大丈夫だよ…!」

真姫「はい?」

ことり「じ、実はね…。海未ちゃんからは言わないで、って言われてるんだけど」

ことり「昔海未ちゃんは…心の病、つまり…鬱病にかかってたことがあったの」

花陽「う、鬱病…!?あの、海未さんが!?」

真姫「それは、穂乃果と喧嘩したせいで?」

ことり「うん。一時期は自殺しちゃいそうな勢いの、酷いやつ」

花陽「うっ…!それは、悲惨ですね…」

真姫「でも、外面からはそんな過去を持ってる印象はないわね」

ことり「そうだね。大分よくなったと思う。きっと…真姫ちゃんと花陽ちゃんのおかげだよ」

真姫「そう?それなら海未を誘って良かったと思えるわ」

ことり「あ、でも海未ちゃんにはこれ、言わないでね?人に知られるのすごく気にしてるみたいだから」

花陽「は、はい…!分かりました、肝に銘じます!」

ことり「それで、今年の春頃には鬱病は一通り収まって安定してたんだけど」

ことり「穂乃果ちゃんと別れる前に言われた『アイドルのことなんて何も知らないくせに』って言葉がずっと胸に引っかかってたらしくて」

ことり「…もし自分がアイドルのことをもっと理解していたら、こんなことにはならなかったんじゃないか、って後悔してたみたいなの」

真姫「…そうだったの」

ことり「だから海未ちゃんは、どうにかして今からでもアイドルのことを理解して、穂乃果ちゃんの気持ちを少しでも共有したい、って考えて…」

ことり「何か、アイドルに近いことはできないか、って私と一緒に探した結果、あのメイドカフェでのバイトにたどり着いたんだ」

ことり「週に一度、お客さんの前で歌を披露するメイドのアルバイトにね」

真姫「…なるほどね。そんな理由があったんだ」

花陽「でも…だったらやっぱり、海未さんはスクールアイドルをやるべきだと思います!」

ことり「なんで?」

花陽「だって…穂乃果さんの気持ちを分かりたくてアイドルのようなバイトを始めたんですよね?」

花陽「ならスクールアイドルならそのまま、穂乃果さんとやってることは同じじゃないですか!」

真姫「まぁ…、確かに」

花陽「そっちの方がきっと穂乃果さんの気持ちをより理解できると思うんです!」

ことり「あー…、かもね」

176: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 22:59:09.76 ID:pCvZJpcOo
ことり「あー、ここここ。久しぶりだなー」

真姫「そういえば、海未はどれくらいバイトを?」

ことり「今年の春からだから…もう半年位かな?」

ことり「わたしは最初に数回行った程度だから、もう長いこと見てないなぁ」

花陽「す、すごいんですよ!コールアンドレスポンスまで付いてて!」

ことり「へー…。もっと見に行けば良かったかなぁ…。本人から聞いた程度だったよ」

真姫「…まぁ、普段の海未を知ってるなら多少心の準備が必要だと思うわ」

ことり「そ、そうなんだ…。わかった、どんなのが来ても驚かないよ…!」

花陽「それじゃ、入りましょう!」ガチャッ

メイドカフェ店内

「おかえりなさいませ、お嬢様方」

花陽「ほわわぁぁ…!綺麗だなぁ…」

メイド「3名様ですね?お席にご案内いたします」

真姫「ここには海未は…いないみたいね」

ことり「普段は厨房の方でお皿洗いしてるって言ってたよ。見えるところに来るのはライブの時だけなんだって」

真姫「よくそれでメイドとして務まるわね…。普段の業務だけだったら男性店員でも可じゃない」

花陽「でも海未さんのライブにはコアなファンも多くて…ほら!日曜日の朝だというのに…」

ことり「わぁ…、人がたくさん…。これみんな海未ちゃんを見に来てる人たち?」

花陽「ライブのスタートは12時からなので、開店直後のこの時間から席を確保しておかないと店内に入れないなんてこともあるらしいです…!」

真姫「改めて聞くとすごい人気ね…。確かにそれなら集客効果も馬鹿にならないし、いいの…かな?」

花陽「ささ、席に着いたよ!何頼もっか!」

ことり「んー、そうだなぁ…。この日替わりケーキってのが気になるなぁ」

真姫「…って、私たち今日は海未を勧誘に来たんだって…」

花陽「でもライブ始まる前に話しかけるのは良くないと思うの!」

真姫「…まぁ、そうね」

花陽「ほらほら!真姫ちゃんも何か注文しよ!それでねー…、一緒にあーんし合うの!むふふふ…」

真姫「え、えぇ…。そうね…」

ことり「ふふふ…、仲睦まじくて羨ましいな」

真姫「テンション上がってるのはいいけど、人前でそういうのは、ちょっと恥ずかしいんだけどな…」

177: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 22:59:40.27 ID:pCvZJpcOo
メイド「お待たせしました。こちら日替わりケーキとアッサムティーです」

ことり「あ、はーい。私でーす」

メイド「そして、こちらがきまぐれスコーンとエスプレッソです」

真姫「あ、私ね」

メイド「そして、こちらが…」

メイド「…チャンピオンカツカレー、ライス大盛りです」

花陽「は、はい!私ですっ!」

ドサッ

メイド「…ごゆっくり、お楽しみください」

ことり「うわぁ…。すごいの来たね」

真姫「注文したときはまさかと思ったけど…」

ことり「しかもごはんは別皿って…」

真姫「店員若干引いてたわよ」

花陽「いいの!都内じゃここくらいしか食べられるところないんだって!いっぱい食べなきゃ損だよ!」

真姫「私カレーをあーんさせられるの…?いや、いいけどね…」

花陽「んふふ…!お米もいいの使ってるなぁ…。さすがだよぉ…」

ことり「花陽ちゃん、ご飯を前にしてうっとりしてる…。ちょっと怖い…」

真姫「周囲の客もこっち見てるし…。恥ずかしい…」

花陽「さ!いただきますしよ!いただきます!!」

真姫「いただきます…」

ことり「いただきまーす。…あむ、もにゅもにゅ…んー!美味しい!あまーい!!」

真姫「ことりのそれはフルーツケーキかしら?美味しそうね。スコーンは…かぷ、もぐもぐ…うん、なかなか」

ことり「いいなー、私もちょっと頂戴?」

真姫「えぇ、どうぞ。その代わりことりのもね?」

ことり「オッケーでぇーす。はい、どうぞ?」

花陽「…う、羨ましい…!私も!私も真姫ちゃん!!」

真姫「いや、今ケーキ食べてるところだから…」

花陽「はい!カレーだよ!」ズボッ

真姫「ふむぐっ!!?うむぶっ…」

真姫(ケーキの甘味とカレーの辛味が口の中で混ざり合って…)

真姫「もぐもぐ…悪くないわね。むしろいい…?」

ことり「うそぉ…」

真姫「ケーキカレー…。今度作ってみようかしら」

ことり「…想像したくないなあ」

178: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:00:09.94 ID:pCvZJpcOo
十数分後…

花陽「もぐもぐ…ごくんっ。ごちそうさまでしたぁ!」

花陽「ほわー…、おいしかった!」

真姫「まさかほぼ全部一人で食べきるとはね…」

ことり「意外と花陽ちゃん大食漢?」

花陽「お、男の人じゃないですよ!?言うなら…大飯食らい?」

真姫「それもどうかと…」

真姫(それからお冷を貰ったり、お茶の追加注文をしたり…)

真姫(12時になるまで時間を潰して…)

真姫(そしてついに、その時間に…)

ざわ…    ざわ…

花陽「…っ!店内の空気が変わった…!来るよ真姫ちゃん!」

真姫「えぇ、わかってる…!今回もかなりの覚悟が必要ね…!」

ことり「え、そこまで?」

花陽「あ!来たよ!」

謎のメイド「あー…ごほん」

謎のメイド「さぁさぁ皆さんご注目!本日は当店にお越しいただき誠にありがとうございます!」

謎のメイド「ケーキをつまむ手はお止めいただいて、少々お時間をいただきます!」

謎のメイド「今日も謎のメイドこと、私のワンマンライブが開催されるのです!ひゃーふー!」

謎のメイド「いやいやいや!あ、そんなそんな!拍手だなんてもったいない!もっと!もっとください!」

謎のメイド「あ、それではー…?フフフ、皆さんお待ちかねのー?」

謎のメイド「そうですね!いつものアレ、行っちゃいましょう!」

謎のメイド「みんなのハート、撃ち抜くぞ!」

客ども+まきぱな「「ラブアローシュート!!」」

謎のメイド「いえぇーい!ありがとー!それでは早速一曲目ー!アウトブレイクカンパニーからオープニング曲で…」

花陽「ねー?すごいでしょ、ことりちゃ…」

ことり「…」ガクガクガク…

花陽「こ、ことりちゃん…?」

ことり「はわ、はわわわわわわ…」ガクガクガク…

ことり「あれが…う、海未ちゃん…?え、ホント…?」ガクガクガク…

真姫「…紛れもない事実よ。受け入れなさい」

ことり「は、は、はははは…」ガクガクガク…

ことり「ほにょぇぇぇ~…」ガクッ

花陽「あまりのことにことりちゃんが気絶しちゃった!?」

真姫「…覚悟してこれならしてなかったときどうなってたのかしら」

179: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:00:43.17 ID:pCvZJpcOo
謎のメイド「だんだん芽生えた~最初のおも~い、わからないーことーはー日々のページめくりーものーがたりをっ♪」

真姫「…もう大丈夫?」

ことり「うん…ありがと…」

花陽「そんなに衝撃なの…?」

ことり「衝撃的すぎたよ…。私ね?海未ちゃんが笑ってるところ見ただけでも泣いたんだよ!?」

ことり「こんなのもし何も聞かされずに見ちゃったらもう…大事故だね」

真姫「それは良かったわね…」

ことり「最初はすごくたどたどしく初々しかったのに…どうしてこうなった」

花陽「十数回もやってると吹っ切れちゃうんでしょうね…」

ことり「けど…」

ことり「海未ちゃん、すごく楽しそう…」

花陽「ですよね…。心から楽しそう歌ってて、惚れ惚れしちゃうなぁ…」

真姫「えぇ、それには私も感心。だけど…」

花陽「ん?何か問題があるの?」

真姫「…いえ、よしましょう。今は海未の歌に集中しましょう」

ことり「そうね。海未ちゃん、こういうこともできるようになったんだ…。すごいなあ…」

謎のメイド「はーい、ではそろそろお時間の方が来てしまいましたので、ここまでとさせて頂きます!」

謎のメイド「最後に恒例の~…、来週のこの時間もー…、せーのっ」

謎のメイド「みんなのハート、撃ち抜くぞ?」

「「ラブアローシュート!!」」

ことり「わー…、海未ちゃんのライブが終わった途端がらーんとしちゃった…」

真姫「一番人の多いお昼時に来るお客さんが前倒しで来てたから、その反動ってことかしら?」

花陽「今なら海未さんを訪ねても大丈夫かな?」

ことり「むしろお皿洗いはお客さんが帰った今が一番忙しそうだけど…」

花陽「あ、そっか…」

真姫「いいじゃない。すぐ終わらせたいし。話し合うならお客さんの少ない時間の方が都合がいいし」

ことり「いいのかなぁ…」

真姫「いいのいいの。さ、厨房に突撃よ!」

180: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:01:12.65 ID:pCvZJpcOo
真姫「あのー…、すみませーん」

メイド「はい?なんでしょう」

真姫「私、当店でバイトをしてる園田海未さんの友人なんですけど、今園田さんっていますか?」

メイド「はい、少々お待ちください」

花陽「意外と及び腰…」

ことり「礼儀正しいって言ってあげようよ」

真姫「…素直に来るかしら」

海未「…友人?いったい誰が…」

海未「げっ」

真姫「あ!来た!」

ことり「海未ちゃーん、バイト中ごめんねー」

花陽「すぐ済むので!」

海未「ど、どうしてあなたたち…!ちょっ…、まっ…」

海未「ふひぃっ!!?」ツルッ

真姫「わぁっ!!?」

花陽「ひゃっ!?」

ことり「ひょえっ…!」

ドッテーンッ

メイドカフェ店内 テーブル

海未「うぅ…、いたたた…」

真姫「慌てすぎ。何もないところで転ぶなんて花陽以上にドジね」

花陽「え、私そんなドジっ子だと思われてたの…?」

海未「お皿を運んでいる最中でなくて良かったです…」

ことり「海未ちゃん、バイト中だったけど大丈夫?都合悪いなら終わってからまた来るよ」

海未「いえ、ちょうど休憩時間なのでそれは平気です。しかし…」

海未「何故大勢で私のバイト先に…。遊びに来たんですか?」

真姫「いいえ!今日は大事な用事があってきたのよ!単刀直入に問うわ…」

真姫「あなたもスクールアイドルをやってみな」

海未「お断りします」

花陽「返答早っ!」

181: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:01:47.06 ID:pCvZJpcOo
真姫「な、なんでよ…」

海未「嫌に決まっているでしょう!スクールアイドルなんて!」

ことり「でも海未ちゃん、さっきは気持ちよさそうに歌ってたじゃない!」

海未「なっ…!み、見てたのですか…、ことりまで…」

ことり「あれだけ堂々と歌えるんだからきっとアイドルとしても輝けるよ!」

海未「そ、それでも…、嫌なものは嫌なんです!絶対に!」

真姫「…もしかして、やりたくない理由があるの?」

花陽「あっ…、そっか…」

花陽「…ことりちゃんにも穂乃果さんと別れたくないって事情があったもんね…。それなら無理に誘っても仕方ないし…」

海未「…えぇ。やりたくない理由、あります」

ことり「理由、って…?」

海未「それは…」

花陽「それは…?」

海未「…決まってます!恥ずかしいからです!!」

花陽「…へ?」

海未「スクールアイドルをやるということは、穂乃果たちやA-RISEのような格好をするんですよね!?」

海未「あんな露出の多い衣装を来て人前で踊るなんて…、想像しただけで卒倒します!」

ことり「ち、ちょっと!?海未ちゃんはこのバイトをやってアイドルの気持ちを理解したんじゃないの!?」

海未「た、確かに始める理由はそうでしたが…」

海未「…やはり私には、アイドルは無理です…」

真姫「どうして?さっきの歌ってる姿はアイドル然としたものだったわよ」

花陽「そうです!あれこそまさに私の理想!アイドルオブアイドルですっ!!やらないなんてもったいない!!」

海未「…あれは」

海未「違うのです。あれは…、私ではありません」

花陽「はい?」

ことり「え!?あれ海未ちゃんじゃなかったの!?じゃあ別の誰か…?」

海未「そうではないのです。ああして皆の前で歌っている私は、私であって私でない…いわば仮面なんです」

真姫「仮面…」

182: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:02:45.50 ID:pCvZJpcOo
海未「最初、私は穂乃果を…、アイドルを理解しようとしてこのバイトを始めました」

海未「しかしいざお客様の目の前で歌おうとすると…、緊張して声が出ないんです…」

海未「顔も真っ赤で、恥ずかしくなって…こんな姿を誰かに見られているなんて思うと、死んでしまいそうになりました」

海未「けれどバイトの契約上、お客様の前で歌うのは必須事項…、どうにかできないかと店長さんが提示してくれた案が、サングラスでした」

ことり「歌ってるときにつけてるやつ?」

海未「はい。これをつけて歌えばいいんじゃないかと。身分がバレるのを防ぐこともできますし」

海未「サングラスをかけた程度でこの緊張がどうにかできるとは、自分でも思えなかったのですが…」

海未「いざかけてお客様の前に立ってみると、意外と落ち着いて歌うことができました」

海未「サングラスをかけることで自分ではない、別の誰かを演じて、歌うことができるようになったのです」

真姫「…演じる。まさに、演劇学科の海未だからこその技ね」

海未「次第に髪型もアレンジを加え、話し方も普段は使わないような風に変えて…」

海未「園田海未ではない『謎のメイド』を名乗り、その仮面を被って歌を披露するようになりました」

花陽「そのミステリー性が受けて今ではアキバの隠し名所的イベントになってるんですよね…!」

海未「…けれど!アイドルとなれば話は別です。私はサングラスを捨て、『園田海未』として活動しなければなりません」

海未「それは…、きっと私には不可能です…。『謎のメイド』という鎧を捨てて、お客様の視線というナイフにさらされては…」

海未「私の脆いメンタルは、早々に砕け散ってしまうでしょう…。きっと」

花陽「そんな…」

真姫「だ、大丈夫よ!意外とやってみたら行けるってことも…!」

ことり「海未ちゃん…」

海未「確かにやってみたら出来た、ってこともあるかもしれません」

海未「ですがやってみよう、とまで思えません!やりたくないんですから!!」

真姫「う…」

海未「とにかく恥ずかしいんです!あんな足の見えるような衣装で踊るなんて…考えられません!却下です!」

花陽「でもでも…!メイド服もアイドルの衣装みたいなものじゃないですか!あんまり変わりませんって!」

海未「どこがですか!メイド服は由緒正しい英国のお召し物です!露出も少ないですし比較しようもありません!」

花陽「ぐぬぬ…」

真姫「さっきはあんなに楽しそうに歌ってたじゃない!ホントはやりたいんでしょう!?」

海未「あれはお仕事の一環ですから!それに何度も言っていますがアイドルをするとなると素顔を晒す必要があるでしょう!」

真姫「だったら海未だけサングラスつきでアイドルを!衣装も露出も少ないものに!」

海未「っ…!い、いえ!ダメです!」

真姫「なんでよ!条件としては最大限に譲歩してるじゃない!!」

海未「いくらそれでもやはり…恥ずかしいものは恥ずかしいんです!」

真姫「少しくらい恥ずかしい方がやってて気持ちいいのよ!」

ことり「そ、そうなの…?」

真姫「あ、いやまぁ…個人差もあるけど」

花陽「あの…真姫ちゃん…。そろそろお客さんも増えてきてるんだけど…」

真姫「え」

海未「…これ以上大声で話されては他のご主人様方にも迷惑です。私の休憩時間も残り少ないですし、今日はお引取りを」スクッ

真姫「ちょ、待ってよ!」

海未「お引取りを!!」

真姫「…わかったわよ」

183: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:03:21.70 ID:pCvZJpcOo
秋葉原

花陽「…ダメだったかぁ」

ことり「残念だね…」

真姫「…まぁ、なんとなくわかってたけど」

ことり「え?どうして?あんなに必死に勧誘してたのに」

真姫「海未はまだ、アイドルの気持ちを理解することはできてないわ」

真姫「彼女が歌ってるの見ると、わかるもの」

花陽「えぇっ!?そうかな…。すごく楽しそうに歌ってるのに」

真姫「そうね。彼女自身はとても楽しそう」

真姫「けどそれは、彼女だけの中で終わっている楽しさなのよ」

ことり「…?どういう意味?」

真姫「これは、私のすごく尊敬してる人のセリフなんだけど」

真姫「アイドルっていうのは、楽しむものじゃない。誰かを楽しませるものなんだ、って」

真姫「海未自体は楽しんでて、その姿を見ているこちらも微笑ましくなるけど、でもそれはあくまでメイドカフェ店員の枠だからこそ」

真姫「アイドルともなれば、自分が楽しむだけじゃいけない。お客さんをどれだけ楽しませるか」

真姫「それが一番、大切なことになってくるから」

花陽「ほぇぇぇ…。ま、真姫ちゃんがすごいいいこと言ってる…」

真姫「この程度、素人でも見抜けて当然でしょ?だって海未は…」

真姫「お客さんである私たちが、ライブを見に来ていることすらも気付かなかったのよ?」

ことり「あ…」

真姫「それは観客の顔を見ていない証拠。どんな人が見に来ていて、どんな顔をしているかを見ていないから、誰が来ているかすらわからない」

真姫「だから、海未のバイトの目的が、アイドルの気持ちを理解するため、ってことなのだとしたら…」

真姫「それは全くの徒労に終わってるわね。…きっと穂乃果が見ても、同じ気持ちになると思う」

ことり「海未、ちゃん…」

花陽「で、でも真姫ちゃん、海未さんのこと勧誘してたじゃない。それって海未さんにアイドルの素質があるから、なんでしょ?」

真姫「そうね、それは間違いないわ。あの海未なら…」

真姫(この世界の海未は、『アイドル性』だけなら、私の世界の海未よりも遥か上にいる)

真姫(それに、真にアイドルの気持ちを理解するならやっぱり、スクールアイドルをやるしかない)

184: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:03:55.93 ID:pCvZJpcOo
真姫「でも、無理やりスクールアイドルをやらせても、海未にアイドルの気持ちを理解させることはできないわ」

真姫「肝心なのは、海未自身にスクールアイドルをやりたい、と思わせること。そのためには…」

花陽「そのためには…?」

真姫「…それはこれから考えるわ」

ことり「そっか…。うーん…、海未ちゃんもアイドル、いいと思うんだけどなぁ…」

真姫「私たちがいくらそう思っても本人が嫌がってるんだもの。どうしようもないわ」

ことり「やりたいと思わせるかぁ…。結構難易度高そうだね…」

真姫「そうね…」

花陽「じ、じゃあ今日は真姫ちゃん!前みたいにアキバを探索して答えを探そうよ!ね?ね?」

真姫「…それって今から練習するのが嫌だからでしょ?」

花陽「うぐっ…。そ、そんなこと…あるけど。ちょっとだけ」

真姫「はいはい。大丈夫よ。私も今日は3人でアキバ散策する予定だったし」

花陽「ホント!?やったぁぁぁっ!!!」

ことり「花陽ちゃん喜び過ぎー…」

真姫「ことりにも、アイドルの良さがわかるようなスポット、教えてあげなさいよ?」

花陽「うん!」

真姫(それから夕方まで、私たちは花陽の案内のもと、秋葉原を練り歩いた)

真姫(行ったことある場所から初めて見る場所まで…)

真姫(いつもの練習より何倍も早く時間が過ぎるのを感じた)

真姫(そして、夕方…)

ことり「はわぁー…、今日は楽しかったぁ…」

花陽「本当ですか!?よかったです!」

真姫「えぇ、まさか秋葉原にあんなところがあったなんてね。…今度凛を連れて行ってあげましょ」

花陽「え?凛ちゃんがなんて…?」

真姫「あぁ…、ごめんごめん。こっちの話」

ことり「でも名残惜しいけど…、もう時間…だね」

花陽「そうですねー。また来ましょうね!絶対!」

ことり「うんっ!」

真姫「もちろんよ。今度は…4人以上だと尚良しね」

185: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:04:51.07 ID:pCvZJpcOo
帰り道

花陽「あ、それじゃ私、こっちだから…」

ことり「あ、花陽ちゃんここでお別れ?」

花陽「はい。では、また明日!学校で会いましょうね!真姫ちゃんも!」

真姫「えぇ、バイバイ」

花陽「ばいばーい!」

ことり「うふふふ…、花陽ちゃんってアイドルのことになるとあんな感じになるんだね」

真姫「私も初めて知ったときはビックリだったわ。あれも花陽のいいところなんだけどね」

ことり「うんうん。パワフルな花陽ちゃんもかわいいなぁー」

ことり「ほらー。この写真の花陽ちゃん、可愛いよねー。あ、これも!」

真姫「い、いつの間にこんなに写真を…あ、私も撮られてる…」

ことり「それにこれは…海未ちゃんの写真!」

真姫「あ、撮影禁止なのに…」

ことり「門外不出なら問題ないのです!えへへー」

真姫「…まぁ、私が言えたことではないしね」

ことり「うーん…、でもねー…」

真姫「ん?」

ことり「海未ちゃんがアイドルやりたくない、っていうのも、私わかる気がするの」

真姫「どうして?」

ことり「ほら、私海未ちゃんの去年の荒れようを知ってるからわかるんだけど…」

ことり「きっと少しでも心にプレッシャーがかかると、鬱だった頃の自分を思い出して怖くなっちゃうんだよ」

ことり「また、あんな風になってしまわないかって」

ことり「…あの頃の海未ちゃんは、見ていてとても痛ましかったから」

ことり「今のメイドカフェでのライブも、言ってたとおり自分じゃない、って暗示をかけてるから出来てることなんだよね…」

ことり「そう考えたら、海未ちゃんにも、ただ恥ずかしい、ってだけじゃない…やりたくない相応の理由があるのかな、って思って」

真姫「あの頃が怖いから、か…。でも、そうなるとやっぱり、海未には是非ともスクールアイドルをやってもらいたいわね」

真姫「いつまでも心にしこりを残しておくのは、精神上良くないことよ。ドクターの私が言うんだから間違いないわ」

ことり「ドクター?真姫ちゃんってお医者さんなの?」

真姫「あ゙っ…。い、医者志望なの。親が医者だから」

ことり「ふーん、そっか。でも、そだね…。私も一緒に海未ちゃんとスクールアイドル、やってみたいよ」

ことり「それが私の目標の…『あの頃をやり直す』ための一歩になるから」

真姫「…ことりの決意も、堅いのね」

ことり「ふふ、もちろんでぇーす。あ、じゃあ私こっちだから」

真姫「そう。また明日。風邪ひかないでね?」

ことり「うーん、だいじょぶー。また明日ねーばいばーい」

真姫「ん、バイバイ」

186: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:05:25.30 ID:pCvZJpcOo
希の家

ガチャッ

真姫「ただいまー」

希「おかえりー…。ご飯できてるよー」

真姫「あぁ、ありがとう。いつもいつも悪いわね」

希「んふー。それは言わないお約束やんっ」

真姫「した覚えはないけど」

希「そういう流れもお約束ー。ささ、冷めないうちに召し上がれー」

真姫「…もぐもぐ」

希「んー」

真姫「…希」

希「なにー?」

真姫「見られてると食べにくいのだけど」

希「いうてうち辛抱できずに食べちゃったからねー。真姫ちゃんの顔見るくらいしかすることなくて」

希「んふんふー…」

真姫(今日の希もなんか…変ね)

真姫「あの、ところで…実は今日…」

希「んー?なぁにかなぁー?お悩み事ー?」

真姫「…」

真姫「…やっぱいい」

希「えぇーん?言うてーなー。元生徒会長サマやよー?なんでも知ってるんよー」

真姫(絡み方がウザイ)

真姫「…平気よ。また困ったことがあったらその時お願い」

希「おっけー。期待しとくねー」

真姫「え、えぇ」

187: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:05:54.67 ID:pCvZJpcOo
一方その頃

ことりの部屋

ことり「ふふ…今日は楽しかったなあ…」ケータイポチポチ

ことり「海未ちゃんがスクールアイドルやる気にさえなってくれたら、最高の一日だったのに!」

ことり「でも、そうだよねー…。ただでさえ引っ込み思案な海未ちゃんだもんね…。それこそ、穂乃果ちゃんのため、とかでなければ…」

ことり「やるわけないよねー…。うぅん…」

ことり「…ま、一人で考え込んでも仕方ないか。今は今日の楽しかったことを振り返ってみよーっと」ポチポチ

ことり「ふふふ…、ここでの花陽ちゃんのテンションの上がり具合と言ったら…ぷぷ、思い出しただけでも笑いが…」

ことり「でも、アキバも何回か行ったことあったけど、意外と知らないところ、多かったなぁ…」

ことり「最初は変なお店、って思った場所も、案外入ってみると普通に楽しかったり…」

ことり「今までアキバのそういうお店って知識がないと楽しめないと思ってたけど、そうでもないのかぁ…」

ことり「やっぱり何事も、体験してみないとわからないもの、なんだよねー…」

ことり「…ん?」

ことり「…」

ことり「あ!!」

ことり「こ、これだーっ!!これだよっ!!」

ことり「ふ、ふふふふふふふ…!思いついちゃいました…!」

ことり「海未ちゃんに、スクールアイドルをやりたい、って思わせる方法…!」

ことり「これならきっと…行ける!覚悟しててよね…、海未ちゃーん…!ぬふふふふ…」

188: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:06:37.97 ID:pCvZJpcOo
翌日 月曜日 放課後

音楽室

ことり「皆、揃ってるわね?」

真姫「…誰の真似?」

ことり「あら真姫。これはあなたの真似よ。オホホホホ」

花陽「に、似て…ないっ!」

ことり「えー、ひどい」

真姫「純然たる感想だと思うわ」

ことり「でもでも、だってほら、ちょうどこの状況、先週の金曜日と同じだよね?」

花陽「あー…、確かに」

真姫「海未がいないことを除けばね」

ことり「んふふー、もうこの音楽室が部室みたいになっちゃってるねー」

花陽「いつまでもここを使うわけにはいかないんですけどね…」

真姫「で?わざわざことりが私たちを集めてまで話したかったことって何よ?」

ことり「ふふふふふ…、それはね?」

ことり「海未ちゃんをスクールアイドルに勧誘する方法だよっ!」

花陽「お、おぉぉっ!!?ことりさん、思いついたんですか!?」

ことり「うん、昨日寝る前に」

真姫「へぇ…、意外とあっさり思いつくのね」

ことり「昨日の秋葉原巡りが私にアイデアを与えてくれたの!」

真姫「それで、どんなアイデア?」

ことり「海未ちゃんにアイドルをやらせるためにはまず、海未ちゃん自身にアイドルをやりたい、って思わせることが大事って真姫ちゃん言ってたよね?」

ことり「そして昨日私は秋葉原の今まで見たことのなかった面を、実際見ることによって知ることができて、興味を持つこともできた」

ことり「だから、海未ちゃんにも見せてあげるの!」

ことり「本物のスクールアイドルを、間近で!そうすれば海未ちゃんも興味を持ってくれるはず!」

花陽「そ、それってつまり…?」

ことり「つまり…」

ことり「あのメイドカフェを、私たちの初めてのライブの舞台にしようってこと!」

189: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:07:20.92 ID:pCvZJpcOo
花陽「えぇぇっ!あ、あのメイドカフェで…!?」

ことり「ダメかな?」

ことり「海未ちゃん、アイドルの真似事はしてても真面目にスクールアイドルのライブを見たことはほとんどないだろうし…」

ことり「A-RISEのPVは見てるだろうけど、あれだけ上の存在から何かを学べ、って言われても難しいかも知れないし…」

ことり「じゃあ私たちが海未ちゃんの目の前で歌って踊って、スクールアイドルって本当はこういうものなんだよ、って示してあげれば…」

ことり「昨日の私みたいに、アイドルに対する興味が湧いてくるかもしれない、って思ったんだ」

花陽「な、なるほどぉ…。確かに一理あるかもです」

花陽「でも、あそこは…歌うくらいのスペースしかないですし、ダンスをするとなると…」

ことり「あー…、そっかー…。お店の中でやるのは難しいかも?」

ことり「じゃあダメかなぁ…」

真姫「…いえ、アリかも」

ことり「ホント!?」

花陽「えぇっ!でも真姫ちゃん、広いとは言えないお店でアイドルをするのはお店側にも迷惑じゃ…」

花陽「あ、それとも店外でゲリラライブ、って形にするのかな?それなら踊るスペースも…」

真姫「うぅん、そうじゃない」

真姫「海未に見せつけるなら…、全く同条件のほうがわかりやすいわ」

真姫「本物と偽物の違いをはっきりさせつつ、アイドルの楽しさを理解させるためにはね」

花陽「に、ニセモノ…。海未さんのアレをそう表現しちゃうんだ…」

ことり「だけど肝心のお店の広さの問題はどうするの?バタバタ踊って埃を立てるのはいけないよね」

真姫「それなら問題ないわ。今回の曲は激しい曲じゃない」

真姫「小さく可愛らしい振り付けなら店の広さは関係ないし、間奏や歌ってる最中にお客さんに近づいたりすればアイドルらしさも表現できるでしょ?」

花陽「なるほど…。海未さんに足りていない、お客さんへの感心、だね」

真姫「そう。見る人を喜ばせる、アイドルの本質とも呼べる部分だわ」

ことり「あ、じゃあ大丈夫かな?私の案、いい感じ?」

真姫「えぇ、いい感じよ!あとはお店から許可が出れば、の話だけど」

ことり「わ、私交渉してみるね!」

真姫「お願い、あとは…」

花陽「…」

真姫「…花陽?」

花陽「えっ?な、何かな…」

真姫「いえ、ボーっとしてたから。もしかしてまだ、不安なことある?」

花陽「え、あっ…、うぅん。なんでもない」

花陽「いざライブをするのかぁ…、って思うと緊張しちゃっただけ。うん、いつかしないといけないんだもんね」

花陽「わ、私も頑張るよ!海未さんにアイドルの素晴らしさ、伝えなきゃ!」

真姫「えぇ、その調子よ!さぁ、じゃあそうね…」

花陽「…」

花陽「…でも、なにか…足りないような…」

190: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:08:10.60 ID:pCvZJpcOo
真姫「そうね、ついに歌の練習が必要になってくるというわけよ」

ことり「そうだね!」

花陽「う、うんっ…!」

真姫「…」

真姫「どうする?」

ことぱな「「えっ」」

真姫「歌う場所…、このままじゃ借りられないんでしょ?部活じゃないと」

花陽「あー…、そうだね。音楽室は…」

ことり「じゃあ他のところとなるとー…」

真姫「…めぼしいところは皆他の人たちが使っていたわ。時々空いてることもあるけど、毎日練習する私達にとっては…」

ことり「意味がない、よね…」

花陽「でも新しい部活をするとなると…」

真姫「人が足りない、でしょ?…はぁ」

ことり「そっかー…。その問題もあるん、だよねー…」

花陽「やっぱり、学外で練習する?公園とか…」

真姫「そこは公民館とかでないと、近所の迷惑になるわ」

ことり「でも、そういうところって毎日借りようとすると…」

真姫「…お金がかかるわね」

花陽「花陽、そんなにお金持ってないよぉ…」

ことり「私も…」

真姫「私も、今はね…」

花陽「う、うーーーーーん…意外と難しい問題?」

ことり「部活に入ってさえいれば音楽室は借りられるのに…」

真姫「部活、ね…」

真姫「どこか既存の部活に入ることができれば…」

ことり「…」

花陽「既存の部活?」

真姫「えぇ、それなら5人いなくても平気でしょ?入部するわけだし」

ことり「…ん?」

花陽「でも…、それってつまり部で借りる、ってことでしょ?例えば吹奏楽部に入部したとして…」

花陽「吹奏楽部名義で音楽室借りて、本来の吹奏楽部はホールで、私たちだけ音楽室、っていうのは…無理なんじゃないかな?」

真姫「あー…、確かに」

花陽「それに私たちのやることってアイドル、だよね?その活動に適した部活でないと意味ないんじゃないかな…」

花陽「私たちだけアイドルやります!っていうのも、部活動やってるとは言えないし」

真姫「そうね…。正論すぎるわ」

真姫「はぁ…。アイドル関係の部があれば話は簡単なんだけど…」

花陽「あはは、アイドル関係の部なんてそう都合いい話が…」

ことり「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!!!」

まきぱな「「!?」」

191: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:08:56.65 ID:pCvZJpcOo
真姫「ど、どうしたのよ…」

花陽「いきなり大きな声だして…、先生に見つかっちゃいますよ!?」

ことり「あ、あるよっ!!あるんだよっ!」

真姫「…何が?」

花陽「何があるんですか?」

ことり「アイドル関係の部がっ!」

まきぱな「「えぇっ!!?」」

真姫「それ、本当なの!?」

花陽「アイドル関係の部…!?あるんですか!?」

ことり「うん!…たぶん!」

真姫「た、たぶん…?」

花陽「随分とあいまいですね…」

ことり「だ、だって…聞いたのはだいぶ前に穂乃果ちゃんの口からだけだし…」

ことり「UTXの数ある部活を全部把握しているわけじゃないから、今も残ってるかは知らないけど…」

ことり「確か昔、穂乃果ちゃんが言うには…」

(穂乃果「うん!聞くところによるとね、2年の先輩がやってる…、アイドルなんとか部?ってところが学校に提案したみたいで…」)

ことり「スクールアイドルを運営するところに直接進言しに行った部活…だったっけ?」

ことり「かつてのA-RISEの制度を改変して、今のバックダンサーも育てる制度にした…」

花陽「そ、そんな部が…?初めて知りました…」

真姫「それ、私も聞いたことある。そんな部活があるとまでは聞いてなかったけど」

真姫「花陽はこういうこと目ざとそうだけど、知らなかったのね」

花陽「うん、UTXでアイドルといえばA-RISEとアイドル専攻、ってイメージだったから。それ以外は露とも…」

花陽「でもその、アイドル…なんとか部?なら、お願いすれば入部させてくれるかも!アイドル活動も、部活動として認定されそうだし!」

真姫「そうね。早速…」

ことり「あ、でも…」

真姫「うん?まだ何か?」

ことり「…その部活のこと、最近は全く何も聞かないから残ってるかどうか…」

ことり「もしかしたら廃部になってる可能性だって…」

花陽「えぇぇぇぇ…、そんなぁ…」

真姫「せっかく見つけたのにそれは困るわね…。でも、行ってみないとわからないわ」

ことり「…そだね。期待せずに、行ってみよう」

192: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:09:39.97 ID:pCvZJpcOo
真姫(正式な部にはそれぞれ、部室が用意される)

真姫(部員の数や大会等の成果などにより部室の大きさは多種多様だけど、ない、ってことはないみたい)

真姫(電子生徒手帳に記載されている部の紹介ページから、私たちはそのアイドルなんとか部を探した)

真姫(メジャーな部活からマイナーにも程がある部活まで、大小さまざまな部活たちをくぐり抜け)

真姫(やっと見つけた、『アイドル』が名前に冠してある部活)

真姫(その名は…『アイドル応援部』)

真姫(紹介ページに載ってある部室のある場所の情報を得て、私たちはついにそこへたどり着いた)

真姫(はず、なんだけど…)

アイドル応援部前

真姫「こ、これが…」

花陽「部室…?」

ことり「ちっさ」

真姫「い、言っちゃダメよ…。敷地的には女子トイレと何ら変わりないけど!」

花陽「真姫ちゃんもひどいこと言ってる!」

ことり「だってこれ…、隣の教室と教室の間に偶然出来ちゃったスペースを部室にしてみましたって感じだよ!?」

真姫「言い得て妙だわ」

ことり「それに…、部名の表札も寂れてるし…。長らく使ってないよ、これ」

花陽「うぅ…、ホントです…」

ことり「多分、何か理由があって廃部になってないだけの誰もいない部だと思う」

ことり「入部にはその部の部長の許可が必要だから、もうやる気もないその人に言ったところで…」

花陽「入部できない、ってこと…!?」

ことり「…多分ね。試してみないことにはわからないけど、でも…」

真姫「可能性は薄い、か…」

ことり「とにかく、部長さんを探そ。職員室に聞きに行けば誰が部長か、わかると思う」

花陽「そうですね!なんとかして説得して…」

真姫「あ、その前に…、部室の中がどんな風になってるか見てみてもいい?」

ことり「え、無理だと思うけど…。使ってない部室は鍵がかかって…」

ガチャッ

ことり「…え?」

真姫「空いてる…?」

ことり「施錠のし忘れかな…?」

真姫「いいわ。とりあえず中に…」

193: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:10:32.26 ID:pCvZJpcOo
ギィィィ…

木の軋む音と共に扉を開き。

中を覗き込んだ私たち。

そこにあったのは。

殺風景な小さな部屋の中に、デスクがひとつ。

その上には写真立てが置いてあり。

そしてそのデスクに座る人影が、一人。

それはみんなのよく知る人で。

そして、私のよく知る人でもあって。

でも、どうしてそこにいるか、わからない人でもあった。

ハテナが頭にいくつも浮かんでしょうがない、そんな私たちを見かねて彼女は。

ゆっくりと、口を開き、こう言った。

希「アイドル応援部へようこそ」

希「部長の、東條希、やよ」

194: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:11:15.55 ID:pCvZJpcOo
多目的ホール

「ワンツースリーフォー…」パンパン…

穂乃果「はぁっ…、ふっ…!」

「はい、じゃあここでひとまず休憩ね。水分補給を忘れずに」

「それと…、穂乃果。少しいい?」

穂乃果「…なんですか?」

「何か嫌なことでもあったのかしら?」

「先週末から笑顔が減っていっているわ」

穂乃果「嫌な、こと…?」

穂乃果「…」

(ことり「私、A-RISEの衣装やめる」)

(ことり「これで…もう友達じゃなくなっちゃった」)

穂乃果「…別に」

穂乃果「何もありませんよ」

「私に嘘を言うつもり?毎日練習を見ているんだから多少の変化くらいすぐわかるのよ」

「不機嫌な理由があるはずよ。言いなさい」

穂乃果「…本当に、なんでもないんですけど」

穂乃果「あ、でもあれかな。なんでも一年生が自主的にスクールアイドルを始めるって聞いたから」

穂乃果「それで苛立ってたのかも」

「自主的に、スクールアイドルを…?」

「それ、誰が?」

穂乃果「確か…、西木野さん?西木野…、真姫、って名前だったと思います」

「っ…!西木野、真姫…!」

「へぇ…、そう…。そう、なんだ…」

穂乃果「…?知ってるんですか?」

「まぁ、ね。ありがとう、面白いことを聞けたわ」

「今度、実際に会って確かめてみたいわね。…フフフ」

195: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:11:55.30 ID:pCvZJpcOo
アイドル応援部

真姫「なっ…!」

真姫(念のためと思ってドアを開けたアイドル応援部の部室)

真姫(そこになぜか、私の知っている彼女が…)

真姫(泣く子も黙る元生徒会長サマがふんぞり返っていた)

真姫「の、希っ…」

花陽「生徒会長!?あ、元…」

ことり「東條先輩…っ!?」

希「ん、正解。うちは希で元生徒会長で東條先輩やよ」

真姫「そ、そんなのわかってるわよ!聞きたいのは…」

真姫「どうしてあなたがここにいるのかってこと!」

真姫「まさか、さっき言ってたこと…マジなの…?」

希「そう、マジ。うちは東條希、元生徒会長でありながら…」

希「アイドル応援部初代部長でもあった。どう?びっくりした?」

真姫(びっくりなんてものじゃない)

真姫(この世界に来てから私は驚かされっぱなしよ)

真姫(何がどうまかり間違ったら、希がアイドル応援部とかいう部に入部するというのか)

真姫(しかも、部長、だなんて…)

花陽「…ん?今、初代って…。ということは…」

ことり「もしかして東條先輩が立ち上げたんですか?このアイドル応援部…」

真姫「ハァッ!?え、嘘っ…!?」

希「まぁ、そういうことになるかな?若気の至りってやつよ」

真姫「」

花陽「ま、真姫ちゃんが驚きすぎて白目むいてる…」

ことり「ていうか真姫ちゃん東條先輩と知り合いだったんだ…」

196: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:12:23.95 ID:pCvZJpcOo
希「はいこれ。粗茶になります」ストッ

花陽「あ、ありがとうございます」

ことり「おかまいなくー」

真姫「…」ブスッ

真姫(私たちが部室に訪問したということで、立てかけてあったテーブルとパイプ椅子を並べて、客人として扱われることとなった)

真姫(部長自らお茶を出してくれたわ。まぁ、部長しかこの部室に部員がいないんだから当たり前だけど)

真姫「…」ズズッ…

真姫「…ぬるい」

希「でー…。どこから説明して欲しい?」

真姫「最初からよっ!当たり前でしょ!」

ことり「真姫ちゃん、先輩なのにあたりが強いね…」

花陽「なんでも物怖じせずに突っかかれるのが真姫ちゃんのいいところなんですよ、…おそらく」

希「最初からか…。つまり18年前…」

真姫「生まれたときからはいいわっ!あなたがこの学校に入って、この部活を立ち上げた経緯!」

真姫「その説明をお願いしたいの!」

希「もー、始めっからそう言ってくれればいいのにー」

希「せやねー…、じゃあなんでうちがこの部を作ろうかと思ったか、から行こかな」

197: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:13:07.46 ID:pCvZJpcOo
希「うちはもともと、親の仕事の都合で中学生くらいまでは各地の学校を転々としてたんよ」

希「それで仲のいい固定の友人が少なくて、趣味の合う子を見つけるのも一苦労やった」

希「高校からは東京に一人暮らしすることになって、もう転校することもなくなったから」

希「何か、共通の趣味を持つ友人が欲しいな、ってなんとなく漠然と考えてはいたんよ」

希「そしたらね、うちは見てもたんよ」

希「それまで興味のなかった、スクールアイドル。先々代のA-RISE」

希「UTXに入学して初めて、間近で彼女らを見たとき、うちに電流が走った」

希「その瞬間に、うちが青春を賭けるべきものはこれや!って思った」

希「でもうちは芸能科じゃなかったし、アイドルも自分でやりたい、とまでは考えてなかった」

希「だけど、何らかの形で彼女たちを応援したい!アイドル活動をするお手伝いがやりたい!」

希「そんな考えの子はうちのクラスだけでもたっくさんいて…、その子の友達にもいっぱいいて」

希「だったら…、そんなにいっぱいいるんやったら、できるんじゃないかって思って」

希「たくさんの友人が欲しかったうちは、人伝いにその子達を集めて結成しようって呼びかけた」

希「このUTX学院の誇るスクールアイドルグループ、A-RISEを応援する部活…」

希「そう、アイドル応援部を作ろうって!」

希「それが、この部活ができた顛末なのだ!デデンッ」

198: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:13:53.68 ID:pCvZJpcOo
真姫「いや顛末って…結局人は集まったの?」

希「もちろん!上級生も巻き込んで、結構な数が集まったよ!」

希「ただ話題性だけで集まったようなものやし、一気に部員がたくさんいてもまとまらないな、って思って」

希「最初はうちと初めに話を持ちかけた数人、それと…初期に集まった子達を含めた何人かで部を立ち上げたんよ」

希「で、部を立ち上げるためには部長を決めないと、ってなって、最初に言い出したうちが部長に任命されたってわけ」

希「まぁ、普通に盛り上がるより面倒なことが多かったから、部長を押し付けられた、って言うんが正しいかもね」

花陽「あー…、なるほど」

希「部長ってこともあって、部を設立してからスクールアイドルの運営に交渉するのはもっぱらうちの役目」

希「スクールアイドルのお手伝い、何かできませんか!?って詰め寄ってんよ」

希「そしたら向こうは、自主的にやってくれるならこれほど嬉しいことはない、みたいなことを言ってすんなり任せてくれて」

希「それまでは運営側で用意してた舞台の設置とか色々をうちらアイドル応援部に任せてくれることになったんよね」

ことり「へー…、意外と大事なことやってたんですね」

希「せやよー?一番勢いのあるときなんか、A-RISE候補生の体調管理やら筋肉の状態までも把握するようになっていって…」

希「うちもそのためにいっぱいいっぱい勉強したんよ。そのおかげで、今じゃ汗の臭いで心理状況を把握できるようにまでなれたわ」

ことり「そんなこともできるんですか!?」

希「うん。意外と出来るものやよ?カウンセリングも得意やし」

真姫「あっ…!そういえば前もそんなことを言っていたわね…!てっきり冗談だと思ってたら…」

希「ふふ、真姫ちゃんの汗の臭いも度々嗅がせてもらってたしねー。どんな心境か手に取るようにわかったわー」

希「ま、それは置いておいて…。それから徐々に人を増やして、裏方として活躍もするようになって…」

希「スクールアイドル運営にも関われるほど評価されたこともあってね」

花陽「はわぁぁ…!そんなすごい部活だったんですか…!」

真姫「…で、そのすごい部活がどうして」

真姫「こんな小さな部室に収まっているかの理由は、教えてもらってもいいのかしら?」

花陽「…あ。そ、そっか…!」

真姫「まさか、全盛期もこんな部室だったわけじゃないんでしょう?」

希「うん…。そうやね」

希「いいよ。教えたげる。って言っても、これは色々と複雑な理由も入り混じってるから説明がややこしいんやけど…」

希「まぁ、一言で説明するならこうかな」

希「喧嘩別れ、やね」

ことぱな「「…っ!」」

真姫「…あなたも、なのね」

199: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:14:55.41 ID:pCvZJpcOo
希「アイドル応援部はあまり表立って評価されるような部活ではなかったけど」

希「運営からは確かに信頼の厚い部でもあった」

希「そんでね。うちはA-RISE候補生の子たちの面倒を見ていくにつれて胸にある思いを抱くようになった」

希「この子たちはこんなに頑張ってるのに、その大半が誰にも見られることなく終わっていく」

希「数少ない『A-RISE』って称号を手にした子も、活躍するのはわずか1年の間のみ」

希「それじゃ、もったいないって」

真姫「ま、まさかっ…!あなたの言っていた、『運営に新案を提唱した生徒』って…!」

希「そう。うちや」

希「アイドル応援部を設立して約1年、運営との信頼も厚いうちだからこそできた提案」

希「最初は、A-RISEのメンバーを増やそう、みたいなことやってんけど」

希「すったもんだあって、今のバックダンサー制度に落ち着いたんよ」

真姫「そう、だったのね…」

真姫(最初に希の家に泊めてもらったあの夜)

真姫(彼女からA-RISEにバックダンサーがついている経緯を教えてもらってはいたけど…)

真姫(確かにあの時、関わってないにしては詳しすぎる、とは思ってた…)

真姫(なんてこと、関わってないどころじゃない。希はかつて、A-RISE運営の中枢にいたんだから)

真姫(A-RISEがそうなった顛末に詳しいのも当たり前だったってことね…)

希「そんで、そこまでならこじれることのない、普通のお話よ」

希「問題はここから」

希「バックダンサー育成に関して、運営はうちらに全権を一任した」

希「好きなようにやってもらっていい。ただし、評価はさせてもらう、って条件で」

希「バックダンサーの本格的な始動は来年の五月、それまでにA-RISEにも負けないほどの実力のある候補生を育てろ、って言われた」

希「最初は応援部一丸となって、一つの育成方法で頑張ろう、ってことになってたんやけど」

希「失敗は許されない初めてのゼロからのスタート。評価されなければうちらの努力も水の泡」

希「そんな状況でひとつの道しか作らないのは危険だってことになって」

希「いくつかの育成方法に別れて、候補生を何人かのグループに分けて、それぞれの育成法を試していった」

希「うちもそんな中のひとつだったけど」

希「でも…、うちの方法は評価されなかった」

希「評価されたのはたった一つ」

希「今の、候補生の育て方だけやってんよ」

200: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:15:25.26 ID:pCvZJpcOo
ことり「今の方法って…」

花陽「つ、つまり…、私も体験した、あの方法、ですよね…?」

真姫「…才能を食いつぶし、さらに才能あるものの糧とする」

真姫「そんな、残酷なやり方」

希「…ふふ、真姫ちゃんもそんな感想持っててんね」

希「うちも、そうだった」

希「誰が評価されても恨みっこなしで、って、そう言って始めた方法だったけど」

希「うちはそのやり方だけは許せなかった」

希「どうして…、どうしてアイドルを育てるために、誰かが涙を流す必要があるのか」

希「好きだったものを、大嫌いと言わせてしまうくらい、人を変えてしまうそのやり方に」

希「どうしてもうちは、納得できなかった」

希「だから言い寄った、詰め寄った。いくら評価されてても、それはやめてと」

希「そしたら、その育成法を用いた、うちのかつての友達はこう言い放った」

希「『素人同然の人ゴミから短時間で輝くものを見つけるには、こうするしかないでしょう?』」

希「『全部を対等に育てるのなんか、労力の無駄』」

希「『他の栄養を吸えば、それだけ才能は大きく花開く。強い花であればあるほど』」

希「『ならそのために、その他大勢の才能を犠牲にすることの、なにがいけないの?』ってね」

真姫「…っ!」

201: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:15:56.16 ID:pCvZJpcOo
希「…うちね。その子のこと…、そんな子やって思ってなかったから」

希「最初は唖然として、何も言えなくて」

希「その次に、そんなことを言われたことのショックが大きすぎて、泣いてしまって」

希「最後に…、怒りを全て、平手に込めて。思いっきりその子をビンタした」

希「叩かれた方は、冷たい目でうちを一瞥して、それっきり。何も言わずに去っていった」

希「それから、かな…。アイドル応援部が瓦解し始めたのは」

希「その子以外の方法は軒並み評価されず、残ったのは数少ない強い才能を特化して育てるその方法だけ」

希「今はA-RISE候補生の練習の全権を、彼女一人が任されている」

希「今やアイドル応援部にあった信頼は、全部その子に」

希「アイドル応援部に所属してなくても、彼女の一声さえあればA-RISEに関わることができた。むしろアイドル応援部に入ってない方がしがらみが少ない」

希「そういう経緯で、応援部からはどんどん人が減っていった。最後に残ったのは、この小さな部室と…うち、だけ」

希「これが、アイドル応援部栄枯盛衰の物語。その全て、かな」

希「…何か質問は?」

ことまきぱな「「「…」」」

希「ない?」

真姫(彼女の話した、この部の始まりから終わりは)

真姫(私たちが想像していたよりも壮絶で)

真姫(呆気に取られた私は、しばらく考えることすらできなかった)

真姫(ようやくして、花陽が口を開いた)

202: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:16:29.98 ID:pCvZJpcOo
花陽「…すごい、話、ですね」

希「ふふ、せやね。ここ2年が、うちの人生の中で一番濃厚やったかも」

希「そりゃまぁ、嫌なこともあればいいこともあって、今となればなかなかの思い出だったよ」

花陽「あの…、その、練習が評価された人、って…、今A-RISE候補生を取り仕切ってる人、なんですよね…」

希「うん、せやね。厳しかったでしょ?」

花陽「はい、とても…。怖くて、逃げ出しちゃいました…」

ことり「あぁ…、あの人かぁ…。確かにとても綺麗な人だったけど、不良なのかな、って驚いちゃった」

真姫「不良?そうなの?」

ことり「うん、だって…」

ことり「髪の毛、びっくりするくらい金色に染めてたから」

真姫「金髪?」

ことり「あの金色は長年染めてるんだろうなぁ、って感心しちゃったよ。印象に残ってる」

花陽「あ、そうですね。私もそれはびっくりしました。でもあれって…」

希「あれは自毛やよ」

ことり「えっ!?そうなんですか!?」

希「うん、彼女…、クォーターやから」

真姫「…っ!?」

花陽「へー…、クォーター…」

真姫「待って!く、クォーターって…」

ことり「金髪って劣性遺伝だから遺伝しづらいはずなのにすごいなー」

真姫「そんなことどうでもいいのよっ!!金髪、クォーターってま、まさか…」

希「あぁ、真姫ちゃんは会ったことあるんだよね。確か…」

真姫「ねぇ!名前…!その人の名前、教えなさいよっ!」

希「…?真姫ちゃんも知ってると思うんやけど」

希「その子の名前は…」

希「絢瀬絵里、やよ」

203: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:17:38.59 ID:pCvZJpcOo
真姫(この世界で最初に出会った頃から、どんな人か謎だった彼女)

真姫(これまで素性の欠片もわからなかった、μ’s最後の一人)

真姫(絢瀬絵里…、エリーチカが、まさか)

真姫(花陽と共に打倒しようと誓った、UTXの闇)

真姫(元凶、そのものだったなんて…)

真姫「う、嘘…!」

希「嘘違うよ。前までは名前で呼び合うくらい仲が良かった…、親友って言える子やってんけど」

希「でも、プロ意識が強すぎたんかな。幼少期からバレエで一線級の世界に居続けたみたいやったし」

希「勝てないことの悔しさを知ってる子やったから…、どんなことをしても信頼を勝ち取りたかったんやと思う」

希「結果的に一年間でA-RISEと同程度の実力を持つバックダンサーを発掘したのは、彼女の力でもあったし…」

希「…それでもうちは、認めたくないけどね」

真姫「…」

真姫(…絵里が、元凶)

真姫(その事実は受け入れがたいほどショックなものだったけど、冷静に考えればそうおかしくないものなのかもしれない)

真姫(かつて私たちμ’sの前に立ちはだかった生徒会長の絵里。彼女も…、冷徹な考えを持っていたのだから)

真姫(穂乃果と交じり合うことでその考えは穏やかになり、今では立派なムードメーカーだけど)

真姫(もし、あんな考え方の絵里が…、誰よりも評価されたのなら)

真姫(今のA-RISEの在り方がこうなっているのも、納得できる気がする)

真姫「…絵里を、私たちが…」

真姫「倒す…か」

真姫「…」ゴクリッ

希「んー、他に質問ある子はいるかなー?」

ことり「あ、えっと…はい!」

希「はいことりちゃん!」

ことり「あの、東條先輩…」

希「希ちゃんでええんよー」

ことり「希ちゃん先輩は、どうして生徒会長に?アイドル応援部も兼ねて忙しかったんじゃ…」

希「んー、ふふ…、新しい生徒会長を決める頃には、うちはもう忙しくなくなってたっていうか…」

希「…早々と、切り捨てられた組やったのよね」

希「んで、えりち…、絢瀬さんが傷つけたアイドル専攻の子、彼女たちを、元気づけてあげたい、って気持ちもあって」

希「それまでついでくらいに所属してた生徒会で、会長に自ら立候補したんよ」

希「会長になれば、問題児…って言い方もどうかと思うから、心のケガで学校に来てない子とかの情報もすぐに手に入るし」

希「絢瀬さんのアフターケア、っていうと、なんか癪に障るけど。そうやって元アイドル専攻の子達を、今の真姫ちゃんみたく家に泊めて慰めたり、なんかね」

ことり「なるほどー…。大変、なんですねー…」

204: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:18:15.57 ID:pCvZJpcOo
希「はい。じゃあもうないかな?質問はー…」

真姫「…じゃあ、最後に一つだけ」

希「ん、真姫ちゃん」

真姫「どうして、ここにいたのよ」

希「…どういうことかな?うちは部長やねんから、いてもおかしくないと思うけど」

真姫「今の話を聞く限りだと、もうこのアイドル応援部ですることなんてほとんどないんでしょう」

真姫「もう長いこと使ってない形跡だって、外からも確認できる」

真姫「普段からここに通うことなんて、なかったはずよ。ずっと生徒会にも行ってたんでしょうし」

真姫「なのにどうして、わざわざここに居たのかって聞いているの。まるで私たちを待っていたかのように」

花陽「そ、そういえばそうだよね…。ことりちゃんはここを見て、多分使ってないって判断してたんだし…」

真姫「どうしてかしら?希」

希「…それを待ってたんよ」

真姫「えっ…」

希「それを聞かれるんを待ってたのだ!やっと言えるから!」

真姫「な、何を…!?」

希「何故この時間、この部室にうちが居たかって!?そう、それは!」

希「そのとおり!うちは知ってたからよ!君たちがここに来るのを!」

希「なぜならっ!」

ビュオォォオォォォッ!!!

ことり「ひゃぁっ!!?何この風っ!?」

花陽「急に窓が開いてっ…!?」

真姫「こ、これはっ…!」

希「カードがうちに、そう告げるんやっ!!!」

205: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:19:14.22 ID:pCvZJpcOo
バサァァァァッ!!

ことり「風でカードがはためいてる…!?」

ヒュオッ パシィンッ!!

真姫「痛っ!!?な、何よこれ…!」

ことり「真姫ちゃんの顔にカードが張り付いた!?」

花陽「これって…、お星様?」

希「崩壊の後の再生を告げる星のアルカナ。『希望』を意味するそれは…」

希「うちの、そして君たちの希望を指し示しているのだ!」

希「真姫ちゃんも言ってたやん?困ったことがあったらお願いって!」

希「今がその時よ!はっ!」ヒュヒュヒュッ

パシッ パシッ パシッ

真姫「これって…」

花陽「この紙は…」

ことり「もしかして…」

希「この部への入部届!アイドル応援部は君たちを歓迎します!」

花陽「入部届…!?ってことは!」

ことり「私たち、今日からアイドル応援部…!?」

真姫「つまり…、音楽室が借りられる…!歌の練習ができるようになるってことよ!」

希「そういうこと!」

希「さぁ…、ここからが真の始まりやよ!」

206: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:19:51.93 ID:pCvZJpcOo
花陽「つ、ついに私たちも歌の練習ができる…!」

真姫「この入部届に記入すれば入部できるのよね?」

真姫「なら今すぐ提出して早速音楽室を…」

希「あー…。それがね」

希「入部届には生徒会長が目を通す必要があるから、たぶん受理されるのは明日になるかなぁ…」

ことり「えっ」

真姫「ち、ちょっと!?それじゃあ今日は音楽室は借りられないってこと!?」

希「まぁ、せやね」

真姫「期待させておいてこれなのね…」

花陽「まぁまぁ…。明日には借りられるようになるんですよね?」

希「うん、もちろんや。うちに任せとき!」

ことり「じゃあ今日も…」

真姫「神田明神で体力作りになるわね」

花陽「ゔっ…。ま、またかぁ…。そろそろ歌いたいよぉ…」

真姫「ダンスの練習も大事よ。それじゃ今日は私たちここにいる必要はないってこと?」

希「うん、せやね。入部届に記入して預けてくれれば、あとはうちが生徒会に提出しとくね」

希「あんまり生徒会長とは顔合わせたくないでしょ?」

ことり「そんな、ことは…ないです」

希「あーごめんごめん。でもまぁうちがまとめて持っていったほうが効率がいいし」

真姫「そうね。そうさせてもらうわ。…ことりもいいでしょ?」

ことり「…うん」

花陽「はい、書けました!」

希「ん、これで3人分ね。確かに預かりました」

真姫「頼んだわよ。じゃ、私たちは行きましょ」

ことり「そだね」

ガチャッ ギィィィ…

真姫「それじゃ希」

希「ん?」

真姫「…明日もまた、この部室でね」

希「…うん、また明日」

バタンッ

希「…」

希「…実に、1年ちょっと振りの、新入部員か」

希「ふふ、なんか、変な気分やね…」

207: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:20:25.64 ID:pCvZJpcOo
生徒会室

コンコン

生徒会役員「はい、どうぞ」

ガチャッ

生徒会役員「…あっ」

希「や、久しぶり。元気やった?」

生徒会役員「…今日はどうされました?既に引退したはずの会ちょ…先輩が生徒会室になんて」

希「んー、ちょっと顔を見に…っていうのは冗談で」

希「はいこれ」スッ

生徒会役員「…これは」

希「アイドル応援部への入部届。お願いね?」

生徒会役員「懐かしい名前ですね…。こんな時期に新入部員ですか?」

希「まぁね。いきなりでうちも休まる暇がないわー」

生徒会役員「その割には…ふふ、嬉しそうですね」

希「お、そう見える?なら…、そうなんやろうね」

生徒会役員「えぇ。…あれ?」

生徒会役員「これ…、3枚は記入されてますが…1枚だけ白紙ですよ?」

希「ん?あ、いけないいけない」

希「これは…まだ早い、かな」サッ

生徒会役員「早い?それはどういう…」

希「んふっ、内緒♪」

希「じゃ、穂乃果ちゃんによろしくね?あの子あんまりうちのこと好いてへんと思うから、やんわり言っておいて」

生徒会役員「はぁ…。わかりました」

希「じゃね。次いつ会えるかわからんけど」

生徒会役員「はい、いつでもお待ちしてます」

ガチャッ バタンッ

希「ま、これであとは…」

希「…ん?」

希「おや、おや…」

スタスタ…

穂乃果「…希、さん?」

希「まさか、こんな時間に会える、なんてね…」

208: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:21:02.69 ID:pCvZJpcOo
穂乃果「…なんで、希さんが生徒会室から?」

穂乃果「生徒会長はお辞めになったはずですよね?」

希「うちは部長でもあるからね。新入部員の入部届を出しに来たんよ」

希「それより穂乃果ちゃんこそ、どうして生徒会に?アイドル専攻はええん?」

穂乃果「…ずっと生徒会をサボるわけにもいきませんから」

穂乃果「生徒会の業務が終わってから、居残りで練習しようかと」

希「へぇ…」

穂乃果「…もう、一緒に帰る人もいないし」

希「ん?なんて?」

穂乃果「いえ、なんでもありません。それより…」

穂乃果「あなたが部長って…アイドル応援部ですか?今更新入部員…」

希「んふ、いいでしょ?」

穂乃果「…なにが?はぁ…、別にいいですけど」

希「あ、それと…、えりちは元気でやってる?」

穂乃果「絵里さん…?あぁ、元気ですよ…。今日も一人脱落者を生み出しそうです」

希「…それはまた、絶好調なことで…」

穂乃果「私には関係ないことなんで、構いませんが。…と、そろそろそこ、どいてもらえません?」

穂乃果「いられると、邪魔なんで」

希「あぁ、ゴメンゴメン。邪魔者はどっか行くわー。ほな~」スタスタ…

穂乃果「…」

穂乃果「…、あと」

希「…ん?」

穂乃果「絵里さんのことですけど」

希「うん、なにかな」

穂乃果「…なんだか、楽しそうでしたよ。色々と」

穂乃果「それだけ、です」

希「…そう、ありがと」

スタスタ…

穂乃果「…」

穂乃果「…ハッ、何言ってんだろ、私…」

ガチャッ バタンッ

209: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:21:54.80 ID:pCvZJpcOo
神田明神

真姫「さてと、練習の前に…」

真姫「ついに海未を勧誘するための準備は整ったわ!そして、私たちのデビューの時もね!」

花陽「つ、ついに満を持してデビュー…!?」

ことり「いつか来るとは思ってたけど、ドキドキだよぉ…!!」

真姫「ま、まだ歌の練習もできてないし、先の話ではあるけど」

真姫「とりあえずまずは…舞台をセッティングしたいところね」

花陽「セッティング?」

真姫「ほら、海未に私たちのライブを見せるのならメイドカフェの許可が必要でしょ?」

真姫「いつになるかはわからないけど、ちゃんと許可が出るか確認くらいはしておかないと」

花陽「あー…、そうだね。これでダメです、って言われたら初めから考えなおしだしね」

真姫(まぁ、海未を歌わせてるし一度ライブをやったことがあるから許可が下りるであろうことはわかってるんだけど)

ことり「そっか…!その可能性もあるのか!う、不安になってきた…」

真姫「そう思うなら、自分で確認して。はい、これ電話番号」

ことり「え、いきなり…!?」

真姫「何事も早めのほうが都合がいいわ。さ、早く」

ことり「えっと…、ちなみに歌う曜日はー…」

花陽「海未さんのライブと被らないように土曜日のほうがいいかな?」

真姫「…いえ、そこは逆でしょう」

花陽「逆?」

真姫「サプライズとして海未のライブを乗っ取る方向で行きましょう」

花陽「な、何それっ!」

ことり「面白そう!」

真姫「海未がいつもの調子ではいはーい、って入ってきたら、ちょっと待ったー!って風に乱入するのよ」

真姫「当然海未は困惑してあたふた、その間に舞台から降ろして私たちが見事なライブを披露するって魂胆よ!」

ことり「いいよ!それすごく燃える!萌える!」

花陽「い、いいのかなぁ…」

真姫「メイドカフェの許可さえあればいいの。というわけで、私たちのライブは日曜日、正午」

真姫「ちょうど海未のライブを乗っ取るように始めるわよ!…お客さんも海未のおかげでたくさんいるだろうし」

花陽「それズルくない…?」

真姫「いいのよ!オーディエンスは多い方がいいんだから!」

ことり「流石にお客さんが一人もいないライブは寂しいしねー」

真姫「…そ、そうね。うん」

ことり「ん?」

210: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:22:57.52 ID:pCvZJpcOo
真姫「じゃ、電話で許可をお願いね、ことり」

ことり「了解しましたぞ!びしっ!」

花陽「頑張ってください!どきどき…」

ことり「えーっと…、ぴぽぱ…」

ことり「ごくりっ…」

プルルルル… プルルルル…

ガチャッ

ことり「…あ、もしもし、えっと、私南ことりと言いまして…」

ことり「そちらで働いています、園田海未さんのお友達なんですけど、…はい、はいそうです…」

真姫「…大丈夫かしら。こっちまで緊張してきたわ」

花陽「心臓が飛び出そう…!」

ことり「…はい、えっとそれで…、実は私、スクールアイドルをこれからやる予定でして…、はい、スクールアイドルです。A-RISEのような」

ことり「はい、あ、いえまだなんですけど…。これからなんです。それで、最初のライブにそちらのメイドカフェを使わせていただきたいな、って考えておりまして」

ことり「いかがでしょうか?えっと…あー…、はい、はい…。あ、わかりました」

ことり「今店長さんに替わってるところ…!ふひー…!汗が…」

真姫「花陽!」

花陽「うんっ!汗ふきふき!」

ことり「あ、ありがと…、…あっ!はいもしもし…、あ、はい、はい…南ことりです!あーあはは、ありがとうございます」

ことり「…はい、…え、あ!本当ですか!いいんですか!?やったぁ…!」

真姫「…どうやら大丈夫みたいね」

花陽「よ、よかったぁー…!」

ことり「それはいつでも大丈夫ですか?…あー、はい、…あ、そうですか。日にもよるけど、大体大丈夫だって」

真姫「じゃあ、いつかの日曜に、海未のライブと同じ時間にって言って」

ことり「おっけ。…あの、じゃあ日程なんですけど、まだ具体的にいつとは言えないんですが…」

ことり「海未ちゃんがそちらでライブをやっているじゃないですか、その時間と同じ、ってできませんか?」

ことり「海未ちゃんのライブを乗っ取る感じで!…はい、あ、はいっ!大丈夫です!あ、いいんですか!?」

花陽「やった!完璧だよ!」

ことり「うんっ!…はい?え、あ…はい。えっと…」

ことり「えぇっ!?」

真姫「…!何…?」

ことり「えと、それは…、はい、はい…。そ、そう、なんですか…?はぁ…」

ことり「あの、じゃあすみません…。少し相談させてください。…はい、はい、ありがとうございます。それでは」ピッ

花陽「と、途中驚いてたところありましたけど…大丈夫なんですよね?歌える、んだよね?」

真姫「何があったの?」

ことり「うん、歌わせてもらえるはもらえる、んだけど…実は…」

ことり「…海未ちゃん、来週でバイト辞めちゃう、んだって…」

211: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:23:33.71 ID:pCvZJpcOo
真姫「えっ…!」

花陽「メイドのバイトを、ですか…!?それとも謎のメイドのライブを!?」

ことり「メイドさん自体を、だね。前から決まってたみたい」

ことり「来週、っていうか今週末。それが9月最後のバイトだから、キリがいいところで終わらせるつもりだったんだって」

真姫「理由は…?」

花陽「謎のメイドのライブは人気だったのに!?そんな急に…」

ことり「そこまでは聞いてないけど…。たぶん海未ちゃんのことだから…疲れてきたんじゃないかな」

ことり「穂乃果ちゃんの気持ちを理解するために始めたバイトではあったけど、結局アイドルにかける情熱までは理解できなかったみたいだし」

花陽「でもそれだと…、海未さんのライブを乗っ取るには…」

真姫「チャンスは今週末だけ、ってことになるわね」

花陽「あと、6日!?」

ことり「それまでにダンスと歌と…あと衣装を?…無理だよね」

花陽「そ、そうなるとメイドカフェでのライブは断念したほうがいい、ってこと、かな…」

ことり「でもそうすると、海未ちゃんをどこかに連れてくることになっちゃうよね」

ことり「…サプライズのほうが面白そうなのに」

花陽「いやそれは…、うーん、でも…そうなるとまた場所の問題が…」

真姫「…」

真姫「…いえ、やりましょう」

花陽「…え?」

真姫「やってやろうじゃない!今週末!」

真姫「それまでに完璧にこなして、完璧なライブを海未に見せつけてやるのよ!サプライズで!」

花陽「えぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!?!?!」

212: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:24:50.47 ID:pCvZJpcOo
ことり「こ、今週末って…、もう6日しかないんだよ?歌の練習ができるのは5日だけ…」

ことり「そこにダンスの練習と衣装作りを含めれば…」

真姫「それなら心配ないわ!衣装なら既にあるじゃない!」

ことり「す、既にって…?」

花陽「あっ!もしかしてメイドさん?」

真姫「えぇ、その通り!メイドカフェで歌うんだもの!メイドの衣装が一番ぴったりよ!」

ことり「なるほど、それなら…!あ、でもダンスは?」

真姫「これは元からカフェ内で大きく動けるわけじゃないから、一部のパートだけを決めておいて…」

真姫「あとは完全にアドリブにすればなんとかなるはず…!」

ことり「あ、アドリブ…っ!?そんなので大丈夫なの!?」

花陽「アリですっ!実際のライブでもダンスにアドリブパートが用意されている曲もあったりしますし…」

花陽「今回ならお客さんと触れ合える位置でもあります!それを利用すればダンスの未熟さをカバー出来るかもしれません…!!」

ことり「お客さんとの触れ合いを振り付けの一部にする、ってこと?」

真姫「そう。海未が辞めてからじゃ、ライブを見せる口実を作るのが面倒になるし…」

真姫「何より、サプライズだから面白んだもの!」

ことり「うんっ!それには同意!」

花陽「二人共サプライズ好きすぎじゃないかな…」

真姫「だってサプライズっていうのは、誰かを喜ばせるためにやることなのよ!」

真姫「まさに、アイドル!私たちの最初のライブにふさわしい演出じゃない!」

花陽「誰かを喜ばせるため…」

ことり「その誰かはお客さんでもあり、そして、海未ちゃんでもある…」

真姫「バイトを辞めるっていうなら都合がいいわ!なにせ、来週から休日練習に参加してもらえるんだし!」

真姫「海未への退職祝いとして、最っ高のライブを贈ってあげましょう!」

花陽「そ、そう聞くとなんだかワクワクしてきたかも…!」

ことり「よしっ!やろう!!できるよっ!だって…」

ことり「…やろうと思えば、やれないことはないんだからっ!」

真姫「決まりね。期日は今週末…。それまでに…」

真姫「海未…、『謎のメイド』を軽く超えちゃうようなライブ、完成させるのよ!」

ことぱな「「うんっ!!」」

213: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:26:13.20 ID:pCvZJpcOo
真姫「はいっ!」ササッ

ことり「…なにこれ?」

花陽「ピース?」

真姫「こういうときは、番号を叫ぶのよ。お決まりなの」

ことり「へぇー、そうなんだ…。じゃあ、はい!」ササッ

花陽「私も!」ササッ

真姫「じゃ、行くわよ。んんっ…」

真姫「…誰から言う?」

ことり「最初に始めたの真姫ちゃんなんだから、真姫ちゃんからでしょ?」

真姫「えっ…!私から…?」

花陽「今更何言ってるの。真姫ちゃんがリーダーなんだし、当たり前じゃない」

真姫「え、私リーダーだったの!?」

ことり「クスッ。気づかないでやってたの?今まで」

花陽「真姫ちゃんほどリーダーが似合う子はいないよー。ね?」

ことり「ねー」

真姫「私がリーダーって…。私が…」

真姫(今更、ホント今更自覚した、私が集団を引っ張っているって感覚)

真姫(こんな私が、リーダー)

真姫(誇っていいのか、照れるべきか悩むけど)

真姫(でもふたりは…花陽とことりは、私を信じてくれた)

真姫(信じて、運命を私に預けてくれた)

真姫(だったら私が揺るいでどうする)

真姫(柄じゃないのはわかってるけど、でも、今、この世界だけなら)

真姫(私は、誰よりも輝く存在であるべきなのよ)

真姫(A-RISEを超え、頂点を目指すために)

真姫(UTXを覆う闇を払い、真のアイドルとは何かを示すために)

真姫(スクールアイドルによる、革命を起こすためにっ…!!)

真姫「…よぉしっ!」

花陽「行こう真姫ちゃんっ!」 ことり「やる気、見せようっ!」

真姫「えぇっ!行くわよっ!」

真姫「1!!」

花陽「2!!」

ことり「3!!」

真姫(やってやる、やってみせる)

真姫(誰でもない、この私が)

真姫(みんなを、頂へ導くのよ)

「…クスッ」

214: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:26:45.68 ID:pCvZJpcOo
翌日 火曜日

真姫(私たちに与えられた猶予は5日間)

真姫(それまでに歌と踊りを完璧にこなす…!そのためには歌って踊れる場所を確保することが何よりも重要…!)

真姫(このUTXの音楽室なら十分に踊れるスペースはある…、でもまずは…)

放課後

アイドル応援部

バダンッ!!

真姫「希っ!」

花陽「希さんっ!!」

ことり「希ちゃん先輩!!」

希「ん、おや。3人揃って慌てて、どないしたん?そんな勢いよくドア開けたら壊れてまうよ」

真姫「に、入部…、入部許可は出た!?」

ことり「穂乃果ちゃんのことだから、もしかしてと思って…」

花陽「突っぱねられたなんて、ないですよね…!?」

希「あっ…、そ、それが…」

まきぱなこと「「「…っ」」」ゴクリッ

希「実は…、残念なことに…」

まきぱなこと「「「!!」」」ドキッ

希「3人とも入部決定や!これで部室が狭くなるね!」

まきぱなこと「「「っ!!」」」

「やっ…ったああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!」

真姫「こ、これでついに念願のっ…!」

花陽「歌が歌えるんだねぇぇぇぇぇぇ…!」

ことり「じゃあ今すぐ許可を…!」

希「それならもううちがもらっておいたよ。毎日放課後の音楽室の使用許可♪」

真姫「希っ!あなたって人はどこまで最高なの!?マーヴェラス!」

真姫「おっしゃあ早速行くわよぉぉっ!着いてきなさいっ!」ダダッ

花陽「わぁっ!!?待ってよぉっ!!」 ことり「すごいハイテンション…」タッタッタッ…

希「んふ、賑やかやなぁ」

215: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:27:21.18 ID:pCvZJpcOo
音楽室

真姫「もうどれだけここではしゃいでも文句は言われないわっ!ヒャッフゥ!」

花陽「ま、真姫ちゃんそろそろ落ち着いて…」

ことり「邪魔な机は後ろに下げてー…。っと、これで大丈夫かな?」

真姫「そうね。それじゃ、ついに始めるわよ…!歌のレッスン!」

真姫「まずは発声練習!あーあーあーあーあー!」

花陽「あーあーあーあーあー…」

ことり「は、花陽ちゃんすごくいい声!!そんな声出せるんだ…」

花陽「え、えへへ…。これだけならことりちゃんにも負けないよっ」

真姫「はい、ことりも!」

ことり「うんっ…!あーあーあーあーあー…」

真姫「うん、なかなか。もっとお腹から出せるようにね!」

ことり「了解であります!花陽ちゃん、いっぱいコツとか、教えてね?」

花陽「任せてくださいっ!」

真姫「それじゃあ次はロングトーン!すぅぅっ…あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」

ことり「うっさ」

真姫「そういうものよ!さぁご一緒に!」

「「「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」」」

真姫(大声出せるのが嬉しすぎて、初日は半分遊んでるみたいになっちゃったけど)

真姫(笑い合って、はしゃぎあって、楽しく練習するのが、私と、そして花陽が夢見ているアイドルの姿なんだもの)

真姫(これこそが私の知ってるスクールアイドルなんだもの)

真姫(最初は見せることのできなかった、私の世界)

真姫(これで少しは、花陽にも見せてあげられたかな?)

真姫「…っと、今日のレッスンはここまで!」

花陽「え?もう終わり…?」

ことり「あ、ホントだ!もうこんな時間…」

真姫「あっという間でしょ?さ、着替えて帰るわよ」

花陽「うんっ!」

ことり「歌うのって楽しいねー…」

真姫「今日は初日だから軽めにしたけど、明日からはダンスも一緒にやっていくんだからね!」

花陽「生半可な覚悟じゃバテちゃうねっ!がんばろ!」

ことり「うんっ!がんばるっ!!」

216: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:28:01.32 ID:pCvZJpcOo
真姫(家についてからも携帯で二人と振り付けについて夜遅くまで語り合った)

希の家

真姫「そうねー…、ここは簡単な振り付けでいいんじゃないかしら」

ことり『でもここって盛り上がるから、もーっとインパクトのあるダンスがいいと思う!』

花陽『あえてここをアドリブにして、次のパートを…』

希「うちはここでジャンプしたらいいと思うわー」

真姫「なんで会話に入ってきてんのよ?!」

希「ん?あかんかった?」

真姫「いや、悪くはないけど…今のアドバイス適当でしょ?」

希「んふー、まぁね」

花陽『あ、でも希さんってA-RISEに関わってるなら振り付けにも詳しいんですよね?』

希「あー、うちそこまで関わってはないわ。基本裏方で舞台の設置とかやってたから」

ことり『なんだー…、残念です』

希「他に困ったことがあったらいつでも頼ってくれていいからね?」

真姫「ありがと。遠慮なく頼らせてもらうわね」

花陽『ちなみに真姫ちゃんは今希さんのパジャマを着てるんですか…!?』

真姫「何聞いてんのよ!?」

希「せやよー。うちのお下がりでめちゃんこ可愛いやつー」

花陽『ぶはぁっ!!』

真姫「いや言わなくていいから!そして花陽はなんのダメージを受けたの!?」

ことり『…もう夜なんだから大声は控えようよ』

真姫(それからも話し合いは続き、12時過ぎた頃にまた明日ってなったけど)

真姫(その日は興奮しすぎて寝られなかったわ)

真姫(おかげで…)

翌日 水曜日

1年E組 授業中

真姫「くかー…、すぴー…」

女生徒「に、西木野さーん…」

真姫「…っは!?なんだ夢ね…、くかー…」

女生徒「いや、現実だよ!?」

真姫(私らしからぬ不真面目さを見せてしまったわ)

真姫(…後から聞いたら、花陽も同じことしちゃってたみたい)

真姫(ちゃんと自分の健康管理もしなくちゃね。…誰かの二の舞はゴメンだし)

217: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:28:31.29 ID:pCvZJpcOo
放課後

2年廊下

穂乃果「くしゅんっ!」

生徒会役員「…会長?風邪ですか?」

穂乃果「…そんなことないと思うけど。あ、それより目を通しておく書類とかはない?」

生徒会役員「はい、今月の各部の予算案が…」

穂乃果「…」

穂乃果「…あ」

海未「それでは、私は部へ。ことりも頑張ってくださいね」

ことり「うんっ!海未ちゃんもファイトっ!」

海未「はい」スタスタ…

穂乃果「…」

生徒会役員「…会長?聞いてますか?」

穂乃果「…聞いてる。ありがとう、帰りまでに考えておく。それじゃ、私、アイドル専攻があるから。あとはよろしくね」スタスタ…

生徒会役員「はい、頑張ってください」

弓道部

海未「…」グググ…

海未「ふっ!」ヒュッ

パシッ

弓道部員A「わー、園田さんさすがー。ど真ん中だよー」

弓道部員B「集中力が違うよねー…。弓を引く以外何も考えてないんだろうなー…」

海未「…」グググ…

海未(ことり、楽しそうでしたね。なんでもついに歌のレッスンができるようになったとか)

海未(今までできていなかったことに驚きでしたが、まぁことりが楽しければ私はそれで…)

海未(そういえば今週の日曜日でついに長きの付き合いだったメイドのバイトともお別れになってしまいますね)

海未(楽しくなかったといえば嘘になりますが、やっと解放される、と思うと気が楽でもあります)

海未(惜しむらくは、今まで見に来てくれたお客様をがっかりさせてしまうことでしょうか)

海未(しかしいずれ別れが来るのは世の摂理です。ならばせめて最高のもてなしを以てお別れということに…)

海未「ふっ!」ヒュッ

パシッ

ワーマタメイチュウー!! スゴーイ!!

海未「ふぅ…」

218: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:29:03.48 ID:pCvZJpcOo
真姫(こんなに急ピッチな歌とダンスの特訓は、私も今まで体験したことなかったから)

真姫(未経験な二人がついてこられるか少し不安だったけれど)

真姫(でもそれは杞憂に終わったみたい)

真姫(ここまで一度も弱音を吐かず、私についてきてくれた)

真姫(きっとそれは、二人に目指したい確固とした目標があるからこそ)

真姫(そして、その目標にたどり着くための足掛かり。それこそ、海未へのサプライズライブ)

真姫(彼女に夢を、喜びを、憧れを与えられるライブを、私たちは目指して…!)

真姫(そしてついに、ライブ前日…!!)

土曜日

神田明神

真姫「…はぁっ、はぁっ…!それじゃ、ラスト…っ!行くわよっ…!」

花陽「かはぁっ…、ふひぃっ…」

ことり「花陽、ちゃ…大丈夫…?」

花陽「平気、です…!やれますっ…!」

真姫「1、2、3…ハイッ!」

真姫「…っはぁっ!よしっ!」

花陽「完ペキ…ぃっ!」

ことり「ふはー…、疲れたぁぁぁぁ…」

真姫「ふぅー…、今日は…、これでおしまい。少し早いけど、明日に備えて今日は体をゆっくり休めるのよ?」

花陽「ごくっ…、ごくっ…。ぷはーっ…。うん、わかってる。でもそれは真姫ちゃんもね?」

ことり「私たちの面倒見てくれて、人一倍疲れてると思うから。ぐっすり寝るんだよ?」

真姫「わかってるわよ。じゃ、解散ね。集合は明日の…」

花陽「あ!そうだ、その件なんだけど…」

真姫「ん?」

ことり「あそっか。真姫ちゃんに言うの忘れてた。あのね、明日は私たち、早くメイドカフェの方へ行って…」

花陽「色々と舞台のチェックと仕込みとかか、先に済ませておこうと思うの」

真姫「え、じゃあ私も行くわよ?」

ことり「真姫ちゃんはいいよ!今まで私たちに付きっきりで疲れてるだろうし、ここは私たちに任せて?」

花陽「いっつも真姫ちゃんに頼りっきりだったから、こういうところくらいは私たちにやらせてほしいなって」

真姫「花陽…、ことり…」

真姫「…わかったわ。明日は二人に任せる。私は重役出勤させてもらうわね」

花陽「うんっ!でも遅刻はダメだからね?」

真姫「縁起でもないこと言わないの。わかってるわよ」

219: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:29:30.61 ID:pCvZJpcOo
「あぁ、私。えぇ…、えぇ、そう。うん…」

「手はずは整っているわね?」

「うん、それでいいの」

「じゃ、当日はそれで、えぇ、よろしくね」ピッ

「…」

「…ふふふ」

「なんでも、そう上手くいくと思ったら」

「大間違い、なんだから…。ふふふふふふ…」

「あははははははは!」

220: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:30:08.66 ID:pCvZJpcOo
日曜日 朝

希の家

ユッサユッサ

希「まーきーちゃーんっ!」

真姫「うぅん…。なによぉぉ…」

希「あーさーやーよー!!おきー!!」

真姫「もうあと5時間…」

希「それやとライブおわってまうやろーっ!起きなさいーー!!」

真姫「んん…、ライブ…?ライ…、っは!!」

真姫「今日はライブだった!!」

希「…大丈夫なん?」

真姫「もぐもぐ…」

希「そんなにはよ食べたらお腹壊してまうよー?」

真姫「平気…。もぐもぐ…、それより、起こしてくれてありが…もぐもぐ…」

希「喋りながら食べるのやめーよ。…まったく、うちがおらんかったらどうなってたことか」

真姫「…ごくんっ。…想像しただけで怖気がするわ」

希「ま、でもそれなら大丈夫そやねー。ささ、はよ着替えて。二人が待ってるよ?」

真姫「わかってるわ」

ガチャッ

真姫「それじゃ、行ってくるわね。希は来ないの?」

希「んー、じゃあギリギリに行くわ。立ち見客でね」

真姫「そう。でも余裕持っていかないと入れすらしないかもよ?」

希「あははー、じゃあそうするー」

真姫「じゃね」

希「あ、あと真姫ちゃん」

真姫「…ん?」

希「…気をつけてね」

真姫「?…えぇ、大丈夫よ。怪我はしないようにするわね」

バタンッ

希「…」

希「…大丈夫、かな」

221: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:30:47.61 ID:pCvZJpcOo
秋葉原駅

真姫「…遅延ってどういうことよ。ヤバいわね…。急がないと間に合わないかも」

真姫「いや、間に合わないってことはないけど…、海未と鉢合わせしちゃったりなんかしたら…」

真姫「少し急ぎ足で行きましょう」スタスタ…

秋葉原 街中

真姫「…」スタスタ

??「あのー…、すみません、少しいいですかー?」

真姫「…は?な、何…」

??「えっとー、道が知りたいんですけどー」

真姫「道、って…ごめんなさい!今急いで…」

??「すぐ済むんで、お願いしますー」

真姫「あぁっ…もう!なんなのよっ!!邪魔しないで…」

バッ!!

??「ふっ!」ダダッ

真姫「えっ…!ちょっ…!!」

真姫(バッグを盗られた!?)

真姫(そ、それには携帯とか財布が…っ!)

真姫「ま、待ちなさいっ!!ドロボーッ!!!」

真姫(泥棒は裏路地へ逃げ込んだ。ここなら人目が少ない…)

真姫(くっ…、叫びながら追っても誰も捕まえてくれる人はいない…!)

真姫(しかも相手は逃走用のルートを用意してる…!入念な犯行だわ…!)

裏路地

真姫「はぁっ…!はぁっ…!!なんなのよ…!」

真姫「…くっそ、もう時間が…」

真姫「悔しいけど、バッグは諦めてもうメイドカフェへ向かいましょう。二人も待って…」

「残念だけど、それは無理ね」

真姫「えっ…むぐっ!!?!ふぐっ…、もがぁっ…!!」

真姫(ヤバ…!これ、危険な薬品…!?嗅がされ…っ!)

真姫(そう、いうのは…私の仕事なの、にっ…)

「おやすみ、真姫…」

真姫(こ、の…声…)

真姫(まさ、か…。そんな…)

真姫「…」

222: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:31:41.31 ID:pCvZJpcOo
メイドカフェ 控え室

花陽「どうどう?可愛いかなぁ…」

ことり「うんー!ばっちりだよ花陽ちゃんっ!すごいプリティ!」

花陽「ふひひ…。なんだか照れちゃうね」

ことり「私はどう?似合ってる?」

花陽「そりゃもう激似合いですよ!カリスマメイドって言っても違和感ないかも!」

ことり「わー!言い過ぎだよー!私なんかがカリスマメイドなんてー、えへへー」

花陽「そ、それにしてもー…、ドキドキするね。もう、し、心臓、飛び出るかと思うくらい」

ことり「確かに…。海未ちゃんはこんな気持ちで歌ってたのかなぁ…」

花陽「私たちは海未さんにバレないように、ってミッションも含まれてるから、それ以上ですよ…!」

ことり「そっか…!海未ちゃん、間違ってこっちの部屋に入ってこないかなぁ…」

花陽「店長さんが注意しておく、とは言ってましたけど…。でも万が一ってこともあるし…」

ことり「あ、変装用に仮面持ってきたよ。はい、これ」

花陽「え、用意がいいですね…。これは…?」

ことり「えっとねー、チェスがモデルの子供向け特撮のヒーローでー、パワーアップ形態がなぜか野球にシフトチェンジしちゃった…」

花陽「いや詳しい説明はいいです…。こ、こうかな…?」カパッ

ことり「うん似合う似合う!そんなになっても花陽ちゃんはかわいいねー」

花陽「似合ってもあんまり嬉しくないなぁ…」

ことり「…それにしても」

ことり「真姫ちゃん、遅いね」

花陽「あ、そういえば…。まだ寝てるとか…!?」

ことり「いや流石にそれは…希ちゃん先輩が起こしてくれてるでしょ」

花陽「あー、ですよね。でもそれじゃ何をしてるのかな…?」

ことり「ちょっと電話してみようかな…」ピポパッ

プルルルル… プルルルル…

ことり「…繋がらないね」

花陽「な、何してるのぉ…!?真姫ちゃん…」

裏路地

プルルルル… プルルルル…

真姫「ぐっ…!離してっ…!この縄を解きなさい!!」

??「ごめんね。先輩の命令だから」

真姫「くっ…!」

「あら、お友達から電話かかってきてるわよ?」

「なんて返事する?それとも放置かしら」

真姫「…ふざけたこと、やってくれるじゃない…!!」

真姫「絢瀬、絵里ィッ…!!」

223: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:32:28.21 ID:pCvZJpcOo
絵里「…」

真姫「なんのつもり…!集団で囲って、私を拉致して…!」

真姫「私は用事があるのよっ!!とっとと離して!」

絵里「嫌よ。だってわざわざ捕まえたんだもの」

絵里「それを解放するなんて、穴を掘ってそれを埋める作業並に虚しいじゃない」

真姫「冗談のつもりっ…!?何も面白くないわよ!!」

真姫(…まさか、こんなところで絵里に捕まる、なんて…!)

真姫(全く予想してなかった…!!こんなことをしてくるだなんて…)

真姫(どこまで墜ちたのよ、あなたはっ…!!)

真姫「こんなことして、後でどうなるかわかってるの…!?」

真姫「警察にチクるわよ!退学間違いなしね!」

絵里「警察ゥ…?アハハハ!何言ってるのかしら。誰が退学するというの?」

真姫「だ、誰って…!あなたに決まってるでしょ!婦女暴行よこれは!」

絵里「私が?お生憎様だけど、今頃私は学校の可愛い後輩とショッピングを楽しんでいるの」

絵里「それを証言してくれる友人だってたくさんいるわ。ほら、あなたの周りに」

真姫「…っ!!」

真姫(こいつら…!いくつか見知った顔もいる…。歌手専攻で同じクラスの子だわ…)

真姫(…つまり、この子たちは…アイドル専攻…?)

真姫(なるほど…、絵里の都合のいい下僕、といったところかしら…)

真姫(なにせアイドル専攻のA-RISE候補生の全権を握るのは絵里…。どうとでも好きなようにできる…!)

真姫「…この、下衆がっ…!」

絵里「ひどい言われようね。まぁ、否定はしないわ」

絵里「でもあなたを痛めつけるつもりはないの。それは本当よ、信じて」

真姫「じゃあなんのために、こんなところに連れてきたって言うのよ…!?」

絵里「んふ、それはね…」

絵里「いますぐ、アイドル活動をやめなさい」

224: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:33:16.46 ID:pCvZJpcOo
メイドカフェ 控え室

花陽「どどどどうしよう…!?真姫ちゃん、連絡つかない…!!」

ことり「希ちゃん先輩にも電話しても、出かけたっきりだって…!」

花陽「もう海未さん来ちゃってるし…!こ、このままだと…」

ことり「…中止に、なっちゃう…」

花陽「えぇぇぇぇぇぇっ!!!だ、ダメだよそんなの…!」

花陽「海未さんをメイドカフェで勧誘する、最後のチャンスなのに…」

ことり「でも真姫ちゃんがいないと…!!」

花陽「…う、うぅぅ…」

ことり「…私、店長に相談してくる」

花陽「は、はい…」

裏路地

絵里「いますぐ、アイドル活動をやめなさい」

真姫「…なんですって?」

絵里「アイドルをやめて、って言ったの」

真姫「なんで、かしら」

真姫「あなたが…私がアイドルをやってることを知ってるのも気になるけど…、まぁ十中八九穂乃果からでしょうけど」

真姫「何故あなたがそれをやめさせたがるの?…理由を教えて」

絵里「目障りだからよ」

絵里「あなたたちにUTXでスクールアイドルをやる資格はないわ」

真姫「意味がわかんないんだけど。スクールアイドルなら他にも有名な子がたくさんいるでしょ!どうして私たちは…」

絵里「それはあなたがUTX学院生だから」

真姫「はぁ?」

絵里「私はね…。A-RISEを愛しているの。これ以上なく強いスクールアイドルに仕立てあげたいのよ」

絵里「環境も、人材も、全てが一流のトップアイドル。それが私の理想とするA-RISEなのよ」

絵里「そのA-RISEの周りに…、うるさいハエが飛び回っていたら、世間の人々はどう思うかしら?」

絵里「『A-RISEは完璧なのに、同じUTX学院にみっともないスクールアイドルがいる。これじゃA-RISEも劣って見える』」

絵里「そう思われるかもしれないじゃない」

真姫「なっ…!!そんなの、勝手な憶測じゃない!!なんの根拠もないわ!!」

絵里「なんの根拠もない勝手な憶測でも構わないわ。ほんの少しでも可能性があるなら、私はそれを潰さなきゃいけない…」

絵里「…私の思い描く夢に泥を塗られるかもしれないのならね」

真姫「…っ!!そんな、自分勝手な…!」

真姫「あなたはそんな考えだから…、今まで何人ものアイドルの卵を…、傷つけてきたのね…!」

真姫「最っ低…!!」

絵里「どうやら、受け入れてはくれないようね」

真姫「当たり前…」

ビリィッ!!

真姫「…っ!!?」

225: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:33:58.11 ID:pCvZJpcOo
真姫「グギィッ…!」

真姫(今の衝撃は、何っ…!!?)

真姫「かはっ…!」

絵里「ありがとう、バッチリよ」

学院生A「はい、任せてください」

真姫「い、今のは…、一体…!」

絵里「ふふ、なんてことはないわ」

絵里「どこでも売ってる…普通のスタンガン」

絵里「ちょーっと出力を高めにしているだけの、ね」

真姫「んなっ…!」

絵里「痛めつけるつもりはないけど、でも痺れさせるくらいならいいでしょう?」

絵里「平気、傷は残さないわ」

絵里「やりすぎると、麻痺が残るかもしれないけどね」

真姫「っ!」

絵里「それは嫌でしょう?ね、お願い真姫」

絵里「…アイドル、やめてくれる?」

真姫「…」

真姫「ふざけないで…っ!誰がっ…」

ビリィッ!!

真姫「ぎぃっ!!ぐ、がっ…!!」

絵里「強情なのね…。しかも気が強い。あの頃とは大違い」

真姫「はぁっ…、はぁっ…」

真姫(あの頃…?)

絵里「でも今のあなたはとても輝いて見える。今なら…、あなたを私のA-RISE候補生に入れてあげてもいいわ」

絵里「もちろん他の二人はダメだけど…、ね?真姫…。これならいいでしょう?」

絵里「あなたがどうしても表舞台に立ちたいっていうなら、専用の枠を用意してあげてもいい」

絵里「それくらい私はあなたのことを買っているのよ、こんなところで無駄にしたくないの」

絵里「アイドルなら私の下で好きなだけさせてあげる。だからお願い、私のところへ来て」

絵里「弱い人間と付き合ってあなたまで弱くなる必要はないのよ。私はあなたが欲しいの」

絵里「ね…、今のスクールアイドルは解散して」

真姫「…はぁ、…はぁ」

真姫「バカ、め…」

絵里「…なんて?」

真姫「バカめと言ってやったのよ…。ハッ…、通信越しじゃないのが惜しいけど…」

ビリィッ!!

真姫「ひ、ぎぃぃっ!!!い、だぁっ…!!」

絵里「…意地っ張りなのね。でもその強気がどこまで続くかしら?」

絵里「自分から私のものになりたい、って言うまで…、可愛がってあげる」

226: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:35:03.21 ID:pCvZJpcOo
メイドカフェ 控え室

ガチャッ

ことり「…」

花陽「あ、ことりちゃん…」

ことり「店長に言ってきた。もしもの時はライブを中止する、って…」

花陽「そっか…」

ことり「真姫ちゃんから連絡、きた?」

花陽「…」フルフル…

ことり「…そう」

ことり「今日まで、頑張ってきたのにね…」

花陽「うん…」

ことり「…私、やっぱり…」

ことり「ここで真姫ちゃんを待つより、探しに行ったほうがいいと思う」

花陽「えっ…」

ことり「もし大きな事故に巻き込まれてたたら大変だし…」

ことり「どうせ中止になるなら、早く行ったほうがいいよ!」

花陽「…」

ことり「行こう!花陽ちゃんっ!」

花陽「…」

227: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:36:06.30 ID:pCvZJpcOo
路地裏

ビリビリィッ!!

真姫「ぐぎぃぃぃっ!!!!が、は…っ!」

絵里「もー…、真姫ぃ?何度言わせれば気が済むのよ…」

絵里「それとも待遇が不満?今すぐA-RISEに入りたいの?」

絵里「あー…、ちょっと迷うけどそれでもいいわ!だから…、みすぼらしいスクールアイドルは解散してよ」

絵里「UTXに、A-RISEに汚点は残したくないの。あなたも掃き溜めに捨て置くには惜しい人材だから」

絵里「さ、返事は?」

真姫「…ば、バーカ」

絵里「…はぁ」

ビリリリッ!!

真姫「ぎぐがぁっ!!」

絵里「…やめて。今は真姫に喋らせてあげて」

学院生A「はい」

真姫「はぁ…、はぁ…」

絵里「ねぇ、何がいけないの?あなたの口から言って」

絵里「あなたには最高のもてなしを用意してあげているのよ?それの対価にスクールアイドルを辞めてって言っているだけなのに」

絵里「どうしてそれでも…、痛みに耐えてまで頑なに応じようとは思わないの?」

真姫「はぁ…、はぁ…!…ッハ!」

真姫「あなたには、わからないでしょうね…。人の痛みを理解しようとしない、あなたには…」

真姫「私だって…、正直こんなところで…、こんな世界でスクールアイドルなんて、馬鹿げてるって思ってる…」

真姫「…穂乃果も、凛も、にこちゃんもいない…。絵里は今まであった人間の中で一番の下衆に成り果てて…」

真姫「普通だったらとっくに投げ出して、ひたすらSOS信号を出し続けてるわよ…」

絵里「…?変な言い回しね…。いいけど」

真姫「…でもね、私は見ちゃったのよ…」

真姫「夕日の音楽室で、花陽が…、花陽が、泣いてるのを…!」

真姫「自分の追い求める夢なんて、どこにも無いのかな、って…、悲痛な笑みを浮かべながら…!!」

真姫「そんなの見ちゃったら…、無視できるわけない、でしょう…!」

真姫「私はねぇ…!見せてあげたいのよ…!!私の見てきた景色を…、この世界の花陽にも、もう一度…っ!!」

真姫「だからあなたがどんなに私を優遇しようが、関係ないっ…!!」

真姫「私がアイドルできなくなるより、花陽がっ…、花陽がアイドルを続けられるほうが、何億倍も大事だからっ!!」

真姫「お門違いなのよっ!!私に甘言かけるのは!」

真姫「そんな考え方で人の上に立とうなんてお笑い種ねっ!あなたこそ深夜までアイドルの練習でもしてればいいんじゃないのっ!!?」

真姫「今よりよっぽどちゃんとした精神が身につくわよっ…!」

学院生A「このっ…!言わせておけば…」

絵里「…やめなさい」

学院生「あっ…、ご、ごめんなさい」

絵里「真姫…、思っていたより」

絵里「ずっとずっと、立派になっていたのね…」

真姫「…なにそれ、褒め言葉のつもり…?」

228: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:36:39.61 ID:pCvZJpcOo
絵里「いえ、本心よ」

絵里「…強い人間なのね、あなたは」

絵里「私よりも誰よりも、強い心をもっているわ」

真姫「…っは、急に褒められると、照れるじゃない」

真姫「でもね…。私なんて、たいしたことないわよ」

真姫「私の知ってるスクールアイドルには、私よりもっと強い人たちがいた…」

真姫「何も知らない、何もないゼロの状態から、頂点まで勝ち上がった少女がいた…!」

絵里「…へぇ。会ってみたいものね、そんな強い人がいるなら」

真姫「それにっ…!」

真姫「…あなたが弱いと称した、二人」

真姫「花陽と、ことりも…」

真姫「あなたが思っているほど、弱くはないわよ」

メイドカフェ 控え室

花陽「…うぅん」

花陽「行かない。…行けないよ」

ことり「えっ…!」

花陽「やっぱり、中止はできない」

花陽「真姫ちゃんが来ないなら、二人でやろう」

ことり「は、花陽ちゃんっ…!!?」

花陽「私たちがここから離れても、できることはないよ」

花陽「だったら、今私たちができる最良は何?」

ことり「…っ」

花陽「きっと今を逃せば、海未さんにアイドルの楽しさを伝える機会は当分来なくなっちゃう」

花陽「そうなったら、真姫ちゃんが今まで必死でやってきたことが、台無しになる」

花陽「それは私、絶対に嫌だから」

花陽「もし真姫ちゃんが来られなくても、私は成し遂げたいの」

花陽「真姫ちゃんが海未さんに…、そして、海未さんを見に来てくれているお客さん全てに、伝えたかった気持ちを」

ことり「花陽、ちゃん…」

花陽「だからことりちゃん、酷いって思うかもしれないけど」

花陽「私はやるよ。やりたいから…、真姫ちゃんがいなくても、今、アイドルを」

花陽「やらせて欲しいの。お願い」

ことり「…」

ことり「…うん。私も…、やりたい」

ことり「私…、海未ちゃんが笑ってるところ、もっと近くで見たいから」

ことり「だから、アイドルを始めたんだもん。あの頃をやり直すために」

ことり「そうだよね…。今しかないなら…、今やるしかないんだよね…」

花陽「はいっ!それにっ…!!」

229: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:37:14.80 ID:pCvZJpcOo
裏路地

絵里「あの二人が、ね」

絵里「…ふふ、私の目にはそう見えないんだけど、あなたにはそうなんでしょうね…」

絵里「貸して」パシッ

学院生A「えっ…、あ、はい…」

絵里「はぁ…。少し、遅かったみたいね」

真姫「…何がよ」

絵里「あなたをもう少し早く、勧誘しておけば良かったかのかもしれない」

絵里「それこそ…、あの音楽室で出会ったときとかに、ね」

絵里「でもその時は、私あなたのこと忘れてたから。ギリギリまでね…」

絵里「…最近、忘れっぽくて仕方がなくて、興味ないことはすぐに忘れちゃうのよ」

真姫「何言ってるの、あなた…」

絵里「だからきっと、あなたのこともすぐに忘れられると思う」

真姫「…っ!ま、さか…!」

絵里「もう少しあなたが未熟なら、私のものになってくれるかもしれなかったんだけど」

絵里「でも遅すぎた。あなたは熟してしまっている。私に染まってはくれない」

絵里「…なら、もういらないわ」ビジジジッ…!!

真姫「っ!」

絵里「出力最大…。多分死ぬことはないと思うけど…、後遺症は残るかもね」

絵里「一生人前に出られないような顔になるかも…」

真姫「く、ぅっ…!!」

絵里「さよならっ…」

絵里「…真姫ぃぃっ!!!」ブンッ!!

ヒュッ!!

絵里「っ!?」

バキィィッ!!

絵里「ぐあぁぁっ!!」ズサァァッ…!!

学院生共「「先輩っ!!?」」

花陽「はいっ!それにっ…!!」

ことり「それに?」

花陽「私たちには、頼れる先輩もいますからっ!」

真姫「…あっ!!」

希「…どうやら、間一髪で間に合ったみたいやね」

230: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:37:49.35 ID:pCvZJpcOo
学院生A「貴様っ!先輩によくもっ…!」

希「ふっ!!」ゲシィッ!!

学院生A「ぐあっ!」

希「真姫ちゃんっ!せいっ!」ズバッ!!

真姫「あっ…!縛っていたロープが切れた!」

学院生B「くっ…!このぉっ!!」

真姫「…っは!不意を突かれなきゃあなたたち程度っ…!」

真姫「どうとでもなるのよぉっ!!」ドガァァッ!!

学院生B「ぐごぇっ!」

真姫「さぁ、かかってきなさい!全員地獄に送ってやるわ!!」クイクイ

学院生共「…くっ」

真姫「…ありがとう希。助かったわ」

希「ことりちゃんが連絡くれてね。うちの嗅覚とスピリチュアルパワーでなんとか見つけられたわ」

真姫「恐ろしいわね…、あなたの鼻…」

希「まったく、うちがおらんかったらどうなってたことか」

真姫「想像しただけで怖気がするわ。…さて、ここからは」

希「うちらの逆襲やよっ…!」

学院生共「ぜ、全員でかかればっ…!!」

絵里「…ストップ」

学院生共「せ、先輩っ…」

絵里「希には勝てないわ。あなたたち全員でかかっても」

学院生共「っ!?」

真姫「えっ…」

絵里「…だから降参。今日のところは引き上げるわ」

希「…えりち。このこと学校にチクったら、どうなるか…」

絵里「それはちょっと怖いけど…、でも平気よ」

絵里「私、信頼されてるから。あなたと違って…、ね?」

希「…っ!いちいち、癇に障ること言うね、えりち…」

絵里「まだそう呼んでくれてありがとう、希。さ、みんな、帰りましょう」

絵里「…はい、真姫。あなたのバッグ。盗んじゃってごめんなさいね」

真姫「えぇ…」ガシッ

絵里「今日はおとなしく、帰るわ。…でも私まだ諦めたわけじゃないから」

絵里「どんな手を使ってでも…」

真姫「…どんな手を使ってくれてもいいけど」

真姫「もし、花陽やことりに手を出したりなんかしたら…」

真姫「…私、あなたのこと殺すから」

絵里「…えぇ、肝に銘じておくわ」

231: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:38:29.55 ID:pCvZJpcOo
絵里たち「…」スタスタ…

真姫「…」

真姫「…っはぁー…!あ、危なかったー…!」

希「ホント、危機一髪みたいやったね」

真姫「ヤバかったわよマジで…。アイドルできなくなるところだった…」

真姫「そういえば絵里が希には全員かかっても勝てない、って言ってたけど…、あなたそんなに強いの?」

希「ん?んー…、まぁね。色々勉強した、って言ったやん?」

希「その中の色々にもまー色々ありまして…」

真姫「…なるべく歯向かうのはやめておくわ」

希「それが真姫ちゃんのためやねー…っと」

希「それより…、もうライブ、始まってるよ?急がんでいいん?」

真姫「えっ!!?もうそんな時間!?」

真姫「マズッ…!花陽たち大丈夫かな…。行きましょう!」

希「うんっ!うちも行く!」

絵里「…」

学院生A「せ、先輩…。あっさり引き下がってよかったんですか…」

絵里「…えぇ、今はね」

絵里「ふふ…、でも、あの時の…真姫の顔…」

(真姫「…私、あなたのこと殺すから」)

絵里(…本当に、殺されるかと、思った)

絵里(この私が、本気でビビるなんて…)

絵里「…いくらなんでも、変わりすぎじゃない?あの子…」

学院生A「はい?」

絵里「いえ、なんでもない」

絵里「…ま、でも…直接彼女たちに危害を加えることはできなくても…」

絵里「やり方はいくらでもあるわ」

絵里「私のA-RISEを頂点に導くためには、どんな小さな障害をも取り除かなければいけない」

絵里「それだけは、絶対にやり遂げないといけないのよ」

232: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:38:58.73 ID:pCvZJpcOo
時は少し巻き戻り

メイドカフェ店内

花陽「つ、ついに海未さんのライブ開始まであと3分ほど…!」

ことり「真姫ちゃん結局来れなかったね…」

花陽「はいぃ…!でも、やらなきゃ…!!」

ことり「う、うんっ…!!それはわかってるよ…!」

花陽「ポジションやダンスは先ほどおさらいしたように、急な話なので混乱するかもしれませんが…」

ことり「うん、バッチリ…、とまでいかないけど、ちょっとアレンジ加えただけだもん…!行けるよ…!」

花陽「では、始まるまで…!!」

ことり「海未ちゃんにバレないように、待機…!」

舞台裏

海未「…」

海未「アイドルの事を少しでも知りたいと思って始めたバイトでしたが…結局、徒労に終わってしまったようですね」

海未「いえ、楽しくはあったので、無駄ではなかったですけれど」

海未「…今日で、このメイド服と、サングラスともお別れですか」

海未「今までありがとうございました。不甲斐ない私を引っ張ってきてくれて」

海未「笑えなかった私に仮初の笑顔を与えてくださったのは、あなたたちのおかげですよ」

海未「最後まで、私に力を貸してください」

スチャッ…

謎のメイド「…」

謎のメイド「あーあー…、んんっ」

謎のメイド「よしっ」

謎のメイド「それでは…、行きますっ…!!」

メイドカフェ 特設舞台

謎のメイド「はいはーいっ!!皆さんこんにちはー!はいっ?」

「「こーんにーちはー!」」

謎のメイド「おおー!急なフリにもちゃんと反応してくれるなんてここのご主人様は訓練されてますねー、なんてー」

アハハハハ…

謎のメイド「というわけで、今日も今日とてこの謎のメイドこと私のライブが…」

「「ちょっと待ったーーーーっ!!!!!!」」

謎のメイド「…っ!!?な、何っ…!?」

233: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:39:31.67 ID:pCvZJpcOo
花陽「そのライブーっ!」

ことり「待ってもらおうかっ!!ででんっ!!」

謎のメイド「ことりっ!!?それに…、小泉さん…!?」

メイドA「はいはい、じゃあ謎のメイドさんには少しご退場頂いて…」

メイドB「はい、マイクは私にね」

謎のメイド「ど、どういうことですかこれは…?聞いてませんよ…」

メイドA「言ってないからねー」

謎のメイド「は、はぁ…」

ざわ…  ざわ…

花陽「え、えと…、突然のことで驚いている人も多いかもしれませんが…」

ことり「これはイベントの一環なのです!ちゃんと店長にも許可とってるんで、心配ご無用ですよー」

オォー…

花陽「あ、あの…、あの…、ゎ、私、たち…は…」

ことり「頑張って、花陽ちゃん!」

花陽「う、うん…。私たちは、す、スクールアイドル、なんです…」

花陽「き、今日が、そのっ…、そのデビューライブとなりますっ!」

ことり「海未ちゃ…、謎のメイドちゃんのライブをお楽しみに来てくれた方には申し訳ないですー。あ、でも大丈夫!」

花陽「このあと、ちゃんと謎のメイドさんのライブがありますからっ!!」

オォーッ!!

ことり「…あは、すごい盛り上がり。これじゃ私たち前座みたいだね」

花陽「…っ」ゴクリッ

花陽「でも、それじゃダメなんです…。海未さんを、圧倒的に超えないと」

花陽「でないと…!」

ことり「うん、わかってるよ。さ、準備準備」

花陽「うんっ…!」

謎のメイド「ライブ…。そうだったんですか。わざわざここで…」

謎のメイド「では、私は一度裏で待機しておいたほうがいいですか?」

ことり「ダメっ!謎のメイドちゃんはここにいて!」

謎のメイド「えっ…、では、袖の方で待機を…」

花陽「違うんですっ!!」

謎のメイド「はい…?」

花陽「謎のメイドさんには…、謎のメイドさんには…!」

花陽「客席で、見てもらいたいんですっ!!!」

謎のメイド「え、えぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!?」

234: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:40:20.52 ID:pCvZJpcOo
~回想~

音楽室

真姫「お疲れ様。だんだん物になってきたじゃない」

ことり「…ふぅー、これならうまくいきそうだねー」

花陽「…」

真姫「…花陽?どうしたの?」

ことり「もしかして、練習の成果に不満?もう少し練習してから帰る?」

花陽「あ、うぅん…、そうじゃないんです…」

花陽「練習は、真姫ちゃんのおかげもあってとてもうまく言ってるとは思ってるんですけど…」

花陽「でも、本当にこれでいいのかなぁ、って」

花陽「私たちがライブを成功させたところで、海未さんは本当にアイドルをやりたい、って思ってくれるのかな、って思って」

真姫「…どういうこと?」

花陽「だって…、もしかしたら、海未さんにまた疎外感というか…、それこそ、私たちが海未さんよりずっとずっと上手にライブができたとしたら…」

花陽「海未さん、今まで自分がやってきたことはなんだったのか、って落ち込んだりしないかな、って」

ことり「あっ…」

花陽「あ、いや…、まだあの海未さんを超えられるかわかってないんですけど…」

真姫「何よ、そんなこと」

ことり「…うぅん、でも確かに、今の海未ちゃんメンタル弱いからなぁ」

ことり「ポジティブに受け取ってくれない可能性も考慮に入れる必要があるのかも…」

花陽「で、ですよね…!不確定な要素ではありますけど…」

真姫「だーかーら!そんなの心配する必要ないわよ!」

花陽「えっ…」

ことり「で、でも…、海未ちゃんの心の脆さは…」

真姫「そんなの関係ない!だって、そんなの不確定な要素でもなんでもないんだから」

花陽「え…?」

235: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:40:51.38 ID:pCvZJpcOo
真姫「いい?花陽。例えばの話」

真姫「あなたがA-RISEの練習風景を見たとします。私たちよりずっと練習量は多いの。あなたはどう思う?」

花陽「え…?うーん、す、すごいなー…って思うのかな」

真姫「じゃあ、ことりが練習してたら?そうね、あなたの練習量より多めにやってるとしたら」

花陽「えっ」

ことり「私?」

花陽「うぅーん…、そーだなぁ…えっと…」

真姫「これに関しては前言ってたじゃない。『アイドルの先輩だから負けてられない』って」

花陽「あ!そっか。そういうことだよね…。ことりちゃんに負けないように、って思って私も練習量多くしたんだった」

ことり「で、それが?」

真姫「今の質問の状況は、ほとんど一緒でしょ?どっちも自分より練習量が多い。でも感じ方は違った」

真姫「じゃあなんで感じ方が違ったんだと思う?」

花陽「えっ…、し、質問の意味がよく…」

真姫「…はぁ。いいわ。教えたげる」

真姫「それはね、対象が身近であるかどうか」

真姫「あなたにとってA-RISEは憧れる存在。だから、自分より練習量が多くて当たり前、すごいな、くらいしか感じない」

真姫「でもことりは自分と同じスクールアイドル。年齢は一個上でも経験は自分のほうが早いし、負けたくないって思う」

真姫「今回の海未も、これと同じよ」

ことり「ど、どういうこと…?」

真姫「もし海未が、『自分のやってきた事って一体…』って思うのだとしたら、それは身近な存在であるから」

真姫「彼女が一人の、…みんなから愛されるアイドルであるがゆえに、目線を私たちスクールアイドルと自分を同等の存在としておいてしまうの」

真姫「だから今回のライブ、海未には一つ下の目線から見てもらうようにしましょう。引き下げるのよ」

真姫「彼女をアイドルでも何でもない…、一人の観客として」

ことり「え、えぇっ!!?」

花陽「仮にもアイドルな海未さんを…、観客に引き下げるのォ!?それっていいの…?」

真姫「だからこそいいんじゃない!彼女は今まで観客としてライブを味わってこなかった。だからアイドルの良さがわからなかったのよ!」

ことり「あっ…!そっか!!」

花陽「え…?」

真姫「海未は最初からやり方を間違ってたの。花陽、あなたが一番よく知ってるでしょ。アイドルを大好きなあなたが」

真姫「あなたがアイドルになりたい、って憧れたとき、あなたはどこにいた?」

花陽「…あっ!!」

花陽「そうか…、そうだよ!」

花陽「眺めてたんだ…!遠い遠い場所にいるアイドルを…!」

花陽「そして、こうも思ったんだ…!」

花陽「私も、そこに立ちたい、って…!!!」

~回想おわり~

236: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:41:29.02 ID:pCvZJpcOo
花陽「謎のメイドさん、あなたはそこで、私たちを見守っていてください」

花陽「そして、思ったこと、感じたこと…、私たちのライブが終わった後で、存分に口に出してください」

ことり「これからお見せするのは、ひとつの魔法」

ことり「恥ずかしさなんか吹っ飛ばして、ワクワクした心を生み出しちゃう、不思議なマジック」

ことり「きっと目が釘付けになって、まばたきすらできなくなっちゃうかも!」

謎のメイド「魔法…」

花陽「そ、それじゃっ…、歌いますっ!」

ことり「時間がなくて、一曲しか用意できませんでしたがー…、3分半、夢のような時間をお届けします!」

花陽「き、聞いてください…!曲は…!!」

(真姫「曲名?あぁ、海未が名づけてくれたものがあるわ」)

(真姫「可愛らしい歌詞なのに簡素なタイトルで、私は少し物足りないんだけど…」)

(真姫「うん、曲名はね…」)

(真姫「『告白日和』、だって」)

花陽「こっ…」

花陽「告白日和、ですっ!!」

ことぱな「「すぅっ…」」

「  ねぇ、ひとつだけ聞いていい? 私のこと…  」

237: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:42:04.02 ID:pCvZJpcOo
謎のメイド「…」

「  会えるかも今日は 心が騒いで  」

「  スキップしたくなった ときめきに踊る瞬間  」

海未(急にライブが始まって、驚いて最初は曲どころではなかったのですが)

海未(二人が歌い始めた瞬間、一瞬で周りの空気が変わったように感じられました)

「  私のことなど たぶん気にしてないの  」

「  だけど…ここにいるんだよ 私はここよ  」

海未(少し騒がしかった他のお客様方はすぐに静まり、しかしながらも穏やかな熱狂に包まれたように)

海未(まるでテーマパークに放り込まれたかのような興奮を、肌で感じました)

海未(…違う、まるで…違う)

「  自信が揺れ動く 嫌われてないかな?  」

「  勢いでとにかく挨拶だ!  」

海未(私のときとは、全く違いました)

海未(みんながみんな、同じ方向をむいて、誰もしゃべることなく、夢中になって)

海未(集まった有象無象の方々が、統率の取れた軍隊のように、同じものに対して一つに纏まっている)

海未(これぞまさしく…魔法)

「  やっと晴れたね ぱーっと晴れたね そして元気になるね  」

「  おはようの代わりに背中を叩いて 「さあ、行くよ!」  」

海未(店内を所狭しと動き回る、メイド服のことりと、小泉さん)

海未(それは小さな箱庭に降り立った妖精のようで)

海未(見るもの全てを幸福な気持ちにさせてくれる、天使のような存在で)

海未(しかし、なぜでしょう。私は、おそらく私だけは)

海未(ただ、それだけに収まってくれないのは)

「  やっと晴れたら ぱーっと晴れたら きっと元気なえがお  」

海未(今私は…、私のこの足は…)

海未(猛烈に、動き出したいと呻いている…!!)

海未(私の心は…!)

海未(熱烈に、歌いたいと願っている…!!)

「  なんだか 今の この気持ちが切なくなったよ  」

238: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:42:39.81 ID:pCvZJpcOo
ガチャッ

真姫「ライブはっ…!!」

希「…始まってるようやね」

真姫「…やっぱり間に合わなかったか…」

希「でも見て、真姫ちゃん」

真姫「…ん?」

希「結構、うまくいってるみたいやよ?」

真姫「…そうね。ちょっと悔しいけど…、いいじゃない。二人共」

「  どんな ふうに 感じてるの全部見せてよ  」

ことぱな「…ふぅ」

「…っ」

「オオォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」

パチパチパチパチパチパチパチパチ!!

謎のメイド「ぉぉ…」パチパチ…

ことり「ひゃっ!…あ、ありがとうございますー!」

花陽「ありがとうございますっ!ありがとうございますっ!!」

花陽「え、えっと…、聞いていただいたのは告白日和、という歌で…」

観客「えっ?『告白日和、です』じゃないの?」

花陽「えっ…、えっ!?いやそれは私が…」

ことり「はいー!『告白日和、です!』って曲でしたー!!」

花陽「えぇっ!!?いいの!?」

ことり「いいのいいの。告白日和、より可愛らしいよ。花陽ちゃんらしさも出てて」

花陽「勝手に曲名変えちゃったんだけど…」

ことり「…で、その『告白日和、です!』なんですけどー…、実は!この謎のメイドさんが作詞してくれたんですよねー!」

オォーッ!!

謎のメイド「えっ…、あ、ど、どうも…」

ことり「それで、今日は私たち、ただライブをやるためにここに来たんじゃないんです」

花陽「謎のメイドさんを、私たちのスクールアイドルに勧誘したくて、ライブをしたんだよね」

謎のメイド「なっ…!そ、そんな理由で…!!?」

239: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:43:32.43 ID:pCvZJpcOo
ことり「どうだった、謎のメイドさん?」

謎のメイド「え、あ、あの…、その…」

花陽「ささ、舞台へどーぞ!!」

謎のメイド「え、えぇぇっ!!!」

謎のメイド「えっと…、あの…」

ことり「えへへ、いつもより緊張してる?」

海未(な、何故でしょう、いつもと同じはずの舞台からの景色が…)

海未(これほどまでに変わって見えるのは…!)

ことり「お集まりの皆さん、少し聞いてください」

ことり「実はこの謎のメイドちゃん、ここではこんなはっちゃけてるけど」

ことり「…実は、今年の春まで、心を病んでいたんです」

謎のメイド「…なっ!!?こ、ことり、何故今それをっ…!!」

花陽「ことりちゃんっ!?私も聞いてな…」

ことり「大切なお友達と喧嘩して、それまでの自分を否定されて」

ことり「心の殻に閉じこもってしまった時期も、あったんです」

ことり「でも今ではこんなに明るく振舞っている謎のメイドちゃん」

ことり「あの頃を知っている私は、今でも夢のように思えます」

ことり「こんなに大勢の人に愛されて、笑顔を振舞っているなんて」

ことり「ホント…、よかったね。うm…、謎のメイドちゃん」

謎のメイド「…もうほぼ漏らしてるじゃないですか、名前」

ことり「でも!その謎のメイドちゃんが今日でバイトをやめちゃうんです!!」

エェェェーッ!!

ことり「嫌だよね!?そうだよね!でも仕方ないの!期日だから!」

ことり「私だって残念で仕方ないよっ…、舞台の上で笑う、謎のメイドちゃんを見られなくなるのは」

ことり「ねぇ、謎のメイドちゃん。それで、本当にいいの?」

ことり「今終わって、満足だって言える?」

謎のメイド「…」

ことり「…これ、マイク」

ことり「次は…、あなたの番だよ」

花陽「ことり、ちゃん…」

240: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:44:34.13 ID:pCvZJpcOo
謎のメイド「…」

謎のメイド「えー…、その…」

謎のメイド「…その」

ガンバレー!! 

謎のメイド「…はい、頑張ります」

謎のメイド「…んんっ!」

謎のメイド「えっと…、私は今まで、この舞台の上で歌ってきました」

謎のメイド「それは、かつての友人に言われた一言を理解するために、始めたことでした」

謎のメイド「しかしそれは…、ついぞ、叶うことはありませんでした」

謎のメイド「確かにこうして歌うことは楽しいんです!皆さんに自分すら知らない自分を見せることが!」

謎のメイド「でもそれはきっと…、彼女の考えるアイドルとは、別のものなのでしょう」

謎のメイド「ことりの言うとおり、私はずっと演じて歌ってきました。謎のメイド、という別の自分を」

謎のメイド「それを楽しいと思うのはおそらく…演劇の部類なのだと思います」

謎のメイド「今までアイドルというものを理解せず、この場に立ち続けてしまったことを…、深くお詫びしたいと思います」

謎のメイド「そして今日私は…、このバイトを辞職します。本当は言わずに、このまま別れの雰囲気を出すことなく去りたかったのですが…」

謎のメイド「しかし、そうもいかなくなってしまいましたね」

謎のメイド「…この、メイド服と、サングラスも…、今日限りです」

謎のメイド「…」

謎のメイド「…ですが」

謎のメイド「私は…、私はっ…!!」

謎のメイド「私はまだ、満足していませんっ!」

謎のメイド「なぜなら、今日、ついさっきここで!!」

謎のメイド「私はっ!!」

ヒュンッ!!

花陽「さ、サングラスを!」 ことり「取った!!」

海未「アイドルに、なりたいと…思ってしまったからですっ!!」

海未「二人がこの店内で踊るその姿に…嫉妬してしまったから!」

海未「私もこうなりたいと!こうでありたいと!!」

海未「ですから私は…、メイドをやめますっ!!」

海未「そして、これからはっ!!」

海未「謎のメイドではなく、園田海未として!」

海未「あ、アイドルをっ…!」

海未「スクールアイドルを目指していきたいと思いますっ!!」

海未「応援、よろしくお願いしまぁぁぁぁぁぁすっ!!!!!」

241: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:45:16.04 ID:pCvZJpcOo
オオォォォォォォオオォォォォォォォォォォォッ!!!

花陽「海未さんっ…!」

ことり「海未ちゃんっ!!」

海未「ことり、小泉さん…。ありがとうございます」

海未「…これが、これが…アイドル、なんですね」

海未「今まで私が見ていた景色より、何倍も、何十倍も輝いて見えます」

海未「自分をさらけ出す勇気をくれたこと」

海未「心より、感謝します」

花陽「は、はいぃっ!!私も、海未さんが入ってくれて…、入ってくれて嬉しいですっ!!」

ことり「これからはずっと隣で…、海未ちゃんの笑った顔が見れるんだよね?」

海未「…もちろんですよ、ことり」

ことり「うぅぅぅぅっ…、やったぁぁぁぁぁぁぁぁあああっ!!!!海未ちゃぁぁぁぁぁぁあああんっ!!」ギュッ!!

海未「ふふっ…、ありがとう、ことり…。本当に、ありがとう…」

海未(そして、今まで…、今まで私に勇気をくれた、あなたたちにも)

海未(もう、あなたたちがいなくても、私は歌えます)

海未(さようなら、そして…心から、ありがとうございました)

海未(メイド服と、サングラス)

花陽「じ、じゃあ海未さんのラストライブ!始めていこっ!!」

ことり「そだね!初めての素顔のライブだよ!今日見に来れた人は激レアだね!」

海未「撮影は禁止ですよっ!それではー…」

観客「あ!その前に…」

観客「そのスクールアイドル、って、なんて名前なんですか?」

ぱなことうみ「え…」

海未「…なんて名前なんですか?」

ことり「私知らないけど…、花陽ちゃんは?」

花陽「え、えっと…!まだ、決まってない…」

ことうみ「えぇぇっ!!!?」

真姫「シーキュート!!」

全員「えっ…?」

真姫「私たちのスクールアイドルの名前!大文字のCに、小文字でcute!!」

真姫「間に☆で、C☆cuteよ!」

242: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:45:43.86 ID:pCvZJpcOo
翌日

アイドル応援部 

花陽「はぁぁぁぁ…!昨日は緊張したなぁ…!」

ことり「うんうん!でも最高のデビューライブになったと思う!」

海未「は、初めての素顔でしたが…、結構いいものですね…!」

ことぱな「「でしょー!?」」

真姫「…これで、四人ね」

希「せやね。ふふ、最後の入部届も、やっと白紙じゃなくなった」

希「園田海未さん。ちゃんと受理されたよ」

海未「はい。今日からお世話になります!」

ことり「これで4人のスクールアイドルかぁ…!もう人数的にはA-RISE超えちゃったね」

花陽「あはは…、ですね。あ、そういえばスクールアイドルの名前…C☆cuteだっけ…?」

花陽「なんでそんな名前を付けたの?」

希「あ、それうちも気になってた。急に叫びだすからびっくりやよ」

海未「何か理由があるのですか?」

ことり「ちょっと既存のアイドルとかぶってるし」

真姫「そ、それは仕方ないでしょ。ちゃんとした理由はあるのよ」

243: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:46:21.99 ID:pCvZJpcOo
真姫「みんな、歌の女神は知ってる?」

花陽「歌の女神…?」

希「ギリシャ神話のミューズのこと?」

真姫「そう。その中の5人」

真姫「私はこのUTXに降り立った天の御使い、天文を司るウラニアの頭文字、Uを」

真姫「花陽は、綺麗な声を持っている、名前が美声を意味するカリオペの頭文字、Cを」

真姫「ことりは、その可愛らしい容姿から、名前が愛らしい女を意味するエラトーの頭文字、E」

真姫「海未は、演劇舞踊をやってるみたいだから、舞踊を司るテルプシコラの頭文字、Tを」

真姫「そして部長の希は、このUTXのアイドルの歴史を知る人物、ってことで、歴史を司るクレイオの頭文字、Cを」

真姫「それらを並び替えて、部長の希はちょっと大きく大文字で、私たちはまだ小さい存在だから、ってことで小文字」

真姫「そして…間に希望の星を入れて、『C☆cute』よ。どう?なかなかイカすでしょ」

希「うちはまきまきちゃんと愉快な仲間たちとかのほうがいいと思う」

真姫「ふざけんな」

花陽「私は好きだな、シーキュート…。可愛いと思う!」

真姫「えぇ、そうよね、それが普通の反応!まだアイドルでもないのに入れてあげたんだから感謝しなさいよね!希」

希「ぶー」

海未「それ、私が入る前から考えていたんですよね…。もう私が入る事確定じゃないですか」

真姫「もちろん。確信してたわ」

海未「…はぁ、舐められてますね」

ことり「それだけ海未ちゃんを信頼してた、ってことだよ。ね?」

海未「そういうことに、しておきます」

真姫「それじゃ、新生スクールアイドル『C☆cute』!ついにスタートのときとしてっ…!」

真姫「さぁ!5人でピース!」ササッ

花陽「うんっ!」 ことり「はいっ!!」

海未「…なんですかこれは」

希「そういうお約束、みたいやよ?はい、海未ちゃんも」サッ

海未「ち、ちょっと気恥ずかしいですが…、わかりました」ササッ

花陽「あっ!こうして5人でピースすると…」

ことり「お星様!」

真姫「うわ、マジだわ…」

海未「気づいてなかったんですか…」

希「ちょっと抜けてるところも真姫ちゃんらしい!さ、行くよ!」

真姫「えぇ!」

真姫「1!」 花陽「2!」 ことり「3!」 海未「4!」 希「5!」

真姫「C☆cute、ミュージック…!」

「「「「「スタート!!」」」」」

もしライブ 第四話

おわり

244: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/26(木) 23:50:25.43 ID:pCvZJpcOo
以上、4話でした μ’sはやはり9人での称号だということでこの5人での名前はC☆cuteになります ダサくない
あとえりちがド畜生ですが僕がえりちのことが嫌いだからこうなったとかではなくて展開上仕方ないことですのでご了承ください
それでは次回第5話 やっぱり明日のこの時間をお楽しみに ほなな
246: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:03:42.47 ID:uJQ+ty20o
じゃあ5話 やっていきますよー やっていくんだからね
247: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:04:47.18 ID:uJQ+ty20o
前回のもしライブ!(声:園田海未)デン

歌の練習をするために音楽室を借りたい真姫たち。

けれどそのためには部への所属が必要だった!

真姫(部活の設立の問題…。ここもμ’sと同じね…)

真姫(また壁が立ちふさがってしまった…。どうしようかしら)

それと同時に、真姫たちは私をスクールアイドルに勧誘する計画を立てる。

メイドカフェで私に直談判をしに来るも…。

海未「私の休憩時間も残り少ないですし、今日はお引取りを」スクッ

真姫「ちょ、待ってよ!」

海未「お引取りを!!」

翌日真姫たちは謎のアイドル応援部を訪れ、そこが3年生の東條先輩の部活だと知る!

所属する部を見つけ、さらに私にアイドルになりたいと思わせるためのライブに向け一歩前進した真姫たち!

ですが、そのライブ当日…!

絵里「いますぐ、アイドル活動をやめなさい」

A-RISE候補生の育成者、絢瀬絵里さんに捕らえられた真姫。そのピンチを東條先輩がなんとか救いました!

しかし真姫はライブには間に合わず、二人で決行!それでもライブはなんとか成功に終わりました。

二人の輝きに目を奪われた私。サングラス越しでも伝わる光に、私は惹かれ、

ついに、私も彼女たちと共にアイドルをすることになったのです!

そして生まれた新生スクールアイドル、C☆cute。

これからどうなっていくのでしょうか…。

248: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:05:46.89 ID:uJQ+ty20o
アイドル応援部 部室

花陽「は、はわわぁぁ~~…!」

ガチャッ

ことり「こんにちはー」

真姫「あ、ことり。おはよう」

ことり「真姫ちゃん、おはよー。…花陽ちゃん?もしかしてまた?」

花陽「むふふふふ~…!」

真姫「…えぇ、また」

ことり「飽きないねー」

真姫「それだけ嬉しかったんでしょ」

真姫(あれから2週間)

真姫(花陽は少しの暇さえあればパソコンや携帯から…)

真姫(自分たちのライブ映像を眺めていた)

真姫(あの日、店員のメイドさんにお願いしてハンディカメラで撮影してもらっていたものを動画サイトにアップして)

真姫(再生数や付いたコメントを見返しては悦に浸っている)

花陽「か、かわいい…、だなんてっ…!恥ずかしぃ…!!」

真姫「その反応何回目?そろそろ海未も来るし、練習始めるわよ?」

花陽「もうちょっと…!ぬふふふ…!」

ことり「笑い方…」

真姫「…はぁ」

真姫(でも、花陽が喜んでる中悪いけど)

真姫(私が予想してたよりか、再生数は少なかった)

真姫(演出や歌は私の思う最前を尽くして、時間がない中でのベストだったと自分では評価しているんだけど)

真姫(それでも、思ってたよりずっと…、伸びない。もっと行ってもいいと思うんだけど)

真姫(やっぱりそれって…)

249: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:06:34.34 ID:uJQ+ty20o
ことり「えへへ、この時は緊張したねー」

花陽「はい…!死んじゃうかと思いました…!タイトルも間違えられちゃったし…」

ことり「私は告白日和、ってだけより好きだけどねー。真姫ちゃんはどう思う?」

真姫「…ん、私?…そうね、いいと思う」

花陽「そ、それならいいけど…」

真姫「あ、そうそう。そろそろ次のライブのことも考えておきたいんだけど」

真姫「まだ海未は来てないけど…、まぁ、いいわよね」

ことり「もう次?早いねー」

真姫「一応次の曲も出来てはいるのよ。海未にも渡してある」

真姫「今は曲もそうだけど…、魅せ方が重要よね」

花陽「魅せ方?」

真姫「そう。この間のライブに関しては、ダンスも歌も、私はとても良かったと思うの」

真姫「だけど衣装はよくあるメイド服だったし、ステージは小さいお立ち台」

真姫「カメラも一台だけ、一発取りの映像」

真姫「これじゃ普通過ぎるの。どれだけ歌やダンスが完璧でも魅せ方が単純すぎるとその魅力が画面越しには伝わらない」

真姫「今のままじゃ、A-RISEに追いつくほどのアイドルになれる人気を得るのは、難しいわ」

ことり「はー…、なるほどー」

ことり「よくわかんない」

真姫「おい」

ことり「つ、つまり次のライブは衣装やステージをもっと派手にね!ってことでしょ?」

ことり「わかってるわかってる!すっごいキュートな衣装、考えるから待っててね!C☆cuteだけに!」

花陽「んー…、衣装はことりちゃんでいいとして、でもステージは私たちズブの素人だからなぁ…」

真姫「い、言い方が古風ね…」

花陽「誰かそういうのに詳しそうな人は…」

ガチャッ

海未「お、遅れました…。すみません」

ことり「あ、海未ちゃんおはよー」

真姫「…ステージ」

真姫「ステージと言えば舞台、舞台と言えば演劇」

真姫「演劇と言えば…」

海未「…はい?」

250: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:07:26.67 ID:uJQ+ty20o
海未「舞台美術ですか…?」

花陽「はい!演劇学科なら詳しいと思って!」

海未「…申し訳ありませんが、私はそこまでは」

海未「基本的に、演劇舞踊としての役者、それと脚本家を専攻しているので、舞台美術のことはあまり学んでいません」

ことり「ダメかー…」

海未「やはり、アイドルのそれを参考にしてはいかがでしょう」

海未「私たちがゼロから考えるよりはいいのでは?」

真姫「普通はそうなんだけど…」

真姫(でも、μ’sと違ってここでは私たちは…)

真姫(…お金がない)

真姫(いつもなら親の金で好き勝手できたけど、今の私は家なき子)

真姫(ほぼ無一文と言って差し支えないわ。一応生活費程度ならポケットマネーで凌げるけど)

真姫(他のみんなも私ほどではないにしろ、使えるお金はそれほどないでしょうし)

真姫(プロのアイドルを真似るには、財力が足りなさすぎる)

真姫(そして他のスクールアイドルと同レベルじゃ、A-RISEを超えることなんて夢のまた夢)

真姫(だからここは、発想で勝負!…したいところなんだけど)

真姫「…私たちもそこまで発想に自信があるわけでもないし」

海未「A-RISEは学校の全力サポートがありますからね…。正直他とは比べ物にならないでしょう」

花陽「それと人員も豊富です!なにせアイドル専攻の人たちもいますし…」

真姫「そして、絢瀬絵里の人脈もね…。ここにはA-RISEに憧れる人が多い」

真姫「権力を持つ彼女が少しでも手伝って?って言えば手伝ってくれる人がたくさんいるわ」

ことり「それに比べて私たちは全部自分でやる必要があるんだよね…」

花陽「か、考えれば考えるほど、A-RISEを超えるなんて無理だって思えてくるね…」

海未「そ、そうですね…」

真姫「弱気になっちゃダメよ!花陽には目標があるでしょう!ことりも、海未も!」

真姫「絶対に掴み取るの、頂点を!そして欲しいものを手に入れるのよ!でしょう?」

花陽「…うん。だよね!」

ことり「こんなところでくじけちゃダメ、だよね」

海未「…わ、私は二人ほど強い決意があって始めたわけでは」

真姫「うるさい!あなたもことりと同じようなものでしょ!穂乃果との日々、やり直したくないの!?」

海未「それは…。…えぇ、私もやり直したいです!」

真姫「なら前を向く!なんとかなるって思えばなんとかなるのよ!」

真姫(…私も、いつまでもあなたたちを応援できるわけじゃないしね…)

真姫「さ、練習よ!魅せ方もあるけど、自分たちが完璧でないと意味がないんだからね!」

ぱなことうみ「はい!」

251: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:08:11.90 ID:uJQ+ty20o
真姫(いつもは、どうしてたんだっけ…)

真姫(私の役割は、作曲って割り切ってたせいで)

真姫(その他のことに関してはさっぱり、わからなかった)

真姫(改めてみんなに支えられてきたんだな、って実感する)

真姫(今度は私が、なんとかしないと)

真姫(次の壁は、『ライブの魅せ方』)

真姫(これを乗り越えないと、先はない)

1年E組

真姫(朝練を終え、いつもの孤独な授業)

真姫(まだ学内で、私たちがアイドルをやっているという噂は一切流れていない)

真姫(宣伝しようって花陽は言ったんだけど…)

~回想~

花陽「私たちがアイドルやってるって宣伝しよう!そうすれば…」

真姫「…いえ、まだダメ」

花陽「え、ど、どうして?」

真姫「考えてみなさい。ここはUTXよ?いくらまだ生まれたばかりの弱小スクールアイドルにしろ…」

真姫「ここにはA-RISEファンが大勢いる。そんな中別のスクールアイドルを宣伝しても無視されるか…」

真姫「…下手すれば、潰されかねないわ」

ことり「そ、そうかも。特にアイドル専攻の人たちは過激だし」

真姫「仲間を増やすなら徐々に。擁護が一人もいない中で宣伝するのは勇気がいるわ」

真姫「せめて次のライブまでに応援してくれる人を増やしてからにしましょう」

花陽「そ、そだね…」

~回想終わり~

真姫(て言っても、応援してくれる人ね…)

真姫(ほとんどがA-RISEファンのこのUTX学院で、私たちを応援してくれる人…)

真姫(…心当たりはないでもないけど、でもねぇ…)

真姫(仕方ないわ。それはまたにして…、今は魅せ方よ、魅せ方)

真姫(衣装はことりが頑張ってくれることを期待して、今はステージの作り方…)

真姫(どこで、どんな演出で舞台を作るか…。今まで他人任せで考えたこともなかったけど)

真姫(ここに来て頭をひねらせることになるとは、ね…)

真姫(授業中は先生の話を聞かずに、ずっとノートに演出案を書き連ねるばかりだった)

252: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:08:48.20 ID:uJQ+ty20o

食堂

ことり「花だよ!花」

真姫「…花?」

ことり「私たちには花が足りないと思う!」

海未「鼻、ですか…?あ、つけ鼻をするということですか!?」

海未「確かに鼻が高いと美人になるかもしれません…!ナイスアイデアです!」

ことり「違う!フラワーの方だよ!」

海未「あ、そうですか…。ノーズではないのですね…」

真姫「相変わらず少しボケてるのね、海未…」

真姫(いつものように花陽は親衛隊に囲まれご飯を食べている)

真姫(仕方ないので私たちで集まってお昼ととることに)

真姫(希も誘いたいんだけど、彼女はお昼はひとりで食べるのが落ち着く、って言って)

真姫(ただひとり、部室で黙々とお弁当を食べているみたい)

真姫(まぁ…、私もこんな人の多いところでご飯を食べるのは、あまり好まないんだけど)

真姫(でもUTXの食堂のご飯は美味しすぎるから仕方ないわよね。毎日食べても飽きない)

真姫(閑話休題。…そんなこんなで集まった3人で、次の舞台の演出案を考えようと話をしていた)

真姫「で、フラワーがどうしたのよ」

ことり「だから、ばっさー!ってお花を散らして、華々しいステージを作る!」

海未「ふむふむ」

ことり「衣装もお花であしらってカワイイのにしようと思ってるの!どう?」

海未「…花粉症になりそうで怖いですね」

ことり「え、そこ?」

真姫「…悪くないけど、そんなステージを埋め尽くすほどのお花、どこから持ってくるのよ」

真姫「お花屋さんじゃ大きな花束一つでも結構するわよ?」

海未「よくある祝い花でも、安いもので1万円ほどすると聞いたことがあります」

ことり「い、一万…」

真姫「それをステージ全部埋め尽くすほどだったら…、100個くらい必要かしら?」

ことり「ひゃくまん…えん」

海未「それはさすがに…、無理でしょうね」

253: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:10:20.43 ID:uJQ+ty20o
ことり「うぅ…、いいと思ったんだけどなぁ…」

真姫「衣装に花を使う、なら私もいいと思うわ。…二番煎じ感が強いけど」

ことり「え」

真姫「何でもない。…で、海未はなにかある?舞台案」

海未「あまりお金を使わない方向で…ですか」

海未「となると…元からあるものを活用するのはいかがでしょう」

海未「今は紅葉の季節ですし、綺麗な赤をバックにステージを作る、というのもおつですね」

真姫「えぇ、悪くないわね。あー、でもそうなると和風なイメージよね…」

海未「今の曲では合いませんか?」

真姫「まだ今の段階なら作り直せばなんとかなるけど…。でもまだそれで決定ともいかないから本格的に作り直すわけにも…」

ことり「あ、あと…そうすると場所はどうなるのかな?」

ことり「紅葉が綺麗でステージを作れるくらいのスペースがあって、貸しきれて…」

海未「う、そうなるとやはり、お金が…」

真姫「少しくらいなら部費でなんとかなるって!」

ことり「それなんだけど、希ちゃん先輩に聞いたら…」

(希「部費?最近活動してなかったから、今月いっぱいは全く出ないみたいやねー」)

(希「支給されるのは来月からかな。それまでは自分たちのお金でなんとかしないとね」)

ことり「…って言ってた」

真姫「ぐぬぬ…」

海未「私たちの貯金だけでやりくりですか…」

真姫「次からは少しは融通が効くけど、今回ばかりはあるものだけでやりくりしないといけないのね…」

海未「来月までライブを引き伸ばしますか?それなら…」

真姫「そんな悠長な事言ってられないわよ。…A-RISEに勝つためには」

真姫(μ’sにも勝るペースで曲を出しつづけないといけない…。少なくとも月に1回はノルマよ)

ことり「でもあり合わせって言ってもね…。私たち、何がある?」

真姫「私は…、何も」

ことり「あ!海未ちゃんは家があるじゃない!あそこで…」

海未「や、やめてください!怒られますよ…」

ことり「そ、そうだよねー…。あはは…、はぁ…」

ことり「…どこでやるかを考えるだけでも一苦労だね」

海未「そう、ですね…」

254: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:11:24.78 ID:uJQ+ty20o
歌手専攻

授業前

花陽「ステージかぁ…」

真姫「そう。意見はない?」

花陽「んー…、ワガママ言ったら、そういうライブステージを借りたいけど…」

花陽「それはお金もないし、誰でもやってることだもんね」

真姫「そうね。私たちにしかないもの、が欲しいところね」

花陽「えー…、私たちにしかないものかぁ…。なんだろう…」

花陽「…真姫ちゃんは、自分にしかないもの、ってある?」

真姫「え、わ、私?」

花陽「うん。身近な例として参考にしようかなって」

真姫「え、えっと…」

真姫「類まれなる作曲センス!…かしら」

花陽「ま、まぁ…それもそうかもね」

花陽「…考える上で参考にしづらいよ…」

真姫「ご、ごめんなさい」

花陽「それで言うなら私はー…、歌声?」

花陽「…でも、他の人よりちょっと上手って言っても、その程度だよね、私なんか…」

真姫「そ、そんなことないわよ!花陽の歌は唯一無二だと…」

真姫(…でも私の作曲能力も他で替えがきかないこともないのよね)

真姫「あ!花陽はアレがあるじゃない!ほら…」

花陽「アレ?」

真姫「小泉花陽親衛隊!!」

花陽「えっ…」

親衛隊ズ「「呼んだ!?」」

花陽「わぁ!?呼んでないよ!?」

真姫「これだけは誰にも負けないと思うけど」

花陽「で、でも…だからってどうしろと…」

真姫「…そうよね。あ、彼女たちに応援を頼むのは?」

花陽「ち、ちょっと怖いかな…。アイドルにあんまり興味ない子も多いし」

花陽「親しい子から順に明かしていこうと思うの。ダメ?」

真姫「そうね。一気に広まると怖いところがあるし」

真姫(前の3人みたく、親衛隊といいつつ花陽を快く思ってない人も、いるかもしれないし)

255: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:12:19.28 ID:uJQ+ty20o
真姫(そういえばあの3人は…)

真姫(あの日以来、花陽を囲っていじめていた3人は、花陽とあまり会話することがなくなっていた)

真姫(今も花陽から離れた場所で、3人で集まって会話をしてる)

真姫(正直、いじめを止めに入った報復が何かしら来ると思ってたけど)

真姫(特にそれらしいことは一切なくて、ちょっと意外だった)

真姫「…腐ってもお嬢様学校の生徒、ってこと?」

真姫「でもアイドル専攻はドロドロの争いがあるって聞くし…」

親衛隊D「ねぇ、西木野さん。そろそろ花陽ちゃんを貸してくれてもいいんじゃない?」

親衛隊E「い、いくら…その…好き同士でも…、ね?私たちも小泉さんと話したいし」

花陽「へぇっ!!?」

真姫「あの、今なんて…」

親衛隊F「花陽ちゃんと真姫ちゃんって、付き合ってるんでしょ?噂んなってるよ?」

真姫「つ、付き合ってる!?私と花陽がァ!?」

親衛隊E「だだだ、だって…!小泉さん、西木野さんと一緒にいるとすっごく幸せそうだし…」

親衛隊D「花陽ちゃんも、私といるときは西木野さんとの話ばっかりだもん。嫉妬しちゃうよ」

親衛隊F「だから、きっと真姫ちゃんと花陽ちゃんは付き合ってるんだって親衛隊一同は結論づけたわけですよ」

真姫「いやいやいやいや!!付き合ってないし!っていうかあんたたちはそれでいいわけ!?」

真姫「親衛隊なんだから阻止とかしないの!?」

親衛隊D「私たちはほら…、花陽ちゃんを見守るための小泉花陽親衛隊だし。花陽ちゃんが西木野さん好きならそれもいいかなって…」

親衛隊E「わ、私は個人的には…、すっごく応援してる…!!しし、幸せになってね…!」

真姫「頬を赤らめるな!そういう事実は一切ないからね!?」

花陽「そ、そだよ…。わ、私と真姫ちゃんが…、なんて…ぬふっ…。あるわけないよぉ…。にへへぇ…」

真姫「ダメ…!この子顔とセリフが一致してない…!!満面の笑みだわ…!!」

真姫(それまで考えていたこと全てを忘れて、授業が始まるまで彼女たちを必死に説得した)

真姫(特に花陽の緩んでしまった頬の筋肉を引き締めなおすのは、大変な苦労だった…)

256: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:12:45.33 ID:uJQ+ty20o
放課後

1年E組

アリガトウゴザイマシター

真姫「…はぁ、やっと授業が終わった」

真姫(私にとってもはや数ヶ月前に習い終えたことの復習でしかない授業は、ただただ退屈で)

真姫(その間ずっとステージ案を考えていたけど…)

真姫「ダメね。どれも現実的じゃない」

真姫「…金銭的余裕がないと、こうもやりくりが大変だなんて」

真姫(思いつくものはどれもお金がそれなりに必要で)

真姫(私たちの少ないお財布事情でどうにかするには、無理があるものばかりだった)

真姫「んー…、どうすればいいのよ…。くっ…」

真姫「派手なパフォーマンスをしようとするとお金が必要…」

真姫「お金を節約しようとするとどこにでもあるものに…」

真姫「なんという二律背反…」

真姫(予想してたとおり、私の進もうとしている道は、μ’sが歩んできたものよりもはるかにハードルが高いらしい)

真姫「…うぅん。私も今までステージ制作に携わったことが少ないから詳しくないのよね…」

真姫「もっとこういうことに長けた人、誰かいないかしら…。誰か…」

真姫「…あ」

アイドル応援部 部室

ガチャッ

真姫「希!あなた、過去にアイドル応援部でステージを作ってたって…」

ことり「あ」 海未「あ」 花陽「あ」

希「んふ、これで4人目やねー」

真姫(どうやら私以外の3人は先にそこに至ったらしい)

真姫(これから講習会でも始まるかのように椅子を並べて希の前に座っていた)

希「そういうことでなんで真っ先にうちを頼らんかなー?」

真姫「…ゴメン、正直忘れてたわ」

希「心外やねー。ま、うちは寛大やから許すけどね!」

花陽「真姫ちゃんも、ここに座って話聞こ」

真姫「そうさせてもらうわ」

257: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:14:25.65 ID:uJQ+ty20o
希「話を聞くと、なんでも次のステージは安くついて個性的なもの、らしいね」

真姫「えぇ、そんな感じ。希は今までそんな感じで作ったことはあるの?」

希「んふ、実はないんよね。A-RISEは学校側のサポートを受けてるってのは知ってるよね?」

海未「えぇ、ですからそれほどお金には苦労しないのではないかと」

希「そのとおり。うちが知っている中でA-RISEの舞台のセッティングにお金が足りない、ってことはなかった」

希「って言っても、上限がないってことはなかったんやけどね。限られた金額の中からではあったけど、それでも十分に余裕はあった」

ことり「じゃあやっぱり…、そんなに参考にならない感じですか?」

希「うちの実際の経験からしたらそうなるねー。でも経験は経験」

希「体験したことがないことでも、経験則、ってものがあるんよ」

花陽「おぉ!なんだかカッコイイです!」

希「ふっふっふ。うちに言わせれば、真姫ちゃんたちには致命的に欠けているものがあるのだ!」

真姫「致命的に欠けているもの…!?」

ことり「なーに?」

希「それは…知識!」

海未「えらく根本的ですね…」

希「魅せることに関する知識が、真姫ちゃんたちには足りてないんやと思う。だからどうしてもよく知っているアイドルを参考にしちゃう」

希「プロのアイドルやA-RISEは、もちろんお金をかけてステージを作ってるんやから、参考にすればどうしたってお金がかかる」

希「安く、尚且つお客さんを魅了するなら、別のところから知恵を引っ張ってこないと!」

花陽「つ、つまり…!?」

希「ここで、部長のうちから部員のみんなに指令を与える!ででんっ!」

ことり「ほぉわ!指令!つまり希ちゃん部長は長官でありますか!」

希「せや!」

真姫「ノリノリね…」

海未「で、指令とは…?」

希「ふふふ、アイドル応援部、久々の部活動やよ…!」

花陽「部活動…って、アイドル応援部の活動って何するんですか…?」

希「今回の指令の内容、それはっ!!」

一同「…」ゴクリッ

希「取材やぁぁっ!!!」

一同「し、取材っ!?」

258: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:14:51.54 ID:uJQ+ty20o
海未「取材って…、あの取材ですか?」

花陽「される方じゃなくて、まさかのする方…?」

ことり「アイドルが取材…。新しい!」

真姫「っていうか、どこに取材に行くのよ?まさかプロのアイドルにとか?」

希「ちゃうちゃう。アイドル以外の知識が乏しいって言ってるんやから、もっと他の分野でないと」

海未「他の分野…。と言われても」

ことり「魅せることに特化した分野って何があるのかな…?」

真姫「考えればそりゃあるでしょうけど、いちいち取材許可を取るの?」

真姫「あちらの都合もあるだろうし長々とやってちゃ今月が終わっちゃうわよ!」

希「ふふふ…、何も外に出ていく必要なんてあらへんやん?」

花陽「外に出ていく必要はない?…あ!そ、そっか…!」

花陽「ここだよ、UTXだよ!」

ことり「え?…ああ!」

海未「このUTX学院には様々な学科、専攻が存在する…。それはつまり、他方の分野のプロフェッショナルが集まっている!」

海未「UTX学院こそ人材の宝庫ということですね!」

希「せやね。UTXの先生方なら真姫ちゃんたちの知りたいこと、いっぱい知ってるかもしれんよ?」

真姫「なるほど…。さすが部長ね。なかなかいいアイデアじゃない」

真姫「そうと決まれば、職員室へ向かうわよ!」

職員室

先生「専攻の先生たちへ取材?うーん…」

先生「ごめんなさい。一応聞いてみるけど、でも専門職の方たちだから、放課後は帰ったり自身の研究で忙しい方が多くて…」

先生「都合がつくのは難しいかも知れないわね…」

希「…」

真姫「どういうことよ」

希「てへっ」

真姫「この役立たずっ!」

花陽「それはさすがにひどいと思う…」

259: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:15:41.92 ID:uJQ+ty20o
海未「そうでした…。専攻の先生方は非常勤の方が多いのでしたね」

ことり「本職はやっぱりプロの人たちだから外で取材するのと一緒だよね…」

海未「やはり取材は断念するべきでしょうか…」

希「まだやっ!まだ道はある!」

真姫「何よ。取材できる先生はいないのに他にどうしろって言うの」

希「ふふふ、それやから真姫ちゃんはあまちゃんやねん。あまきちゃんやねん」

真姫「誰よ」

希「プロの方々がおらんでも、そのプロに教えを乞うてる人たちならいっぱいいるやん?」

花陽「生徒、ってことですか?」

ことり「UTX生に取材?」

希「せやね」

海未「それは大丈夫なのでしょうか…。アイドルとしての魅せ方を聞いていくわけですよね?」

海未「下手すれば私たちがアイドルをやっていると広まるのでは…」

ことり「普通ならありがたいんだけどちょっと不安だよねー」

希「んー、でも平気やと思うよ。意外とみんな、他人が何やってるかなんて興味薄いもんやって」

希「それに、聞くのはアイドルとして、ではなく、その分野特有の魅せ方。それを応用してアイドルの活動に活かそうって話やし」

真姫「まぁ、大体はわかったわ。…でも今のこの時間、専攻の人たちで集まることなんかほとんどなくない?」

花陽「みんな部活やそれぞれのサークルに行ってますよね…」

希「あー…、せやねー」

希「あ!だったらこうしよう!専攻の人たちへの取材は後回しにして…」

希「今からするのは、それぞれの部活への取材!」

希「どうしたら美しく見えるか、っていうポリシーは部活でも持ってるかもしれんやん?」

希「それを聞きまわろう!」

海未「それならこの時間でも可能かもしれませんね」

真姫「最初の計画とは結構かけ離れちゃったけどね」

ことり「でもUTXの部活ってかなり数多いよねー…」

花陽「自由な校風が売りだから生徒それぞれが自分たちで部活を立ち上げることが多いんですよね」

希「このアイドル応援部もその一つやからね」

真姫「テキトーに面白そうな部活を覗いていく感じでいいんじゃない?それに野球部とかサッカー部とかは私たちが考える魅せ方からは遠いものがあるでしょうし」

海未「魅せ方を応用出来そうな部活をピックアップしていけばいいんですね」

真姫「この計画がどれほど効果を持ってるかはわかんないけど…、何もしないよりはずっといいわ」

ことり「じゃ、次は生徒手帳から面白そうな部活を探すこと、だねー」

260: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:17:33.98 ID:uJQ+ty20o
真姫(こうして改めて部活を見直してみると…)

真姫(半端ないくらいに多いのね…)

真姫(設立にはそれぞれ少なくとも5人ずつは必要だから単純計算しても…)

真姫(…この学校、人多すぎ…。音ノ木坂にもちょっとは分けてあげて欲しいわね)

真姫(それはさておき、私たちはまず、わかりやすく、美しさを求めてそうな部活を探してみた)

真姫(そして最初に訪れたのが…)

パーツモデル部

ガチャッ

花陽「あのぉ~…、失礼しま…」

パーツモデル部部長「何!?新入部員!?」ダダッ

花陽「ひっ!ご、ごめんなさい!」

真姫「取材です」

パーツモデル部部長「…取材?」

真姫(パーツモデル部。部員約13名)

真姫(全身ではなく、体の部位の一つのみを徹底的に美しく磨き上げるパーツモデル)

真姫(それを目指す人々の部活…らしい)

パーツモデル部部長「アイドル応援部?…初めて聞く名前ね」

海未「せ、先日から活動を再開したんです」

パーツモデル部部長「ふぅん…、もの好きな部もあったものねー」

ことり「あの、それで…なにか美しく魅せるコツ、ってありません?」

ことり「パーツモデル部さんならなにか知ってるんじゃないかと」

パーツモデル部部長「それが取材?んー…、そーねー…」

パーツモデル部部長「やっぱり日々のたゆまぬ努力?健康?エステ通い?」

パーツモデル部部長「ていうかあなた…、滅茶苦茶肌キレイね!モデル専攻の子?」

真姫「えっ…!あ、いや…、私歌手専攻…」

パーツモデル部部長「えぇぇ…、もったいない…。羨ましいわ、その肌」

パーツモデル部部長「なんならうちの部に入らない?きっとあなたは輝ける!」

ことり「逆に勧誘されてるよ…」

花陽「だ、ダメですっ!真姫ちゃんはアイドル応援部の一員なんですから!!」

真姫「…この学校こんなのしかいないの…?」

261: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:18:50.13 ID:uJQ+ty20o
パーツモデル部部長「だけどあなたたち、よく見るとみんな肌きれいね…。嫉妬しちゃう」

海未「ど、どうも…」

花陽「他には魅せ方でこだわっている点とかありませんか?写真を撮るときとか…」

パーツモデル部部長「写真…、写真ね…。アタシたちいつも撮影は写真部の子に一任してるから…」

パーツモデル部部長「そっちの技術に関しては写真部に行ってくれたほうが詳しく聞けるわ」

真姫「写真部ね…。ありがとう、後で行ってみるわ」

パーツモデル部部長「アタシたち自身が写真を撮る時に気を使うことといえば…」

パーツモデル部部長「…ズバリ、角度ね」

ことり「角度?」

パーツモデル部部長「顔写真を撮るとき、キメ顔ってあるじゃない?この角度で取ればすごい綺麗に写る、ってやつ」

パーツモデル部部長「あれと同じで、手や足を撮るときにも角度は大切なのよ。ちょっとした違いで印象が随分変わってくるんだから」

海未「これはわかります。演劇でも上手下手面奥の位置や、顔の向きなどで人に与える感情が変わってくるものだと言いますから」

パーツモデル部部長「その通り。あとは照明の当たり方ね。暗すぎず、明るすぎずの絶妙な明るさ、これがベスト」

パーツモデル部部長「まぁここらへんはモデル専攻の子なら誰でも気にしてることかも」

花陽「角度と照明…。単純だけど奥深いです…」

真姫「…」

真姫(それはライブでも同じね…。単純だけどやっぱり大事なこと)

真姫(特に角度は必須。私たちは歌って踊るモデルのようなものなんだから)

真姫(…だけど今、私たちが持ってるカメラは部のもの一つだけ…。同時に多方向から撮ることは不可能)

真姫(どうしてもベストな角度を持ってくるのには限界がある。…これも財力の問題ね)

ことり「あのー…、ところでなんですけどー」

ことり「…他の部員の方々は?」

海未「そういえば部長さん以外、誰もいませんね」

パーツモデル部部長「あぁ、うちの部員?それがねー…」

パーツモデル部部長「一度撮影の日程決めちゃうとここに集まる意味があんまないっていうかさー…」

パーツモデル部部長「みんな自分の思い思いにやっちゃうから集まんなくて。部長としては指導したいこともあるんだけどねー」

パーツモデル部部長「…って言っても、アタシより手とか足綺麗な部員とかいるし、説得力ないっていうかさ…」

パーツモデル部部長「ま、そんなわけで孤独なのよ。一瞬新入部員が入ってきてくれたのかと思って喜んだアタシを返して」

花陽「ご、ごめんなさい…」

パーツモデル部部長「アハハ、冗談だって。ま、取材でもなんでも久々に語る相手が出来て嬉しかったよ。いつでもおいで」

真姫「うん、ありがとう。また機会があったら訪ねさせてもらうわね」

パーツモデル部部長「あいよー。アンタはちょーっとナマイキで気に入らないけどねー。お肌が綺麗だから許しちゃうけど」

ことり「えへへ、真姫ちゃん言われちゃったね」

真姫「…やっぱりタメ口キャラは正すべきかしら…」

海未「気にしてはいるんですね…」

花陽「でも、優しい人でよかったね」

真姫「そうね。…じゃ、次は部長さんが推してくれた写真部かしら」

262: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:19:29.14 ID:uJQ+ty20o
写真部

写真部部長「…取材ー?へー…、そんなことしてんだー…」

ことり「はい。そうなんですよー」

写真部部長「新聞部すら私たちに取材来たことなんてないのにー…、物好きねー…」

花陽「あははは…、また言われちゃった」

真姫「物好きでもなんでも構わないわ!なにか美しく魅せるコツ、ないの!?」

写真部部長「美しく…。んー…、そうねー…」

真姫(眠っちゃいそうな喋り方ねこの人)

写真部部長「…写真はー…、心…」

海未「はい?」

写真部部長「心が、大事なのよー…」

写真部部長「撮る側にスピリットが宿ってないと、写真も応えてくれないー…」

写真部部長「彼女は何よりも美しいー…。そう思えば、木も花も、全てが美しく写ろうとしてくれるのー…」

花陽「は、はぁ…。そうなんですかー…」

真姫「スピリチュアル、…ね」

海未「ふむ…。しかしいまいち掴みきれませんね…。具体的にはどういった感じで…」

写真部部長「仕方なしー…。例を見せたげるー…」

写真部部長「ここにー…、筆箱がありまーす…。あ、これをー…」

写真部部長「ふっ!」シャキンッ!!

真姫「なっ!カメラを構えた途端…」

花陽「目つきが変わった!」

写真部部長「あはーんかわいいかわいいそうそうその笑顔いいよそれそれ!んーバッチリ!!」パシャパシャ

写真部部長「あーんだめだめそうじゃないのあなたのかわいさはもっと心を開いたその先にあるのほら自分をさらけ出して全開に!」パシャパシャ

写真部部長「イエスイエス!ラブリーベリーキュート!!んー愛してる!好き好き超好きもう離さないんだからー!!んふっ」パシャパシャ

写真部部長「…」スッ…

写真部部長「とまぁこのような感じでー…」

真姫「キャラチェンジしすぎでしょ…」

ことり「それだけ心を込めて撮影に挑んでるんですね!憧れます!」

海未「撮影に魂込め過ぎているせいで普段はこうなのでしょうか…」

花陽「と、とりあえず…ありがとうございましたー!」

263: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:20:23.25 ID:uJQ+ty20o
映画研究部

映研部長「美しく魅せるねぇ…。なんだろう…」

海未「舞台演劇とはどのように違うものか、個人的にもお聞かせ願いたいものです」

花陽「なにかありませんか?」

映研部長「…気にしたことねーや!あはは!」

真姫「ちょっ…」

映研部長「センスよセンス!個人の感覚がモノを言うの!」

映研部長「自分がやりたいこと貫き通す!他人に合わせちゃそれは自分の作品じゃねーのよ!」

映研部長「映画ってーもんはそんなもんなのよ!」

ことり「か、かっこいい…!」

海未「惚れます」

真姫「…参考にはなりそうにないわね」

合唱部

花陽「ひゃあああああああああ誰か助けてえええええええええええええ」

親衛隊ズ「「どうして花陽様が合唱部に!?もしかして入部希望ですか!?」」

花陽「違うからあああああああああああああああ」

親衛隊ズ「「待ってください花陽様あああああああああああああああああああ」」

合唱部部長「あー…、あれが一年で噂の小泉クンか…。カワイイしいい声で啼く…。うちにも欲しい…」

合唱部部長「あ、取材だったな。美しく魅せる…か。難しいな」

真姫「そうなの?」

合唱部部長「我々合唱部は歌で魅せてこそだよ。姿なんて二の次だ」

合唱部部長「といっても最低限の身なりは整えておかなければいけないがね」

合唱部部長「あと歌に感情を乗せることも大事だね。歌の世界に没入する…」

合唱部部長「美しく魅せる、とは少し違うかもしれないけど、私が気をつけているのはそのくらいかな」

海未「ありがとうございます。忙しい中取材に答えていただいて」

合唱部部長「いや、いいんだ。…それより物は相談なんだが」

合唱部部長「…あの小泉クンを少し貸してくれないかな?なぁに、悪いようにはしないよ…フフフ…」

真姫「なんか怖いからダメ!」

ガンプラ部

真姫「…なんでこんなところにまで…」

ガンプラ部部長「美しく魅せる!?たわけっ!!」

ガンプラ部部長「ガンプラはありとあらゆるモノ全てが美しい!美しくないガンプラは存在しないっ!!」

ガンプラ部部長「なぜなら、ガンプラはどんな自由な発想で作ってもいいからだぁぁぁぁぁぁぁ!!」

ガンプラ部部長「…真面目に答えると塗装の時はまずサフを全面にまんべんなく…」

264: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:22:17.36 ID:uJQ+ty20o
吹奏楽部

吹奏楽部部長「ふむー…、美しくかー」

ことり「衣装とか、どんな風に考えてるんですか?」

吹奏楽部部長「んー、そりゃまあ曲のイメージに合った服だけど…」

吹奏楽部部長「でも美しく魅せる…あまり考えたことなかったかも…」

花陽「え、そうなんですか?」

吹奏楽部部長「でもこれ大事なことだよね!いいこと聞いちゃった!」

吹奏楽部部長「明日からそれについても考えてみるよ!サンキュ!」

海未「…相手を学ばせてしまいましたね」

真姫「学びたいのはこっちなのに…」

花陽「…ん?これ…」

ことり「どうしたの?」

花陽「ここに無造作にまとめて置いてある楽器は…」

吹奏楽部部員「あー、それは壊れちゃった楽器よ」

吹奏楽部部員「回収してもらうのにもお金かかっちゃうからある程度貯まるまで放置してるの」

花陽「そうですか…」

花陽「なんだから捨てられてるみたいでかわいそう…」

真姫「実際捨てられてるんだけどね」

花陽「そ、そういうことじゃなくて…」

花陽「役目が果たせなくなると無残に捨てられるのって、なんか寂しいなって思って…」

海未「ですが吹けなくなった楽器はどうしようもありませんからね」

海未「それまで頑張ってきてくれたのです。眠らせてあげている、と考えましょう」

花陽「う、うん…」

265: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:23:02.65 ID:uJQ+ty20o
演劇部

真姫「海未が舞台美術に詳しくないなら、やっぱりここに頼るしかないでしょ!」

花陽「ここって演劇学科とどう違うんですか?」

海未「学科の方は学校から用意された課題をこなすのが主な活動になりますね」

海未「演劇部は演出、脚本から舞台や小道具の作成、多方面への制作や公演日程に至るまで全て生徒の力でこなすようです」

ことり「学生にしてプロと同じ領域…!もうここはプロの巣窟だよ!」

真姫「それはさすがに言いすぎでしょ…。あくまで学業の合間にやってることなんだし」

海未「では、舞台班の方に話を聞きに行きましょう」

ことり「じゃあ私衣装さんに~」

花陽「え、別行動?」

真姫「いいじゃない。いろんな人から話を聞くのはいいことだわ。私たちも手分けして取材しましょう」

真姫「じゃあ私は…、演出さんかしら」

花陽「えっ…、えーっとじゃあ私はー…」

花陽「役者さんかな…?」

~数分後~

真姫「…」

ことり「あ、真姫ちゃん…。どうだった…?」

真姫「なんで…」

真姫「なんで演劇やってるやつはあんなヘンタイばっかなのよ!?」

真姫「意味不明のこだわりやら挙句の果てにフェチについても聞かされたわ!」

ことり「わ、私も…。誰それの腰周りがエロいとか…」

海未「舞台美術も熱く語られましたが早口すぎて理解が…」

真姫「…そういえば花陽は?」

ことり「まだ帰ってきてないね…」

海未「なにかあったんでしょうか」

花陽「おぉ…、おぉロミオ!ロミオぉぉっ!!」

親衛隊M「きゃー!花陽ちゃん似合ってるー!」

親衛隊P「次私!私がロミオね!」

親衛隊W「だめー!まだ私がロミオなの!」

花陽「…こ、こんなところにまでぇぇぇ…」

266: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:23:29.11 ID:uJQ+ty20o
真姫(その後も私たちは様々な部やサークルに取材を続けた)

真姫(ダンスサークルやバレーボール部…、手芸部にアニメ研究部にマヨネーズ同好会…)

真姫(確かにいろんな部活のいろんな魅せ方について知ることはできたけど…)

真姫(これって本当に私たちの役に立つの…?)

アイドル応援部

真姫「つ、疲れたぁぁ~…」

花陽「あっち行ったりこっち行ったりで、いつもの練習より体力使うよぉぉ~…」

希「んふ、おつかれさん。そろそろ帰ってくるやろ思ってお茶とお菓子用意してたよー」

海未「こ、これはっ…!穂むらの揚げ饅頭!大好物です!」

ことり「わー…、わざわざありがとうございます」

希「長官やからね。これくらいしないと」

希「それで、成果はどう?」

真姫「んー…、まずまずね」

真姫「これを参考にしつつ、としたいところだけど…」

真姫「本当にその部独特のものが多すぎて、使い道に困るのもたくさん…」

真姫「…これでいいのかしら?」

希「うんうん、上々やんっ」

希「その積み重ねが、いつか真姫ちゃんたちを救ってくれるんよ」

真姫「そうだといいけど…」

花陽「今は考えるより、甘いもので疲れを吹き飛ばそう!はい、あーん」

真姫「あ、あーん…もぐっ」

真姫「ふぅ…、甘い…」

真姫(まだまだ先は長いわね…)

267: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:24:13.56 ID:uJQ+ty20o
多目的ホール

絵里「ワンツースリーフォー…」

ズルッ

にこ「ぎっ…!」バターンッ!!

絵里「…矢澤さん」

凛「あははは!!にこ先輩またこけてるー!運動不足かにゃー?」

にこ「過労なくらいよ…。はぁっ…!」

穂乃果「休憩は十分足りてると思うんだけど、…ちゃんと寝てるよね?にこちゃん」

にこ「もちろんだわ…。夜は安眠MAXよ…、ふぅっ…、ふぅっ…」

絵里「でも明らかに息切れが多くなってきてるわ。少し、考え直す必要もあるわね」

にこ「そ、そんなっ…!私はまだっ!!」

絵里「とにかく、時間も時間だし今日はここまで。…まだやれるなら、矢澤さんは居残りね」

にこ「く、ぅっ…!」

凛「じゃー凛は一足お先に帰るね?にこ先輩、頑張って!凛の足だけは引っ張らないで欲しいにゃー」

凛「穂乃果先輩もお疲れ様ー!にゃんにゃんにゃーんっ」

にこ「はぁ…、はぁ…。何よ、あいつ…」

にこ「あれだけの練習の後だってのに…元気すぎでしょ…」

穂乃果「…そだね。羨ましいよ…」

凛「ふんふんふーん…。あと少しで凛はA-RISE~…」

凛「歌うこともできちゃう…!ふふふ、楽しみにゃー」

女学生「待って!!」

凛「にゃ?…あー、誰かと思えば二年の先パイじゃないですかー。どうしたんですか?」

女学生「なん、でっ…!」

女学生「なんで二年でダンス専攻トップの私よりっ…!あんたが次のA-RISEなのよっ!!」

女学生「おかしいでしょ…、そんなの…!!私のこの2年間はなんだったのよ!?去年はこのままいけばバックダンサーだって期待されてたのに…」

女学生「アンタがいるせいで…!アンタのせいで私はこんな惨めな思いをっ…!」

凛「だから何?」

凛「そんなこと凛に言ってどうしたいのさ。同情でも買ってバックダンサー譲って欲しいの?」

凛「そんなに悔しいなら、凛に一度でもダンスで勝ってから言って欲しいな。そしたら凛も嫌々ながら譲ってあげるけどー」

女学生「…くっ…!!」

凛「できないんなら、黙っててよ」

凛「あ、それじゃ!にゃんにゃんにゃーん…」テテテテ…

女学生「この…、バケモノがっ…!」

268: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:25:06.34 ID:uJQ+ty20o
真姫(それから数日、私たちは様々な部へと取材を続けた)

真姫(最初はよくわからないことばかりだったけど、次第に魅せ方の応用も分かってきて)

真姫(走り回って部室に戻ってくる頃には、私の頭の中でイメージが作り上がってきていた)

アイドル応援部 部室

海未「運動部から文化部まで…、大量の部活を何度も行ったり来たりして集めた、美しく見せるやり方…」

ことり「玉石混交って感じだね~」

真姫「でも、それぞれ独特なものでも、組み合わせれば形になるわ」

花陽「ってことは、真姫ちゃんはなにか思いついたの?このたくさんの魅せ方を、ひとつにまとめる方法」

ことり「低予算でね」

真姫「えぇ!」

真姫(…二番煎じな気がしなくもないんだけど)

海未「では、次の曲のステージや衣装は、どんなものにするのですか?」

真姫「それはね…!」

真姫「ズバリ、テーマは『異世界』よ!」

ぱなことうみ「「「異世界…?」」」

真姫「ここに集まった凸凹な魅せ方たちを、同じステージに立たせるのはハッキリ言って不可能だわ」

真姫「だからそれを生かすため、一つの舞台じゃなくて、色々な舞台を転々としながら歌とダンスを繰り広げるのよ」

花陽「まっすぐな一つのテーマというよりも、いっぱいのテーマを合わせてひとつにする、って感じかな?」

真姫「うん、そんな感じ」

真姫(…このアイデアは既に、μ’sが使用したものではあるんだけど)

真姫(『これからのSomeday』…。あれも異世界をテーマとした曲よね)

真姫(少し違うのは、一つの異世界ではなく、いろんな世界を行ったり来たり、ってところかしら)

海未「しかし…、舞台を行ったり来たりはお金がかかるのでは…」

真姫「そこは平気よ!だって使うのは…」

希「…休日の学校、かな?」

真姫「せ、正解。そう、学校を彩ってステージを作るの」

ことり「そっか!それなら普通に場所を借りるよりも随分安くつくよね」

海未「なるほど…。しかし学校の中、といってもUTXは広いですよ?どこを使用するのですか」

真姫「うーん、まだそこまでは考えてないわ。でも、お金がない中で、私たちが最も輝けるいいアイデアだと思うんだけど…、どうかしら?」

花陽「うん!いいと思う。色んな世界を巡る旅、かぁ…。してみたいな」

真姫(…いつか、凛が迎えに来てくれたらさせてあげるわ)

ことり「私も賛成!…まぁ、他に思いつくものもないし」

海未「正直ですね…。私も、良いと思います。これ以上迷っている余裕もありませんしね」

希「一応うちも。いいかな?」

真姫「そうね!じゃあ決定!『異世界』を軸に、これから舞台を彩っていきましょう!」

一同「おー!」

269: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:25:38.74 ID:uJQ+ty20o
真姫(そうしてやっと方向性が決まって、これから、ってとき)

真姫(ついに、いつか起こると思っていた事件が、起きた)

翌日 朝

1年E組

ガチャッ

真姫「おはよう…」

ガヤガヤガヤ…

真姫「…な、なに?」

真姫(なんだか、いつもの朝より騒がしい…?)

クラスメイトA「あ!西木野さん!おはよ!」

クラスメイトB「たたた、大変!これ見てこれ!」

真姫「ど、どれよ?」

クラスメイトA「この映像なんだけど…」

真姫「…っ!こ、これって…」

クラスメイトB「ね?ね?すごくない!?」

クラスメイトA「このメイドカフェで踊ってる子…、C組の小泉さんだよね!?」

真姫「…っあー…」

真姫(いずれは知られると思っていたんだけど)

真姫(…ついにバレてしまった。C☆cuteのファーストライブ映像)

真姫(花陽のいないE組でこんな騒ぎってことは、きっと花陽のクラスじゃ…)

クラスメイトA「西木野さん、小泉さんと友達なんだよね?これについて、なにか聞いてないの?」

真姫「えっ…!あ、あー…、そうね…。うん…」

真姫(この映像に私は映ってないから。まさか、同じアイドルだなんて思いつきもしないでしょうね)

真姫「まぁ、ちょっとくらいは」

クラスメイトB「えー!すごいよ!これってさ、つまり…、アイドルやってるってことだよね!?スクールアイドル!!」

真姫「えぇ…。まぁ…。…あの、ちょっといい?」

真姫「私、花陽が心配だから、行ってきていいかな…」

クラスメイトA「あ、そっか…。うん、わかった!」

真姫「ありがとう。…じゃあ」

真姫(…質問攻めにあって潰されてないか心配だわ)

270: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:26:27.18 ID:uJQ+ty20o
1年C組

真姫「花陽っ…、うわっ!」

真姫(な、なにこの人口密度!!?ひ、人多すぎ…)

真姫「花陽っ!花陽…、あ!」

真姫(いた!…この大量の人の中心部、ポツンと佇んでいるわ)

花陽「は、はわぁぁぁ…!!」

真姫(涙目でプルプル震えてる…。気持ちはわからなくもないけど)

真姫(こんな人ごみに囲まれれば私だって泣き出すわ。果てない草原で風がビュビュンと吹いた時と同じくらい)

真姫(あれ、でも…)

真姫「…質問攻めに食らってる感じはない?ただ囲まれて困惑しているような…」

真姫「あっ…!」

真姫(よく見れば、花陽の周りにいる数人はみんな、見知った顔だった)

真姫(…つまり、小泉花陽親衛隊。彼女たちは花陽が押しつぶされないように、花陽を守っているんだわ)

親衛隊F「…あっ!真姫ちゃん…!」

真姫(親衛隊の一人と目があった。こちらを強く見つめてきている)

真姫(…彼女の言わんとしていることは大体わかった。私は大きく頷いた)

真姫「…うん」コクリ

親衛隊F「よしっ…。花陽ちゃん…!」クイクイッ

花陽「え…。あ…」

真姫(花陽に顎で合図をする。人ごみに気づかれないようにするため一度屈む花陽)

真姫(そして、人ごみの間を縫うように、私のもとへ現れた)

花陽「ま、真姫ちゃっ…」

真姫「しっ!気づかれないうちに…」ダダッ

花陽「きゃっ!」

真姫(とりあえず、予鈴のチャイムがなるまで、部室で身を潜めることとなった)

271: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:27:03.10 ID:uJQ+ty20o
アイドル応援部 部室

ガチャッ ガチンッ

真姫「ふぅ…、ふぅ…。ここまでくれば平気でしょ」

花陽「あ、ありがと、真姫ちゃん…」

真姫「お礼なら、あなたの親衛隊に言ってあげなさい。…ホント、いい子たちね」

花陽「うん。ちゃんと説明もするつもりだよ。でも…」

花陽「…こうやって、真姫ちゃんに腕を引かれて逃げるのって、すごいドキドキした…」

真姫「えっ…」

花陽「まるで、王子様にさらわれちゃうお姫様って感じで…、今もまだ、胸が熱いの…」

真姫「は、花陽…」

花陽「ね、真姫ちゃん…」

花陽「ドキドキが収まるまで、花陽のそばに、いてくれる?」

真姫「…ば、バカ…」

真姫「それじゃ、いつまでたっても…、離れられないじゃないのっ…」

花陽「ふふ、そうかもね…」

希「んふー、青臭いお芝居やねー。120点」

花陽「ひょわぁぁっ!!!?の、希部長!?いたんですか!?」

希「ずっといたよ。でないとこの部室開いてへんしー」

真姫「…気づいてなかったのね」

花陽「さ、さっきの見られてた…!恥ずかしい…」

真姫「二人きりであんなこというわけ無いでしょ。芝居でもない限り」

花陽「くぅぅぅ…!乙女の心を弄ぶ真姫ちゃん、許すまじぃぃぃ…!!」

希「ええやん、羨ましいなー。うちも混ぜてほしいわ」

真姫「遠慮しとくわ。…で、花陽。さっきのアレのことだけど、やっぱり…」

花陽「う、うん。例のライブ映像の件で、質問攻めに…」

花陽「こ、怖かった…」

希「結構、広まってるみたいよ?その件」

希「うちのクラスでも、話題にしてる子いたし。『あの有名な』小泉さんがアイドルやってる、って」

真姫「…花陽の知名度半端ないわね」

花陽「わ、私が何したっていうのぉ…?」

272: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:27:51.52 ID:uJQ+ty20o

食堂

真姫「ふーっ、ふーっ…、ずるずる…。もぐもぐ…、ごくんっ。…それじゃ、ことりも?」

ことり「うん。ちょっとはね…。でも…」

ことり「…花陽ちゃんほどではなかったかな。やっぱり、大人気だね、花陽ちゃん」

海未「歌声一本であそこまで人気が上がるのは正直驚きます。羨ましくもありますね…」

真姫「元メイドアイドルとして?そうね…。花陽は自分から人気をあげようなんてこと一切してないのにアレだものね…」

ことり「まさに天性のアイドル!なのかな?私も映ってるっていうのに、私そっちのけで花陽ちゃんの質問しに来た子もいたし」

真姫「花陽に直接聞かせてあげたい言葉だわ…。天性のアイドル、なんて」

海未「…ところで、その花陽はどこに?」

真姫「あそこ」クイッ

ことり「あー…、あの人だかり?」

真姫「いっつもあの位置で、小泉花陽親衛隊に囲まれて食事してるんだけど…」

真姫「今日はいつも以上に多いわね…。多分、親衛隊以外もいるんでしょうけど」

海未「というか、親衛隊なんていたんですね…。彼女はどういう立ち位置の人なのですか…」

真姫「…未だに私もわかりかねてはいるわ」

273: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:28:37.87 ID:uJQ+ty20o
花陽「えと、えっと…、それからそれから…」

花陽「…とまぁ、色々な紆余曲折を経て今に至る、かな…?」

親衛隊ズ「「「おぉー!」」」パチパチパチパチ

花陽「や、やめてよぉ…。拍手するほどのことじゃないって」

親衛隊L「そんなことないってば、花陽!やるじゃん!」

親衛隊E「に、にに西木野さんも、アイドルなんだね…。い、意外かも…」

親衛隊P「それどころかかよちゃんをアイドルに誘ったのが西木野さんなんでしょ?驚きだよねー」

親衛隊I「熱血な面もあるんですね、真姫さん…。おとなしい子ってだけだと思っていました…」

花陽「結構アグレッシブな子だよ、真姫ちゃん…。付き合ってたらわかるけど…」

親衛隊T「え!?やっぱ付き合ってんの!?」

親衛隊Y「どっち!?どっちが攻め!?やっぱ西木野さんがガンガン行くタイプなの!?」

親衛隊F「私が思うにきっと花陽ちゃんがなんだかんだ真姫ちゃんのリードを引っ張るタイプのそれだと…」

花陽「ちちち、違うよ!?そういう付き合うじゃないって!!一緒にいたら、ってことで…」

ザワッ…

花陽「…?何?」

親衛隊D「後ろの方から、声が聞こえた…?」

親衛隊K「…いやむしろ、野次馬の声が消えた…?」

ザワッ… ザワッ…

「あー、そこどいてー。うんうん、ありがとー」

花陽「…っ!!この、声…」

「邪魔だなぁ…。どっか消えてってばー。ほら、あっち行って。シッシッ」

花陽(そんな声が何度か聞こえたあと、私の正面にいた人だかりは、綺麗さっぱりいなくなり)

花陽(ただ向かいの席にひとり、椅子に座っている子がいるだけでした)

花陽(その子は堂々と椅子にふんぞり返って、私を値踏みするような目で見つめて)

花陽(数瞬ののち、こう言いました)

凛「久しぶり、…小泉さん」

274: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:29:27.41 ID:uJQ+ty20o
花陽「り、凛、ちゃんっ…!!」

親衛隊G「えっ…!!A-RISEバックダンサーの、星空凛ちゃん…!?ど、どうして…」

親衛隊W「小泉さんと、なにか関係あるの…?」

凛「…誰に向かって話しかけてるわけ?ルール違反なんですけど」

親衛隊G・W「えっ…」

凛「今凛は小泉さんに話しかけてるの。それ以外は凛とかに話しかけちゃダメって決まり、知ってるよね?」

親衛隊G・W「あ…」

凛「もー、しっかりしてよねー?レベルが低いんだからー」

凛「小泉さんも、相変わらずレベル低い子たちに囲まれて。女王さま気取りかにゃ?」

花陽「…っ!そ、…そんなんじゃ、ないよ」

凛「だよねぇー!女王さまならこんなみみっちい人たち囲んで満足するわけないもんね!アハハハ!!」

花陽「や、やめて…。私はいいから、みんなをバカにするようなことは…」

凛「そんなの小泉さんに咎められる筋合いないにゃー。凛がそう思ったから言っただけだよ」

凛「質の低いアイドルのもとには質の低い人間しか集まらない。まさに絵里センパイの言ってた通り…」

花陽「そんなこと言うために会いに来たのっ!!?」ダンッ!!

凛「…っ」

花陽「…あっ、ご、ごめん…。でも…」

凛「うぅん、こっちこそ。そうそう、わざわざこんなこと、言いに来たんじゃなかった」

花陽「何しに、来てくれたの…?」

凛「まぁ別に、用があったわけじゃないんだけど」

凛「聞いたよ?…スクールアイドル、始めたんだって?」

花陽「…っ。う、うん…。それで?」

凛「ふぅん…。それで?だなんて…。ププッ…、笑っちゃうにゃぁ…」

花陽「えっ…」

凛「だって…、くふっ…、あははははは!!なんにも悪びれずにやっちゃうんだね!スクールアイドル!!」

凛「せめて凛にお伺いを立ててから始めて欲しかったモンだけどなぁ…。ねぇ?」

凛「勝手に辞めた、裏切り者」

花陽「…っ!!!」

凛「凛言ったよね?ちゃんと逃げ出したこと謝りに行かないとダメだよ、って」

凛「何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も」

凛「なのに…、なのに”かよちん”は動こうとしなかった。怖いからって、嫌だからって」

凛「だからもう…、小泉さんのアイドルに対する思いって、そんなものなんだって思って失望して」

凛「でも哀れんでもいたの。この子は弱い人間なんだ、だから仕方ないんだって、半分諦めみたいな」

凛「でもさぁ…。まさか、新しくスクールアイドル始めちゃうなんて思わなかったよ」

凛「それでね?凛…、哀れんであげたのが馬鹿みたいじゃんって思って、腹が立ったんだ」

凛「小泉さんは弱いっていうより、姑息で、卑怯な人間なんだって気づいたから」

275: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:30:20.88 ID:uJQ+ty20o
花陽「ひ、卑怯って…!そんなこと、な…」

凛「卑怯じゃん!!辛いからって逃げ出して、嫌だからって今度は楽してアイドルやって!」

凛「一緒にやろうって言いだしたのはどっちだよ!?最初に諦めたのはどっち!!?」

凛「アイドルやりたかったらもう一回戻ってきてやればよかったのに、小泉さんなら十分にその資格があったのに!」

凛「…失礼だとは思わないの?『才能』を持ってない人たちにさ?」

花陽「さ、才能…?」

凛「小泉さん、歌、上手だよね。あの質の悪い映像だけでもよくわかるよ」

凛「多分、一年生じゃぶっちぎりで上手だと思う。きっと来年、頑張ればバックダンサーになれる資格が十分にある」

凛「でも頑張らない。才能を持ってるのに逃げ出して、チャンスをふいにしてる」

凛「それって、チャンスすら持たない人間に対して、どれだけ失礼な行為かわかってないのかな?…小泉さん」

花陽「だ、だけどそんなのっ…」

凛「え?口答えする気?できるとでも思ってるのぉ!?アハハハハ!!笑える!」

凛「かよちーん、これはイジワルでもなんでもないんだよ?れっきとした、事実なの」

凛「いつか身にしみる時が来るよ。自分がどれほど最低な人間なのか、ってさ」

花陽「…う、ぅぅ…!」

凛「…ま、そのくらいかな。もし自分がまだ、楽しくアイドルやれると思ってるなら、思い直したほうがいいよ」

凛「小泉さんは、絶対に、そんなこと、できないから。…じゃあね」スッ

花陽「ま、待ってよ!!」

凛「…どったの?」

花陽「…っ、う、ぐぐっ…!!」

花陽「わ、私っ…!!絶対に私、凛ちゃんに追いついてみせる…!!」

花陽「どれだけ酷いこと言われても、凛ちゃんはまだ私にとって、凛ちゃんだからっ…!!」

花陽「だからいつか、またっ…」

凛「黙れよ」

花陽「…っ!!」

凛「…ハァ?お、追いつく…?クハッ…、ア、ハハハ…!!」

凛「アッハハハハハハハハハハハハァァァァァァァアアアッ!!!なにそれ、超ウケる!!」

凛「小泉さんが、凛に、追いつくだなんて…ぇっへへへへ…!!冗談にしては、タチ悪すぎだにゃぁぁっ…!!」

花陽「冗談なんかじゃっ…!」

凛「…じゃあ、もっとタチ悪いね。そんなの、夢物語ですらない」

凛「ただの戯言だよ。無理に決まってるもの」

凛「一度諦めた人間が、諦めない人間に勝てるはずがない」

凛「…どれだけ、凛を見下せば気が済むの?ホンット、最低だね…」

花陽「う…」

凛「小泉さん程度の人間が、凛と同格だなんて、二度と思わないで」

凛「…不愉快すぎて、吐きそうだから」

276: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:31:00.28 ID:uJQ+ty20o
花陽「ぅ、ぁ…」

凛「今日の日記には、こう書いておやすみするにゃー」

凛「『小泉花陽ちゃんは、凛の思っていた以上にクズで最低な子でした。それ以外は普通の日でした』ってねー」

凛「長話が過ぎたにゃー。じゃ、今度こそバイバーイ。あ、凛を嫌いになってもA-RISEは好きでいてね!よろしく!」スッタカター

シーン…

親衛隊D「…なにあれ、最低…」

花陽「やめてっ!」

親衛隊D「えっ…」

花陽「私が…、私が、いけないの…」

花陽「凛ちゃんを、あんなふうに変えちゃったのは…、私…」

花陽「弱くて、最低で…、傷つくのが怖くて逃げることしか考えなかった私が、ぁ…、あぁぁぁっ…!!」

花陽「ああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!!」

親衛隊E「ちょっ…、小泉さっ…」

花陽「うぐぁぁああああぁぁぁぁぁぁぁあああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

親衛隊N「えと、えっと…、その…」

真姫「…は、花陽っ!?なにが…」

ことり「ど、どど…、どうしたの!?」

親衛隊F「真姫ちゃんっ…!…お願い、今は真姫ちゃんしか、花陽ちゃんを救ってあげられないと思う、から…」

真姫「…!わ、わかったわ…。花陽。行きましょう」

花陽「ううぅぅぅぅっ…!!うあああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

花陽(言えなかった)

花陽(ことりちゃんみたいに、かっこよく)

花陽(だからいつかまた…)

花陽(『もう一度、友達になろう』って)

花陽(それが、どうしようもなく悲しくて、悔しくて、虚しくて)

花陽(凛ちゃんから受けたどんな暴言よりも、深く胸に突き刺さった)

277: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:31:50.64 ID:uJQ+ty20o
アイドル応援部 部室

花陽「うぅっ…、ふ、ぅぅふぅ…」

真姫「花陽…、もう大丈夫?」

花陽「…うん、ありがとう。真姫ちゃん、ことりちゃん、海未さん…」

海未「急に泣き出したときはどうしたのかと驚きましたよ…」

希「うちはお弁当食べてる時にいきなり花陽ちゃんたちが泣きながら部屋に入ってきてビックリしたわ」

ことり「あの、そろそろ何があったのか教えてくれる?」

真姫「…凛があなたの席の近くまで行ったのは知ってるんだけど、もしかしてアイツになにか…」

花陽「うぅん、違うの…。違くは、ないんだけど…、泣いてるのは、違う」

花陽「実はね…」

海未「そんなことを…」

ことり「凛ちゃんって少しワガママなところあったりして苦労してたけど、そんなこと言う子だったんだ…」

海未「そんな振る舞いをしてファンが離れていくとは思わないのでしょうか…」

希「…それ以上に、自分の才能に対して自信を持ってるんやろうね」

希「『UTX始まって以来の天才』、って呼ばれてもいるから、凛ちゃん」

海未「どれだけ不遜な行いをしても、ステージの上で華麗に踊る姿に人々は次第に魅了される…、そういうことでしょうか」

ことり「それにしたって酷いと思うよ…。聞く限りだと花陽ちゃんの心をへし折る気満々だもん…」

希「実際、そうするつもりなんやろうね。花陽ちゃん、今度は精神的に潰れんといいけど…」

真姫「…そう、凛が…」

花陽「凛ちゃん、昔はとてもいい子だったんだよ…。人の悪口なんか、ふざけてる時くらいしか言わないような…」

花陽「あれだけ凛ちゃんが歪んじゃったのはきっと、私が…」

真姫「…違うわ。凛が歪んでしまったのはあなたのせいじゃない」

真姫(あの凛の考え方から察するに、絵里の影響をモロに受けている)

真姫(歪んだ絵里が、さらに凛をも歪ませてしまった…)

花陽「私が直接的じゃなくても、少なくとも、原因のひとつであることは間違いないよ」

花陽「ずっと凛ちゃんのそばにいてあげれば、あるいは、道をそれることもなかったかもしれない」

花陽「…私が、逃げ出しちゃったせいで、凛ちゃんは…」

真姫「そんなこと言いだしたらキリがないでしょ!そのまま花陽がアイドル専攻を受け続けたら、もしかしたら花陽こそ歪んじゃったかもしれないんだし」

真姫「わ、私は…、今の花陽に出会えてよかったと思う。今の花陽が、その…、好きだからね」

花陽「…ふふっ」

花陽「真姫ちゃん、顔真っ赤だよ」

真姫「…うるさい」

278: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:32:16.81 ID:uJQ+ty20o
6限 歌手専攻授業前

音楽室

真姫「…」

花陽「あ、あのっ!」

親衛隊ズ「…?」

親衛隊D「どうしたの?花陽ちゃん…」

親衛隊E「な、なにか言いたいこと、あるの…?」

花陽「え、えっと…」

~回想~

部室

真姫「…へぇ。親衛隊の子達にも説明したのね」

花陽「うん。真姫ちゃんがアイドルやってるってことも、全部」

花陽「みんな応援してくれる、って言ってたよ」

真姫「じゃあ…、大丈夫そうね」

花陽「ん?なにが?」

真姫「今後、ステージを組む時とかに人手は必要じゃない?そのための人員」

真姫「彼女たちになら、任せられると思うの」

花陽「あ、そっか…」

~回想おわり~

真姫(…歌手専攻にいる子たちが親衛隊全員ってわけじゃないけど、大部分は占めるし)

真姫(一度誰かが承認してくれれば、あとはなし崩しで、ってわけじゃないけど)

真姫(でも、花陽のことを誰よりも大切に思ってくれてる、っていうのは、朝のアレで理解できた)

真姫(きっと彼女たちなら、すんなり引き受けてくれるはず。問題があるとすれば…)

花陽「え、えと…」

真姫(頼みごとをするときの花陽のあがり癖、くらいかしら)

親衛隊F「ほら、リラックスして。ちゃんと聞いてあげるから」

花陽「う、うん。言うね。…あの、これから私…、私たちがライブするときとかに…」

花陽「ステージを作るの、手伝って欲しいな、って思ってて…。ダメ?」

親衛隊E「だ、ダメなんてことないよ…!もも、もちろん…」

親衛隊G「そーそー。みんなもそうだよね?」

親衛隊ズ「「うんうん!」」

真姫「そう…。よかった、じゃあ…」

「やめといたほうがいいと思うよ」

279: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:33:01.81 ID:uJQ+ty20o
花陽「えっ…?」

真姫「だ、誰っ…?」

親衛隊A「私」

真姫「あ、あなたはっ…!」

真姫(…花陽をいじめていたうちの、ひとり。最近ほとんど花陽に絡んでなかったと思ったら…)

真姫(こんなところで一体何を言い出すの…!?)

親衛隊F「ちょっと!やめておいた方がいいってどういうことよ?」

親衛隊H「もしかして最近ハブられ気味だからって嫉妬してるのー?」

親衛隊A「そんなんじゃないって。善意だよ、これは」

花陽「ぜ、善意…?」

親衛隊A「小泉さんを手伝うことが、どういうことか理解して言ってるの?みんな」

親衛隊E「どど、どういう意味…?」

親衛隊A「彼女を手伝うっていうことは、彼女のスクールアイドルを手伝うってこと」

親衛隊A「新しいスクールアイドルを手伝うってことは、A-RISEに歯向かうってこと」

親衛隊A「アンタらにもA-RISE大好きな子もいるんじゃないの?」

親衛隊H「ま、まぁ…。好きだよね…」

親衛隊A「ここUTXはA-RISEの本拠地なわけよ?そこで別のスクールアイドルを応援するってなったら…」

親衛隊A「どんな扱いを受けるかわかったものじゃないわよ?」

親衛隊I「えっ…」

親衛隊A「特にアイドル専攻の子たちは過激だってよく聞くしね~。自分たちがアイドルになるのに必死だって」

親衛隊A「そんな中、勝手にアイドル始めようとしてる人たち見かけたら、どう思うかな?」

親衛隊A「私だったら、潰したくなると思う」

親衛隊ズ「…」ザワッ…

親衛隊A「スクールアイドル本人もだけど、それを応援している人にも被害が及ぶかもしんないんだよ?」

親衛隊A「うぅん。むしろ被害が最初に出るのは応援してる方かも。そっちの応援してるってだけで、話の輪からはじき出されたりして」

親衛隊A「だから、やめておいたほうがいいって言ったの。入るにしても、よく考えてからにしたら?」

親衛隊A「二つ返事で受け入れるのは、賢い選択じゃないと思うんだよね」

親衛隊ズ「…」シーン…

真姫「…あなた」

親衛隊A「あ、他の子達にも私が伝えといてあげるよ。あなたたちが手伝って欲しがってたって」

親衛隊A「もちろん、そのリスクも一緒にね。手間減らしてあげるんだから感謝してよね?」

真姫「…」

真姫「えぇ、ありがとう…」

親衛隊A「どういたしまして。…くくっ」

280: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:33:40.89 ID:uJQ+ty20o
真姫(まさか、こんなタイミングで…)

真姫(私が花陽のいじめを阻止したことへの報復が来るなんて…)

親衛隊J「わ、私…。やっぱり、やめる…」

親衛隊D「えっ…!ちょっと!」

親衛隊J「だ、だって私…。A-RISEも花陽ちゃんと同じくらい好きだもん…」

親衛隊J「仲のいい友達にもA-RISEの熱狂的なファンもいるし、もしその子から敵視されちゃったら…」

親衛隊E「そ、そそ…、そんなことないと思う…、多分。みんな、優しいって…」

親衛隊L「…ゴメン。あたしもパス。部活も忙しいし…。多分手伝えないタイミングも多いし…」

親衛隊L「同じ部の子には、あんま評判良くないんだよね…。あなたたちのこと…」

真姫「…っ」

花陽「そんなっ…!」

真姫(それから次々と、「私も」「私も」と、手伝いを拒否する子たちが現れ始め)

真姫(残った子たちも「考えさせて」という子がほとんどで…)

真姫(結局、手伝ってくれる子はほんの少ししか残らなかった)

真姫(少しでもいてくれたのは嬉しいけど、…でも、やっぱりこの学校ではA-RISEの存在は大きいって実感した)

親衛隊P「ごめんね、かよちゃん、まきちん…。私も…」

花陽「ま、待ってみんな!もう少し話を…」

真姫「…やめておきなさい」

花陽「真姫ちゃんっ!!でもっ…」

真姫「今は…」

キーンコーンカーンコーン…

花陽「あっ…」

真姫「…授業が始まるわ。早く、席につかないと」

花陽「う、うん…」

真姫(改めて感じた、A-RISEに立ち向かうことのハードルの高さ)

真姫(だけどこれも、私の…、私たちの乗り越えるべき壁なのよ)

真姫(ここで信頼を勝ち取らないと、この先に進むことなんて到底できない)

真姫(また、頭を使いそうな事案が増えてしまった、…なんて思っていた矢先)

真姫(…あんなことが起きるなんて、予想もしていなかった)

281: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:34:30.31 ID:uJQ+ty20o
数日後 放課後

アイドル応援部 部室

真姫「ふんふん…」カキカキ…

真姫(結局手伝ってくれるって言ってくれた子は、花陽と仲のいい3人だけだった)

真姫(A-RISEにケンカを売る片棒を担げ、って言ってるのにまぁ…その3人だけでも手伝ってくれるのはとてもありがたいこと)

真姫(そして今私は、早々にその3人を利用するため、ステージや舞台美術のイメージをスケッチしている最中)

真姫(歌やダンスに関しては、経験の浅い他の3人よりも早く習熟できるから、こうして練習の時間を構想に当てている)

真姫(普通は家でやることなんだけど、手伝ってくれる3人のためにいち早く完成させたいからね)

真姫(そんなわけで、今この部室には私と希だけがいて、鉛筆の擦れる音だけが静かに響いていた)

真姫「で、ここがこうで…」サッサッ…

希「…ふむふむ」

真姫「わっ。き、急に近づいてこないでよ」

希「ふふ、進捗どうですか、ってことで覗かせてもらったよ」

真姫「進捗?…まぁ、そこそこね」

希「ホント?」

真姫「嘘ついてどうするのよ。…でも、そこそこ以上ではないわ」

真姫「…なんか、もう少し欲しいのよ。もう1ランク上の、魅せ方が…」

希「1ランク上…。もっかい取材してくる?」

真姫「って言ってもほとんどのところ取材しつくしたし…。あと、残っているところと言ったら…」

コンコンッ

??「…いる?」

真姫「…?誰、お客さん?」

真姫(扉の外からドアをノックする音と、誰かの声が聞こえた)

希「さぁ…。うちは誰も呼んでないけど」

真姫「じゃあ他の誰かが呼んだのかしら…。今は音楽室なんだけど」

??「…いないんじゃないのか?」

??「えー、でも明かり付いてるし…」

??「鍵は…、かかってないみたいだけど」

真姫(外からの声はどうやら3人あるみたいだった)

希「あー、はいはい。今開けますーっと…」

ガチャッ

希「はいはい、どちら様…、えっ!」

真姫「…誰よ、こんな部活に…ぬぁっ!!?」

ツバサ「…こんにちは。アイドル応援部さん」

282: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:35:27.85 ID:uJQ+ty20o
あんじゅ「へー、こんなところにいるんだー。あはは、狭っ」

英玲奈「…失礼だろう。すまない、急にお邪魔して」

希「いや、うちはいいけど…」

真姫「え、えぇぇぇぇぇ…!!?どどど、どうして…!!

真姫(どうして、A-RISEがっ!!?)

真姫(しかも一人ならまだしも、三人全員が揃って、この寂れたアイドル応援部に!?)

真姫(この学校の生徒が、この学校の部室に顔を見せる)

真姫(事実だけ述べれば何ら不思議ではない状況、しかしUTXではそうはいかない)

真姫(なにせ、A-RISEはこの学校の、スーパースター…)

真姫(学校側か絵里の策略かは知らないけど、同じ学校にいても遠い存在だと印象付けるために)

真姫(こちら側から話すことは基本的に禁止され、あちら側から話すことも、あまりないことなはずなのに…)

英玲奈「…それにしても、久しぶりだな。東條」

希「あ…、せやね。れなっちも、久しぶり」

真姫「は?」

あんじゅ「私はいつも会ってるよねー。希ちゃん」

希「まぁ…、あんじゅちゃんとは同じクラスやからね」

真姫「えっ」

ツバサ「去年までは、とてもお世話になってたわね。口じゃ言い表せないほど感謝してるわ」

希「せやね。…あの頃は、めっちゃ楽しかったわ。今も、めっちゃ楽しいけどね」

真姫「あぁ…」

真姫(…そうか。希は…)

真姫(希は、アイドル応援部部長なのだった)

真姫(これまた当たり前すぎる感想だけど、私たちのこのアイドル応援部と、過去のアイドル応援部とではわけが違うから仕方がない)

真姫(希の話だと、去年の秋頃まではA-RISEととても深い関係のある部活だったそうな)

真姫(それならば去年のA-RISE候補生で合った現A-RISEの3人とも顔見知りであることは何ら不思議じゃない)

真姫(それに部長であるということは、かなり重要なポジションなわけで…。それなりに親しくてもおかしくない、ってわけね…)

真姫(A-RISEの3人も3年だし…、しかし、それにしてもさっきの会話でちょくちょく気になるところが)

真姫「…あの、希?その…、統堂さんのこと、今…れなっちって言った?」

希「ん?せやね、れなっち。英玲奈の下の二文字取って、れなっちやね。ふふっ、こう呼ぶのも久々やん」

英玲奈「その呼び方にももう慣れたよ…。…いや、まだ慣れてないかもしれないな。恥ずかしいから正直やめてほしい」

真姫「な、仲はいいの?」

希「そこそこやったねー。A-RISEが今の体制になるまでは二人で遊びに行ったりもしたし」

真姫(…意外すぎるわ)

ツバサ「まぁまぁ、昔話もいいけど、立ちながらって言うのもどうなの」

あんじゅ「そうねー。別に昔のお話をしに来たわけでもないしー」

希「…わかった。じゃ、お茶用意するね」

283: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:37:28.41 ID:uJQ+ty20o
真姫「…」

ツバサ「ふぅん…、えらく変わったわねー…。部室も…」

英玲奈「し、しかし…。壁と背中の距離が近いな…」

あんじゅ「私なんておっぱい挟まれちゃうわよー。もうちょっとなんとかならないのー?」

真姫(…ど、どうして私をお茶くみに行かせてくれなかったの…)

真姫(気まずすぎる)

あんじゅ「あ、真姫ちゃーん…だよね?」

真姫「え、えぇ…。そういえば、どうして名前…。この前も呼ばれたし…」

あんじゅ「んふ、どうやらあなたも結構な有名人らしいじゃない」

真姫「え、そ、そうなの…?」

英玲奈「こら、あんじゅ」

あんじゅ「あぁん、もう。…ごめんなさい。ま、そんなわけだから偶然知っちゃってね、これからも仲良くしましょ?」

真姫「は、はぁ…(意味わかんない)」

真姫「あ、あのぉ…。希とは同じクラスって…」

あんじゅ「うん、そうよ。今年はね」

あんじゅ「去年あんなことがあって、しかも同じクラスになるのは初めてだったからちょっと気まずかったけど、今じゃ時々お話するくらいのお友達よ」

真姫「へぇ…。そ、そうなんだ…」

ツバサ「ふふ、もっと気を楽にしていいのよ?今は誰も咎める人はいないんだし」

ツバサ「それにここはあなたの部室なんだし」

真姫「そ、そうですね…、はい…」

希「お、ちゃんとおもてなししてるー?お茶くんできたよー」

英玲奈「あぁ、ありがとう。はい、あんじゅ」

あんじゅ「どーもー。んぐっ…、んん、あったかい」

ツバサ「私にまで回してよ…」

希「はい、これ真姫ちゃんの…、どうしたん?汗ひどいけど」

真姫(…希が来てくれて助かった。正直…、緊張で死ぬかと思ったわ)

希「よいしょっ、と。じゃ、そろそろ話してもらえる?わざわざこの部室に来てくれた理由」

ツバサ「うん。でももう少し…、あともう少しで…」

ガチャッ!!

花陽「あ、A-RISEが来てるってホント…ってわぁぁぁっ!!!」

ことり「ほ、ホントにいる!?」

海未「ど、どういうことですか、これは…」

ツバサ「揃ったわね。新生スクールアイドルの皆さん」

真姫「全員いないと、できない話…?」

英玲奈「そういうことだ」

ツバサ「じゃあ、早速本題に移りましょう。単刀直入に言うわね」

ツバサ「今度の、アキバハロウィンフェスタ。…一緒に出てみない?」

284: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:38:41.95 ID:uJQ+ty20o
花陽「え…?」

ことり「あきばはろうぃんふぇすた?」

海未「…に、一緒に?」

あんじゅ「そう!あ、アキバハロウィンフェスタのことは知ってる?」

あんじゅ「10月30日周辺の数日に渡って行われる一大イベント!たっくさんの人々が仮装して街を大行進!」

英玲奈「…日本じゃ考えられないほど大掛かりなイベントだな」

ツバサ「そのアキバハロウィンフェスタに、私たちA-RISEへライブのオファーが来ているの」

花陽「え、ライブするんですか!?」

ツバサ「うん。お祭りの最終日にね」

海未「それは理解しましたが…、一緒にってどういう…」

あんじゅ「んふ、簡単よ。あなたたちにもライブを披露してもらうってこと」

ことり「えぇぇぇっ!!?」

英玲奈「スクールアイドルなんだ。披露できる曲の一つくらいは持ってるでしょう?」

英玲奈「それを、私たちと共に行おう、と提案しているのよ」

真姫「…それは、どうして?」

花陽「そそ、そうですよ!まだ結成して日も浅い…どころかほとんど活動してないような私たちを!」

希「もしかして、アイドル応援部時代のよしみで、とか?」

ツバサ「ふふふっ、それもあるかもしれないけど、理由は違うわ」

ツバサ「素直に、応援したくて」

海未「応援、ですか…?」

ことり「アイドル応援部を、応援…。つまり綺羅さんはアイドル応援部応援部ですか!」

希「真面目な話してる時にボケない」

あんじゅ「そうよー?だって私たち3人じゃ新しい部活は作れないもの、ね?」

英玲奈「…お前も乗るな」ポコンッ

あんじゅ「痛っ!英玲奈がぶったー!」

ツバサ「あはは…。まぁつまり、私たちもUTX学院に新しくスクールアイドルができるのなら喜ばしいことだと思ってるの」

ツバサ「絵里は快く思ってないみたいだけど…。でも私たちはそうじゃないわ。ライバルとして、でも学院生として、仲間としても、支えていきたいって」

花陽「つ、ツバサさんっ…!!」

ツバサ「あなたたちはまだ目立つ活動は行っていないのよね?だったら、このハロウィンフェスタで一気に名を上げるチャンスじゃない!」

ツバサ「まだ正式に運営を通して話したわけじゃないから確約はできないけど、私たちからならきっと承諾してくれると思う。だから、どうかしら?」

ツバサ「私たちと同じ舞台で、踊ってみない?」

ことり「そんなの…、渡りに船ですよっ…!当然オッケーだよね?海未ちゃん!」

海未「当たり前です!こんな有名になれるチャンス、逃す手はありません!」

花陽「うんうんっ!!この前のライブ以上のお客さんの前でライブができるんだよ!うわぁぁ…、楽しみだなぁ…」

希「そういう話なら、うちも賛成かな。部員たちが有名になれるならそれに越したことはないし…」

英玲奈「決まりかな。それじゃ…」

真姫「ダメよ」

花陽「…え?」

真姫「…魅力的だけど、その誘い。乗るわけには行かないわ」

285: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:40:23.99 ID:uJQ+ty20o
英玲奈「なっ…!」

あんじゅ「えー!なんでー?」

花陽「そそ、そうだよ真姫ちゃんっ!!!どうしてそんなこと…!」

海未「正気ですか!?」 ことり「熱があるの!!?」

希「…もしえりちの罠や、とか考えてるなら、心配いらないよ。ツバサちゃんたちはそんな…」

真姫「そういうことじゃない。私だって彼女たちに裏があるとは思ってないわよ」

真姫(…少なくとも、何もしなくても実力でこのUTXを勝ち上がった3人だし)

真姫(この場合の『何も』っていうのは、私たちμ’sの面々がUTXに介入しなくても、って意味ね)

花陽「だったら…」

真姫「…冷静になって、花陽。私たちがA-RISEにそこまでしてもらう義理がどこにあるの?」

花陽「え…?」

英玲奈「どういう意味かな?」

真姫「私たちはスクールアイドルよ。この日本に数多く存在する、そのうちのたったひとつ、唯一のチーム」

真姫「UTX学院生であること以外は他のどこのスクールアイドルとも変わらない。まだ、名前を知っている人もごくわずか」

真姫「それは、どこのアイドルだって一緒。なのに私たちだけ、偶然UTX学院で始めたからって、トップアイドルの手を借りてもいいの?」

花陽「あ…」

真姫「言い方は悪いけど、そうやって得られた知名度に、…価値はないわ」

真姫「そこから伸びた噂には必ずA-RISEの尾ひれがついて回る。どれだけ力を伸ばしても、決して離れることのない立派な尾ひれがね」

真姫「私の、私たちの目標は、打倒A-RISEなのよ。それすなわち…、スクールアイドルの頂点」

ことり「スクールアイドルの…」

海未「頂点…」

真姫「そして、全国のスクールアイドル共通の夢でもあるの。私たちだけが優遇されていい謂れはないわ」

真姫「あなたたちだって、そうやってトップを取ったわけじゃ、ないんでしょう?」

ツバサ「…そうね」

真姫「自分たちの力で成し遂げてこそ、頂点に意味があるのよ」

真姫「私たちが出場できる資格のないライブに誘われてる程度じゃ、ライバルとすら思われてないようなものだし」

真姫「…だから、ごめんなさい。気持ちはありがたいけれど…」

ツバサ「…」

花陽「真姫ちゃん…」

花陽「…すみません。私からも…、お願いします。断らせてください」

海未「は、花陽まで…」

花陽「真姫ちゃんの言いたいこと、理解したから…。そう、だよね…」

花陽「A-RISEに手伝って貰ってちゃ、もうそれは特別なんだ…」

花陽「…世界中の女の子に、夢を与えるためには…それじゃいけないんだよね」

花陽「い、一緒に踊れなくなるのはすっごく残念ですけど…!!でも、ごめんなさいっ!!」

ツバサ「…ふ」

ツバサ「ふふふっ…。…わかったわ」

ツバサ「こちらこそ、ごめんなさい。あなたたちのこと、よくわかってなかったみたい」

286: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:41:07.05 ID:uJQ+ty20o
ツバサ「ちょっと、私も調子に乗ってたのかも。日本一のスクールアイドルに、名実ともになれたから」

ツバサ「去年の私の気持ち、忘れたりなんかして」

英玲奈「ツバサ…」

ツバサ「あの頃の私たちも、必死だったもんね。認めてもらおうって」

ツバサ「誰かが上から手を差し伸べてくれなんて、してくれなかったし、して欲しくもなかった」

ツバサ「私たちのありったけだけを、見せつけることだけでしか、満足できなかったんだよ、ね…」

あんじゅ「ツバサちゃん…」

ツバサ「…えへへ。ちょっと懐かしい気持ちになっちゃったかも」

真姫「…ぁ」

真姫(初めて見た、綺羅ツバサの子供らしく笑った顔)

真姫(こんな顔も出来る人なんだって…、ちょっとドキッとしてしまった)

真姫(それは私の横の花陽も同じだったようで)

花陽「お、おぉぉ…!!か、カメラが欲しい…!」

真姫「…自重しなさい。…私も我慢してるんだから」

ツバサ「?…何か言った?」

真姫「あぁ、いえ。なんでも」

英玲奈「…ふぅ。つまり、なんだ。結局私たちの誘いは無下にも断られてしまったということかな」

あんじゅ「うえー!!?残念すぎ!せ、せっかく新しい後輩のお友達が出来ると思ったのにぃ…」

ツバサ「まぁまぁ…。彼女たちも本気なのよ。そう、私たちと同じくね」

ツバサ「えっと…、真姫さん、だったかしら」

真姫「えぇ…、西木野真姫、…です」

ツバサ「西木野真姫さんね。…だったらこれからは、私たちは容赦なくあなたたちを跳ね除けるつもりで行くわ」

ツバサ「スクールアイドルとして、絶対に負けるわけにはいかない。王者の冠を被ったまま、私たちは卒業するのよ」

真姫「…」ゴクッ…

ツバサ「…でもね?」

ツバサ「少なくとも、UTX学院の一人の生徒として」

ツバサ「あなたたちを応援することくらいは…、許してくれるよね?」

真姫「…!えぇ…、もちろんよ!それなら何の問題もないわね!」

287: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:41:54.13 ID:uJQ+ty20o
ことり「えっ!調子良すぎ!?」

海未「肝っ玉の太さが尋常ではありませんね…」

真姫「う、うるさいわね…。UTX生ならではの恩恵くらいいいでしょ!…多分」

ツバサ「なら、今度から困ったことがあったらいつでも訪ねてきて。個人として対応できる限りなら、快く協力するから」

ツバサ「あんじゅも、それでいいわよね?」

あんじゅ「なんてナイスな提案をするのかしらツバサちゃん!オッケーオッケー!!」

英玲奈「…ただし。あまり表沙汰にならないよう、ひっそりとな。うるさい奴がいるから…」

希「…えりちやね」

あんじゅ「今度希ちゃんに連絡先教えてあげとくから、必要なときはいつでもどうぞ?あ、だからって連絡しまくるのは他のファンと不公平だからダメだから!」

花陽「あ、A-RISEのみなさんの連絡先を教えてくださるのですかぁぁっ!!?」

真姫「これでも十分な贅沢ね…。…あ!」

真姫「だったら、早速で悪いんだけど一つ、頼まれてくれるかしら?」

ツバサ「何?」

真姫「今までしたくてもできなかった、各専攻への取材…。そのうちの芸能科トップクラスの3人なら、かなりいいことが聞けると思うの!」

海未「それなら確かに…!」

ことり「う、うわー!!贅沢だよー!」

花陽「でもUTX学院生の悲願でもあります!!」

希「A-RISEに取材を、か。ええんと違う?」

ツバサ「えぇ!なんでも、というわけにはいかないけど、答えられる範囲でなら、いくらでも!」

英玲奈「ただ、時間に限りはあるけどね」

あんじゅ「今からなら~…、30分が限度かしら?」

真姫「なら、それまで…、聞けることは聞いておきましょう!」

一同「うんっ!!」

288: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:44:58.75 ID:uJQ+ty20o
真姫(それから30分間、私たちは彼女たちに対して、ひたすら取材を行った)

真姫(普段の学校生活からアイドル専攻の内容、ライブでの様子に至るまで。中には答えられない、ってものもあったけど)

真姫(アイドルをやる上での美しく魅せるコツ。欲しがっていたもう1ランク上が、ようやく手に入った気がする)

真姫(とても興味深い話も、聞けたことだし…)

海未「今日は、本当にありがとうございました!」

英玲奈「いや、こちらこそ。貴重な体験をさせてもらったよ」

あんじゅ「かわいい後輩に取材をねー。オジサン相手とはまた違ったものを感じたわー」

ことり「色々と…、参考にさせていただきます!」

真姫「そうね…。これなら、次のステージを完成させることが出来る…!」

花陽「A-RISEに失礼の無いような、とびっきりの舞台を作らないとね!」

ツバサ「えぇ。楽しみにしているわ。あ、それと…」

ツバサ「私の『秘密』については、絶対に喋っちゃダメよ?」

真姫「…えぇ。胸の内に秘めておくわ」

花陽「どこにも言わないし書きません!誓います!」

ツバサ「よろしい。…それと、もう一つ」

ツバサ「真姫さん。あなたの、『自分たちの力で成し遂げてこそ、頂点に意味がある』って言葉だけど」

真姫「え?えぇ…」

ツバサ「それはとっても正しいことのようで」

ツバサ「…でも、少し間違ってるわ」

真姫「えっ…」

ツバサ「希ならもうわかってることじゃない?」

希「…まぁね」

真姫「ちょっ…、どういうことよ希っ…!?」

ツバサ「それは自分で明らかにしないと。…それでこそ、意味があるのよ」

真姫「なっ…!」

ツバサ「ふふっ、なんてね?それじゃ、そろそろ戻らないと怒られちゃうわ」

英玲奈「さようなら。また、こうして話せる機会があることを望むよ」

あんじゅ「ツマンナイ与太話でもゼンゼン私はいいんだけどねー。じゃあねっ!」

花陽「はいっ!もう一回、みんなで…」

海未「えぇ、そうですね」 ことり「万感の思いを込めて!」 希「情緒も溢れて!」

真姫「ちょっ…、あぁもう…、今はいいわ…。そうね、最後にもう一度」

花陽「せーのっ…」

「「「「「ありがとうございましたぁっ!!」」」」」

289: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:45:33.52 ID:uJQ+ty20o
部室

花陽「はわぁぁぁ…!最高の一日になったよぉ…!」

海未「あんなにA-RISEの人たちと話せるとは思いませんでしたね。学校から禁止令を出されてますし…」

ことり「とってもいい人たちでよかったねぇ…。すごく楽しかった!」

花陽「スクールアイドルやっててよかったって今までで一番思えたよ…!!はふぅぅ…!」

真姫「こら、花陽。こんなところで満足してちゃダメでしょ。あなたは、あの人たちを超えなきゃいけないんだから」

真姫(…それも、今年度以内に。もう10月も半ばだっていうのに、大丈夫なのかしら)

真姫(いざ本人と対面したら、勝てる気がしなくなって来たわ)

花陽「ま、真姫ちゃんだって不安そうな顔してるじゃない…。うう、そう思うと胸が痛いよ…」

海未「…痛いと言えば、アキバハロウィンフェスタを断ってしまったのは痛かったですね…」

ことり「私も少し後悔してる…」

真姫「だから!それはダメだって!フェスタ運営から誘われるならまだしも、A-RISEが誘引したりなんかしたら…」

希「それからずーーっと、A-RISEがきっかけで成り上がった、って思われるからね」

海未「…それは、そうかもしれませんね」

真姫「そう、だから私たちは私たちの力で…」

真姫「…そういえばこれ、間違ってるって言われたんだっけ」

真姫「ち、ちょっと希!これのなにが間違ってるって言うのよ!?あなたならわかるんでしょ!」

希「それは自分の力で。ツバサちゃんも言ってたやん?」

真姫「ぐぬぬ…」

ことり「それはいいとして!…イメージが固まったんなら、スケッチ、続けなくていいの?」

花陽「手伝ってくれる子が待ってるんだもんね」

真姫「…あ!そうね、よぉし!今日中に終わらせて、なんとか10月最後の日曜日までにはステージを仕上げるわよ!」

海未「それでは、私たちは練習の続きと行きましょうか。真姫に追いつかなくてはいけませんしね」

ことり「真姫ちゃんがサボってる間に、追い越しちゃうつもりでがんばろー!」

花陽「うんっ!!」

290: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:46:34.40 ID:uJQ+ty20o
真姫(それから、ステージ案を大急ぎで作って、みんなに見せて)

真姫(材料費や規模のことも考えながら、改善点をみんなで考えあった)

真姫(結果納得のいくものができたってなったら、協力してくれる3人にそれを見せた)

親衛隊D「ほぅほぅ…、なかなか本格的だねぇ…」

親衛隊E「ここ、こんなの作れるかなぁ…?」

親衛隊F「任されちゃったんだからやるしかないって!真姫ちゃん、期待しててね!」

真姫「えぇ。私たちも負けないように頑張るわ」

真姫(最終的に、ステージを特設する場所は屋上になった)

真姫(UTX校内の数箇所を簡易ステージと見立て、最後は屋上で派手に、という計画)

真姫「完全にこれSomeのパクりじゃない!」

真姫(…これは計画を練ってる最中に叫んだ私の独り言)

真姫(でもいいの。だってこの世界ではまだ使われていないんだもの。誰も文句ないわよね)

真姫(肝心のステージや舞台美術の保管場所、だけど…)

真姫(そこは希が何とかしてくれた)

希「先生と話し合って、使ってないうちの部屋の一つを貸してもらったよ」

希「暗くて埃っぽいところやったけど、掃除すれば倉庫としては使えそうやね」

真姫「ありがとう。よかったわ。…それなら、部室の方も新調してもらえたりは…」

希「…検討中だって」

真姫「あぁ、そうなのね…」

真姫(あと…そう。取材に協力してくれた各部にも礼を言いに行ったんだけど)

真姫(既に私たちの噂はそこにまで広まっていて…)

パーツモデル部部長「聞いたわよー?あなたたちアイドルなんだって?」

真姫「え、あ…まぁ」

パーツモデル部部長「だからあんな取材をしてたってワケね…。ははーん、しかしアイドルとはねー」

パーツモデル部部長「A-RISEのいるこの学校で勇気あるじゃん。どんなことしてるのー?」

真姫「どんなことって…アイドルの練習よ。歌ったり、踊ったり…」

パーツモデル部部長「そんなのわかってるわよ!具体的に!」

真姫「口じゃ説明しづらいわよ!あー、だったら…今度リハーサルやるから、見学にでも来れば?そんなに気になるならね!」

パーツモデル部部長「あは!いいじゃないいいじゃない!暇だったらいくー」

真姫(彼女にはリハーサルの日程を伝えて、あと礼もして部室を後にした)

真姫(他の部にも出向いたけれど…意外とそんなに印象は悪くなかったみたいね)

真姫(UTXもピリピリムードなところばかりじゃないって、ちょっと見直したかも、なんて)

291: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:47:07.06 ID:uJQ+ty20o
真姫(…っと。ライブと関係ない話が挟まったので話を戻すけど)

真姫(衣装案も、ステージ案を参考にして作成)

真姫(低予算にしては綺麗に整った、立派な衣装を作れた)

ことり「ふふんっ!自信作!どや!」

海未「わざわざ授業で作成した過去の洋服などをアレンジしてくれたそうですよ」

ことり「あとは家にあったよさげなワンピースとかをね。可愛いでしょ~」

花陽「うんうんっ!うわぁぁ…!不思議なデザインだねぇ…」

真姫「『異世界』をイメージして作ってくれたみたいね」

ことり「今日はこれを着てダンスレッスンだゼーット!」

海未「おぉ…、ことりがいつも以上に元気ハツラツです…」

真姫(今まで取材してきた全ての魅せ方を駆使して、自分たちが持てる全てを出し切って)

真姫(私たちが納得できるものが、完成した)

真姫(あとは、数日後。10月最後の休日、撮影の本番を待つだけ)

真姫(計画は全て順調で、見事私たちは最高のライブを演出して終われると)

真姫(そのときは、誰もがそう思っていた)

真姫(…けれど、運命の車輪は残酷で)

真姫(思い描いた理想を、容赦なく…踏み潰していったのだった)

292: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:47:44.58 ID:uJQ+ty20o
部室

花陽「ふふふ…、本番までもう少しだよ…!ドキドキするね…」

真姫「そうね。私も、こんなドキドキは久しぶり…」

真姫(いつもは曲作って終わりだったし…。こんなにプロデュースしたのはあっちの世界じゃなかったわね…)

真姫「今日はステージの仮組をして、リハーサルね」

花陽「こ、これで不具合が見つかったりとかしたらどうしよう…」

真姫「心配性ね。何度も組み立ててちゃんと踊れるってわかったんだから、平気よ、きっと」

花陽「そのきっとが怖い…」

真姫「あはは…。…それにしても、ことりたち遅いわね…。倉庫の鍵を取りに行くのにどれだけ…」

ガチャッ!!

ことり「ま、真姫ちゃんっ!」

真姫「ことり?どうしたのよ、そんなに慌てて…」

ことり「か、鍵がっ…!倉庫の鍵が…!!」

ことり「なくなっちゃったって!!」

真姫「えっ!!?」

花陽「う、嘘っ…!昨日、確かに返したはずだよね…?」

ことり「うん、受け取ったのは覚えてるって言ってたけど…。でもその後から行方がわからないって…」

ことり「と、とりあえず海未ちゃんが倉庫に行ってみようって!」

真姫「そうね…。もしかしたら刺しっぱなしなのかも…」

花陽「う、うん…」

倉庫

海未「あ!ことり…!」

ことり「海未ちゃん!鍵は…?」

海未「…いえ、ありません」

花陽「そんな…!」

海未「…ですが」

海未「開いて、いるのです…」

真姫「え…?」

海未「鍵が、開いています…。ドアの鍵が…」

ことり「え?ど、どうして…」

真姫「部屋には入ったの…?」

海未「…」フルフル

海未「何故か、…怖くて、入れませんでした」

ことり「いやいや…、そんな…!そんな、ねぇ…?」

真姫「…っ!開いてるなら、入るしかないでしょ…!海未、どきなさい!」

海未「…くっ」ササッ

真姫「一体、どうなって…!」

ガチャッ

293: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:48:12.61 ID:uJQ+ty20o
真姫「えっ…」

暗くて、最初はよく見えなかったけど。

ことり「どうなってるの…?」カチッ

ことりが部屋の電気をつけた瞬間。

花陽「…っ!!!」

映し出された風景。

海未「…ぐ、ぐぅっ…!!」

予想はしたけど、でも、まさかと、考えないようにして。

ことり「ひ、ひどいっ…!!」

ここまで順調だったから、もう起こり得るはずがないと、心のどこかで決めつけていた。

花陽「わ、私たちの、私たちのステージが…、衣装が…!!」

そんな、どこにでもありふれた、悲劇。

真姫「…壊されてる」

私たちのステージは、衣装は、夢は。

誰かの手によって。

無残にも、打ち砕かれていた。

294: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:48:54.33 ID:uJQ+ty20o
花陽「…」

ことり「…」

海未「…」

真姫(…みんな、一様に言葉を失っている)

真姫(当然、私も)

真姫(考えたことがないわけではなかったけど)

真姫(実際に目の当たりにすると、途方もなくショックね…)

真姫(ただ、あまりのことすぎて逆に頭は冷静ではあった)

ことり「ステージが手当たり次第にボロボロにされてる…。衣装も…」

ことり「私の…、私が作った衣装が…。うぅぅぅ…」

花陽「もう、これ…、明日明後日じゃ、どうしようもないよ…」

花陽「材料だってないし、お金も…もう…」

海未「…いったい誰が、こんなことを…」

真姫「私たちを快く思ってない誰か…」

真姫「…おそらく、アイドル専攻の…、絵里の息がかかってる奴らの誰か、かしら…」

真姫(花陽やことりたちには手を出すな、とは言ったけど…)

真姫(こんな形で、阻止されるなんて)

真姫(…油断してた。まさか、絵里が学校内でこんな大事を起こすなんて思ってなかったから)

真姫(私たちを潰すためなら、手段は選ばない、ってことかしら…)

ことり「…これから、どうする?」

真姫「どうしようも、ないでしょ。とにかく、10月内での撮影はもう不可能よ」

真姫「また新しくステージ案を考えて…、来月は部費が出るから…それでなんとか、なるかもしれない」

花陽「…そうするしか、ないの、かな」

海未「…っ!でしたら、もう今月にできることがないのだったら、せめて犯人を捕まえましょう!」

海未「こんなことをしてっ…、人の気持ちを踏みにじるような人間を、のさばらせておくわけにはいきませんっ…!!」

真姫「そうね、私も賛成。…出来うるなら材料費を弁償させてやりましょう」

ことり「…でも、犯人の心当たりとか、あるの?」

真姫「それはわからないけど…、多分、絵里の息のかかったアイドル専攻の誰かがやったに決まって…」

「違うわ」

真姫「…えっ」

海未「だ、誰ですかっ…!」

295: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:49:44.18 ID:uJQ+ty20o
ガチャッ…

花陽「あっ…!あなたたちは…」

親衛隊B「…」

親衛隊C「…」

真姫「花陽をいじめてた3人のうちの…。違う、ってどういうことよ」

ことり「あなたたちは犯人を知ってるの?」

真姫「…それとも何?あなたたちが犯人だって言うつもり?」

親衛隊B「それも違う。…私たちは、やってない。知ってるだけよ」

親衛隊C「…それを、やった人を、です」

海未「なぜあなたたちが…」

真姫「…っ!!ま、まさか犯人って…!あなたたちのうちの、もうひとり…!?」

親衛隊C「正解、ですわ…。彼女が…、やったんです」

親衛隊B「アイツが…、職員室から鍵を盗み出して、ここに入って…メチャクチャにしたの」

真姫「どうして…」

花陽「どうしてっ!!!!!?」

真姫「っ…!?」

花陽「どうしてそれを知っていて止めなかったのぉっ!!!」ダンッ!!

親衛隊B「…っ!」

親衛隊C「ひっ…!!」

花陽「なんで好きにやらせてたのっ!!?悪いことだって思わなかったのぉっ!!!?」

花陽「ひどいよそんなのっ!!ひどいっ…!!どうしてっ…、どうしてどうしてどうしてぇぇっ!!!!?!?!」

真姫(…花陽の、痛々しい悲壮な叫び声)

真姫(壁際に立つ親衛隊の二人の肩を押し込むように、涙ながらに花陽は訴えた)

真姫(こんな姿、彼女たちは初めて見たのでしょうね。…私だって、初めて見たんだから)

花陽「ねぇ…、答えてよ…。ひぐっ…、なんで、止めて…、くれなかったのぉ…?」

親衛隊C「止め、ましたわ…っ、私、だって…」

親衛隊C「…でも、こ、怖かったんですの…。あの子の、執念が…」

海未「執念…?」

真姫「どういう、こと…?」

真姫(確かに彼女は、他の親衛隊にC☆cuteを応援させないような発言をしていたけど…)

真姫「…もしかして、9月頭のことを根に持って…?私が花陽の間に割って入った…」

親衛隊B「そんなことじゃないよ…。もっと、根の深いものだって…」

親衛隊B「…小泉さん、あなたの…、あなたが原因なの…」

花陽「…えっ?」

親衛隊B「アイツは、あなたのことが憎くて…、こんなことをやったのよ…」

花陽「私が、憎い…?なんで、そこまで…」

296: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:50:21.25 ID:uJQ+ty20o
ガチャッ

希「そっから先は、本人に直接聞き」

真姫「の、希っ…?」

真姫(後ろのドアから鍵を開けて入ってきた希)

真姫(そして、後ろ手に拘束された…もうひとり)

親衛隊A「は、離せっ…!!このっ…!」

希「この子がこの教室の鍵と…、衣装の切れ端持ってハァハァ言っててね」

希「あからさまに怪しかったから、取り押さえた訳。…まさか、こんなことになってるとは」

親衛隊A「痛いんだよこのっ…!!離せって!!」

希「そうはいかんなぁ。逃げられると困るし」

真姫「しかしまぁ片手で易々と…。本当に強いのね」

希「まぁねー」

親衛隊A「ぐぅっ…、この、怪力女がっ…!!」

花陽「…ねぇ」

親衛隊A「…あん?」

花陽「どうして…、ステージや衣装を壊したりしたの?」

花陽「私が憎い、って、どういうこと…?私が、何か悪いことでもしたの…?ねぇ、教えてよ…」

親衛隊A「…」

花陽「…答えてよっ!!黙ってないでさぁっ!!なんなの!?黙ってれば許されると思ってるのっ!!?」

花陽「ふざけないでよっ!!どれだけ真姫ちゃんやみんなが頑張って…、みんなの思いの結晶なんだよ!!なのにそれを…」

親衛隊A「うっせえなあ!!」

花陽「っ…!!?な、なにがっ…!」

親衛隊A「全部…、全部お前が悪いんだよっ!!お前が…、お前がぁっ!!」

花陽「わ、私が…?な、なにが悪いのっ!私が何したって…」

親衛隊A「…わかってないのなら、教えてやるよ。お前がどれだけ、ふざけたこと、してるか…ッ!」

親衛隊A「お前は知らないんだろうけど…、私はっ…。私は…」

親衛隊A「…最初、アイドル専攻だったんだよ」

花陽「えっ…?」

297: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:51:50.08 ID:uJQ+ty20o
「昔っから歌が大好きで、歌うのが大好きで」

「その中でも好きだったのが、アイドルソングだった」

「男の子のアイドルも、女の子のアイドルも好きで」

「ありえないことだってわかってたけど、もしかしたら、っていつも思ってたんだ」

「…いつか、こんなふうに自分も、歌って踊ってみたいってさ」

「UTX学院を知ったのは、去年」

「どこに進学するかってなって、偶然見つけた、高校」

「ここしかないって思った。歌うことができる高校なんて、最高だって」

「しかも、もしかしたら…もしかしたら、アイドルになれるかもしれないって。淡い希望を持ってた」

「…私はUTXに入学して、すぐさまアイドル専攻を希望したの」

「一番初めの授業、先輩の前で歌を披露して、最初に言われた言葉がこうだった」

「『あなた、歌下手ね。才能がないわ』…だってさ」

「…ショックだったよ。せめて、ダンスを批判されるならまだしも、得意だと思ってた歌を否定されて」

「しかもさ、その時点で見限られて、2回目の授業を受けさせてすらもらえなかった」

「私、悔しくて、悔しくて…何日も泣いて…。今まで何のために生きてきたんだ、って本気で思った」

「…だけど、私の前に天使が現れたの。笑える表現かもしれないけど、その時の私はそんな気分だった」

「お前だよ…、小泉花陽。お前の…、あなたの歌声を聞いて私は…、一瞬で魅了された」

「歌の才能があるって、こういうことなんだって…、初めて理解できた。それは私だけじゃなくて、他の色んな人も一緒で」

「だからみんなで、この子を応援しようって…。歌手専攻一の歌姫を。そんな流れで、『小泉花陽親衛隊』は生まれたの」

「小泉さんがアイドル専攻やってる、って聞いたときも嬉しくて、この子なら…この子ならきっと、一番になれる。私にはできなかった…アイドルになれるって確信してた」

「…でも、ある日…、小泉さんは私たちにこう言った。アイドル専攻から、逃げちゃったって」

「他の親衛隊は残念そうに、でも慰めたり、元気づけたりしてる子ばかりだったけど」

「私は…納得できなかった。あんなに歌が上手なのに、なんで、って」

「私はひとり、必死で小泉さんを説得した。戻ったほうがいい、もったいないから。そう言った」

「でも、小泉さんは首を横に振るばかりで、戻る素振りを一切見せなかった」

「…そこからよ。私が、小泉さんに怒りを覚え始めたのは」

「私はどれだけ専攻の授業に行きたくても、才能がないって笑われて、切り捨てられて。でもなんで、才能があって、授業を受けられる小泉さんが、そんな簡単に諦めるの」

「何度も説得してるうちに、断るあなたが苛立たしくて」

「だけど、もう一度戻って欲しい、って気持ちはずっと変わらなかった。…結局、私の声は、あなたには届かなかったけど」

「あの日、西木野さんにやめろって言われて、実は反省したのよ。…悪いこと、しちゃったんじゃないかって」

「アイドルになる気がないのに、強要してたんじゃないか、ってさ…。思ってたのよ」

「…思ってたのに、さぁ…。なんで…、なんで、もう一回、始めてるわけ…?しかも今度は、アイドル専攻じゃない、って…」

「ふざけるなって思った!私があれだけ…、あれだけ必死に呼び止めたのに…、私の得られなかった権利を自ら捨てるような真似をしておいてっ!」

「今度は勝手に自分たちでアイドル…?なによそれ…、笑わせないでよ…!」

「だったらアイドル専攻の権利、私にちょうだいよ!!あなたなら行けるのに…、行ってトップになることだって簡単なはずでしょうっ!!」

「誰でもできるようなアイドルごっこやって見せつけるような真似してっ…!!それ、才能のない私たちに対するあてつけのつもりっ!!?」

「許せなかった…!お前は私の気持ちを裏切ったんだっ!!だから私も踏みにじってやった!!」

「お前が私の前で踏みにじったアイドル専攻の権利みたいに、お前にアイドルをさせる権利を、私があぁっ!!」

「ざまぁみろっ!!アハッ…、アハハハハハハハハハ!!アッハッハッハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!」

298: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:52:25.36 ID:uJQ+ty20o
真姫「何よ、それ…」

真姫(逆恨みにも、ほどがある)

真姫(花陽がアイドル専攻に行けなかった苦悩を、この女は欠片も知りもしない)

真姫(自分の好きなアイドルを嫌いになってしまう恐怖が、花陽をアイドル専攻から遠ざけていたことを)

真姫(自分勝手な理想を押し付けて、勝手に嫌いになって。その上、自分の説得ではしなかったのに、いつの間にかアイドルやってたことに逆上して)

真姫(一方的な恨みで、花陽の夢を奪った…最低なヤツ)

真姫「…ふざけないでよ。あなたに、花陽の何がっ…!!」

親衛隊A「黙れっ!アンタにこそ私の何がわかるっ!!」

真姫「知るかっ!アンタが誰だろうと知ったこっちゃないわよ!!」

真姫「だからって…、だからって私たちの…、花陽の夢を奪っていい理由にはならないって言ってんのよ!!」

親衛隊A「うるさいうるさいうるさいっ!!私は、わたしはぁっ…!!」

親衛隊A「くそっ…!!くそぉぉっ!!!」ガンッ!!

希「あぎゅっ!!あ、頭が顎にクリーンヒット…!」

親衛隊A「…くっ!!」ダダッ

真姫「あっ!待ちなさいっ!!」ダダダッ…

海未「ま、真姫…」

ことり「行っちゃった…」

希「ご、ゴメン…。油断してた…」

花陽「…」

海未「花陽…。災難でしたね…、あんな逆恨みをされるとは…」

花陽「…私の…」

花陽「私の、せいだ…」

ことり「えっ…!!?」

真姫「ゴメン、見失った…。クソッ…、アイツ、明日にはとっ捕まえて…」

花陽「私のせいで…!私がっ…!!」

真姫「っ!!?は、花陽っ!?どうしたの…!?」

希「な、なんか…、さっきのでショック受けてる…?」

花陽「う、うぅぅっ…!!」

真姫「花陽っ!あ、あなたが気に病む必要なんてないんだって!悪いのは全部アイツなんだから…!」

海未「そうです!惑わされては…」

花陽「凛ちゃんが、言ってたことって、こういうことだったんだ…」

真姫「え…?」

花陽「あの時、凛ちゃんが言ってた…」

(凛「才能を持ってるのに逃げ出して、チャンスをふいにしてる」)

(凛「それって、チャンスすら持たない人間に対して、どれだけ失礼な行為かわかってないのかな?」)

花陽「『いつか身にしみる時が来るよ』って…、言われたの…」

花陽「…これは、私の…、私の、責任だよ…」

299: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:53:03.08 ID:uJQ+ty20o
花陽「あの頃の私は、臆病だった」

花陽「自分の思い描いたアイドルとかけ離れた、本当の世界を目にして…」

花陽「いつか自分も、全てが嫌になってしまわないか、怖くて…、怖くて…」

花陽「凛ちゃんのことも、あの子のことも…、全てが信用できなくなってた…」

花陽「その臆病さが…、二人を傷つけちゃったんだ…!」

花陽「せめて…、せめて少しでもあの子のことを信用できていれば…」

花陽「私がどう思ってるかを相談して、あの子の気持ちも聞いていれば…」

花陽「少なくともこんな目には遭わなかった!!」

ことり「花陽ちゃん…」

花陽「…こんなのじゃ、『アイドルでみんなを笑顔に』なんて…、馬鹿げてるよね…」

花陽「誰でもない私の態度が…アイドルに夢見る子を、傷つけちゃったんだから…」

真姫「それはっ…、それはあなたが決意する前の話でしょう!?」

真姫「その頃の花陽と今は、別でしょ…」

花陽「…うん。だけど、それでもやっぱり…、私が逃げちゃったことが問題だから」

花陽「今でも過去でも、私がやっちゃったことはなくしちゃいけない…」

海未「だとしても、今自分が目指す夢を、過去の過ちで汚す必要はありませんよ」

海未「間違えたなら、これから正していけばいいのです。花陽の夢は、そういうことでもあるのでしょう?」

花陽「…そう、なの、かな…」

希「せやせや!花陽ちゃんひとりが背負い込む事ないんよ?」

希「間違った、って感じたなら、周りの子に頼ったらいい。みんな優しいんやし、助けてくれるよ!」

花陽「…」

花陽「…あ、ありがとう、ございます…。そう、だよね…。ここには、私一人だけじゃないんだよね…」

花陽「今度は逃げ出すより先に、誰かに頼れば…、いいんだよね…」

真姫「…そう。あなたが間違っても、私たちみんなが助けてあげるから」

花陽「ありがとう…、真姫ちゃん、みんな…。そうだ、私が今やることは、へこんでることじゃないんだよ…」

花陽「私が彼女を傷つけちゃったのなら、私ができることは…、それは…」

300: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/27(金) 23:53:59.72 ID:uJQ+ty20o
花陽「…」ブツブツ…

ことり「花陽ちゃん、今度はひとりでブツブツ言い始めたけど…。いいのかな?」

海未「何か考え事をしているようですが…。また一人で塞ぎ込むわけではないですよね…?」

真姫「ちゃんと一人だけで背負い込むのは良くない、って理解してたみたいだし、本当に困ったら頼ってくれるとは思うけどね」

真姫「…と、それより。気になってたんだけど…、そこの二人」

親衛隊B「え、私ら…?」

親衛隊C「な、なんですの…?」

真姫「どうしてあなたたちは花陽をいじめてたのかしら?アイツほど花陽を恨んでたってわけじゃないんでしょ」

親衛隊B「わ、私は…。私も小泉さんの歌声は素敵だな、って思ってたけど…。煮え切らない態度が気に入らなくなって、つい…」

親衛隊C「ワタクシはっ…!い、いじめてたつもりとかなかったんですの…。ホンキで善意で小泉さんにアイドル専攻に戻ったほうがいいと思って…」

親衛隊C「…おふたりが何故かその際にいやらしい笑みを浮かべていたので、私もやらなくてはならないのかと思って…」

真姫「…天然か」

希「ま、今はその子達は関係ないみたいやし、いいんやない?」

真姫「まぁ、そうね…。止めてくれなかったのを責めるほど、私たちに義理もないでしょうし」

海未「しかし、これからどうしましょうか…」

ことり「う…!それがあった…。えっと、どうしたらいいのかな…」

真姫「…ステージの修繕を今から始めても10月中に撮影することは不可能だし」

希「それ以前に材料を買い集めるお金ももうないんと違う?」

海未「そうですね…。来月、部費を貰うまで待つしかないのでしょうか…」

「「「「うーーーん……」」」」

花陽「…」ブツブツブツブツ…

真姫「…って花陽…。あなたはいつまで一人でブツブツと…」

花陽「あ、真姫ちゃん…。ごめん、考え事してて…」

真姫「…もしかして、ホントにまた一人で塞ぎ込んでるの?」

花陽「う、うぅん。それはもう大丈夫…。もう一人で悩むようなことはしないよ」

花陽「みんなが力になってくれるんだ、ってわかったから」

真姫「えぇ、なんでも自分だけで解決できるほど、人は強くないんだからね。迷ったらすぐに…っ」

真姫「…」

花陽「…?真姫ちゃん?どうしたの…?」

真姫「…自分だけで、解決できるほど、強くない…」

真姫「これって、もしかして…。今の私たちにも当てはまるんじゃ…」

花陽「え?どういう意味…?」

真姫「つ、つまり…」

海未「とりあえず今は、一旦散らばった木材などを片付けましょう」

ことり「そだねー…」

ガチャッ…

海未「…ん?」 ことり「今度は誰?」

301: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/28(土) 00:02:39.01 ID:LLJaNH3wO
パーツモデル部部長「チョリーッス!頑張ってるぅ~?」

シーン…

パーツモデル部部長「…ありゃ?なんか空気読めてない系?」

海未「…な、なぜあなたがここに…」

パーツモデル部部長「いやー、部員がいなくて余りにも暇でね?リハーサルが今日ってこないだ言ってたじゃん?」

パーツモデル部部長「どうせなら見学に行こうかなー、って思ってたら…、なんじゃこら…。バラバラじゃん…」

ことり「…あ、えっと、これは…。その…」

パーツモデル部部長「…もしかして、抜き差しならない状況なのかな?」

海未「そう、ですね…。かなり危ないです…」

ことり「材料費も時間もなくて、これからどうしようかって迷ってるところです」

パーツモデル部部長「あぁ…、そうなんだ。材料って、木?」

ことり「はい?」

パーツモデル部部長「木材か、って聞いてるの」

海未「え、えぇ…。電飾もありますが大部分は木で作成して…」

パーツモデル部部長「あ、そう。よっと」サッ ピピピ…

パーツモデル部部長「…あー、もしもし?うん、アタシ。そうそうお嬢でーす」

パーツモデル部部長「あのさ、いきなりで悪いんだけどさ、今すぐ」

パーツモデル部部長「余ってる木、持ってきてくんない?」

ことり「…え?」

パーツモデル部部長「あー、いいからいいから。…うん、そう。うちの学校」

パーツモデル部部長「んー…、まぁいい感じの量で頼んます。ハーイ、ハイ、ハイ、それじゃー…」ピッ

パーツモデル部部長「はい、よし」

海未「あ、あの…、今の電話はいったい…?」

パーツモデル部部長「ん?あぁ、材料が足んないんでしょ?」

パーツモデル部部長「今、オヤジんとこの若い人らに持ってこさせるよう頼んどいたから」

ことり「えぇぇっ!!?!?」

海未「理解が、追いつかないのですが…」

パーツモデル部部長「うちのオヤジ、建築業だから。そこの偉いオッサンだから」

パーツモデル部部長「木材ならちょちょいって持ってこれるって話よ」

ことり「」ポカーン

海未「」ポカーン

(ツバサ「真姫さん。あなたの、『自分たちの力で成し遂げてこそ、頂点に意味がある』って言葉だけど」)

(ツバサ「それはとっても正しいことのようで、…でも、少し間違ってるわ」)

真姫「そうか…。少し、間違ってるの意味…」

真姫「…こういうこと、だったのね…!」

302: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/28(土) 00:03:30.02 ID:LLJaNH3wO
オッサンA「へいお嬢!これでいいっすか!」

オッサンB「不揃いっすけど大体使えるもん持ってきやした!!」

パーツモデル部部長「あー、ありがとっすー。そこ置いといてー」

オッサンズ「「ういっす!おつかれっした!!」」

ダダダダッ…

海未「…女子高ではありえない人たちが走り去っていきましたね」

ことり「それにしても部長さん、すごい人だったんですねー…」

パーツモデル部部長「んなことないって!」

希「せやけど、こんなにいっぱい、支払えるお金も持ってないよ?」

パーツモデル部部長「平気平気!ちょっとくらいなら私のモンのようなアレだから!遠慮なく使って!」

花陽「あ、ありがとうございます…。でも…」

ことり「…木材は足りても、ペンキや電飾が…」

海未「人手も圧倒的に足りません…。これでは宝の持ち腐れのような…」

真姫「頼るのよっ!!」

花陽「え?」

真姫「困ってるなら、自分たちだけでなんとかするのはやめましょう!」

真姫「恥も外聞も全て捨てて、頼みに行くのよ!手伝ってくださいって!」

ことり「ど、どこに…?」

真姫「今学校に残ってるのは部活動をしてる人くらいしかいないでしょ!つまり…」

真姫「このUTX学院の、他の部、手当たり次第によっ!!」

「え…」

「えぇええぇぇぇぇぇぇっ!!!!?!?」

希「…んふ、どうやら、気づいたみたいやね」

真姫(自分たちの力でできることには限界がある)

真姫(なら、周りの人に助けを求めればいい。私たちだけで塞ぎ込まないで)

真姫(私たちが他の部にしたことと言ったら取材くらいで、何かを手伝ったこともない)

真姫(もしかしたら、誰も手伝ってくれないかもしれないけど)

真姫(最初から諦めるより、全然いい。それに、きっと大丈夫。なぜなら)

真姫(ここは学校で、私たちはスクールアイドルなんだから)

303: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/28(土) 00:04:10.61 ID:LLJaNH3wO
真姫(部活の取材で鍛えたフットワークを駆使して、私たちは手分けして色んな部活に助けを求めた)

海未「お願いしますっ!どうか、少しだけでも…」

吹奏楽部部員A「…って言ってますけど…」

吹奏楽部部長「うーん、いいんじゃない?困ってるみたいだし」

海未「ほ、本当ですかっ…!!?ありがとうございます!」

吹奏楽部部長「いいのよ。…あなたたちが教えてくれた『魅せ方』のおかげで、こっちも助かってるんだから」

真姫(今まで様々な部を駆けずり回って集めたのは、ただそれぞれの魅せ方だけじゃないことに、そうして初めて気づいた)

映研部長「ほう、人手が足りねーってか!」

花陽「は、はいぃ…。あとはステージの装飾とかも…」

映研部長「よろしい!ならばやってやろうじゃん!困ってる奴に手を差し伸べるのが、真の女ってぇもんよ!なぁ野郎ども!!」

映研部員ズ「おぉー!!」

花陽「か、かっこいい…!…野郎は一人もいないけど」

真姫(ほんの少しの、繋がり。ただの顔見知りって程度の、小さなものだったけど)

ことり「人手が欲しいんですけど…」

演劇部衣装A「あ!首筋がエロい子!ねぇねぇ、もっかい触らせて!」

演劇部衣装B「南さんは首筋より足首でしょ!」

ことり「あのぉ…」

演劇部演出「あ、あなた真姫ちゃんと同じ部の子よね?人手がいるなら連れてっていいわよ」

ことり「い、いいんですか…?」

演劇部演出「うん。その代わり、もう一度聞かせてって言っておいて。…別世界にワープするクリニックの話をね」

真姫(たったそれだけが、私たちを助けてくれた)

真姫(顔も知らない誰かだったら、こんなことできそうもなかったから)

真姫(もしかしたら希は…こうなることも予期して、私たちを取材に行かせたのかしら)

真姫(…まさか、ね)

真姫「…お願いしますっ!」

合唱部部長「…フム。いいけど条件がある」

真姫「何かしら」

合唱部部長「今度でいいから、小泉クンを貸してくれ」

真姫「…」

真姫「…い、いいでしょう!!」ガシッ

合唱部部長「契約成立だっ!!」ガシッ

304: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/28(土) 00:05:29.62 ID:LLJaNH3wO
倉庫兼教室

ガチャッ

親衛隊J「花陽ちゃんごめんっ!」

親衛隊K「小泉さんたちが人集めてるって聞いて、やっぱり私たち手伝おうって…」

親衛隊L「…って、こ、これは…!!」

ガヤガヤガヤ…

親衛隊ズ「既にいっぱいいるっ!!?」

ガンプラ部部長「おうおう!ペンキはないけど塗装用のスプレーなら任せろ!」

演劇部部員A「いやペンキならこっちにあるからいいですよ…」

ガンプラ部部員A「部長はおとなしく衣装の手伝いしててあげてください!」

花陽「うぅん…。どうしても装飾のパーツが足りない…。あ!そうだ!あのっ!」

吹奏楽部部員B「はい?どうしたの?」

花陽「この間見かけた、壊れた楽器って貰うことってできませんか!?」

花陽「あれを装飾の一部にしたいんです!」

吹奏楽部部長「…へぇ、なにそれ。面白そうじゃない」

映研部員A「あ、だったらさ!うちの千切れちゃった映画のフィルムもどう?」

真姫「いいわねそれっ!装飾に使えそう!お願いするわ!花陽も、いいアイデアね、ナイス!」

花陽「えへへへ…」

合唱部部員A「うぅん…。あんまりカナヅチとか使ったことないから…難し…」コンコンッ…

パーツモデル部部長「もっと腰を入れる!真上から押さえつけるように叩く!あぁ角度がなってない!」

合唱部部員A「は、はぁ…」

パーツモデル部部長「何事も角度が大事なのよっ!」

ことり「えっと…、衣装の修繕は…」

演劇部衣装B「ねぇ南さん。もう使わなくなった衣装なんだけど…これらって使える?」

海未「じ、時代も世界観もバラバラのものばかりですね…。これでは…」

ことり「…う、うぅん!すごいよっ!これなら…!」

ことり「もっと理想の衣装が作れるかも!」

演劇部衣装B「ホントに!?よかった!」

海未「もっと理想の…。どんなものが完成するのでしょうか…。楽しみですね」

親衛隊J「なんか、いろんな部の人がいっぱい集まってる…。まるで文化祭みたいだね…」

親衛隊P「…あれ?あんたら…」

親衛隊B「よいしょっ…、あ!」

親衛隊C「あなたたち…手伝いに来たんですの?だったら話は早いですわ!」

親衛隊K「人手はまだまだ必要みたいだね…。それじゃ、いっちょやりますか!」

305: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/28(土) 00:07:09.01 ID:LLJaNH3wO
写真部部長「あっはいいわいいわその活力!んーもっと見せつけて!プリーズプリーズ!!」パシャパシャ

写真部部長「…ふぅ。みんなのやる気が伝わってくるいい写真が撮れたー…。新聞部に売るべし…」

真姫「ははは…、買い取ってくれるといいけどね」

映研部長「あ、西木野。あのさ、もしかしたらカメラで困ってるとかない?」

真姫「え?ま、まぁ…。安物のハンディカメラしかないって問題はあるけど…」

映研部長「おぉ、そーか!じゃあうちの撮影用のカメラどーよ!?バッチリ綺麗に撮れるぜ!」

真姫「えっ…!い、いいの…?」

映研部長「もうここまで乗りかかった船だ!できるとこまでやってやんよ!」

真姫「あ、ありがとう…ございますっ!」

映研部長「よせや気持ち悪い!西木野はタメ語が一番似合ってるぜ!」

真姫「そ、そう…?じゃあ…、ありがとう。遠慮なく、使わせてもらうわね」

写真部部長「…あ。じゃあじゃあ…、衣装が出来上がってからの全身撮影とかいかがっすかー…」

写真部部長「ライブ中の写真とかも、撮ったげるよー…」

真姫「あ、あなたまで…。そこまでしてくれなくても…」

写真部部長「あんまない機会だしー…、どうせ日曜ヒマだからねー…」

写真部部長「生ライブってのも、あんま見たことないしー…。見学代ということでどうよー…?」

真姫「…わかった。お願いするわ」

パーツモデル部部長「なによー、アンタ大人気じゃん。なんかアタシの立つ瀬なくねー?」

真姫「ふふ、そんなことないわよ。あなたがいてくれなかったら始まらなかったんだもの」

真姫「…そういえば、あなたはどうして手伝ってくれる気になったの?」

真姫「他の部の人は交換条件とかもあったりしたけど、あなたは無償で木材を提供してくれるなんて、太っ腹すぎると思うんだけど」

パーツモデル部部長「なにさ、アタシを信用してないっての?裏があるんじゃないかって疑ってる?」

真姫「そういうことじゃ…」

パーツモデル部部長「アハハ、わかってるって。冗談。…そうだね。まず一つ目に、部員がいなくて退屈だったからっていうのがあるかな」

パーツモデル部部長「なんだかんだ取材を受けてた時、アタシも満たされてるカンジ、したし」

パーツモデル部部長「もう一つは、アタシもオンナノコだからね。アイドルが好きなんだ。だから」

真姫「けど、それならA-RISEだって…」

パーツモデル部部長「確かに、A-RISEも大好きだよ。グッズだってたくさん持ってる。でもね…」

パーツモデル部部長「どうせ手伝うなら、アンタらの方が楽しそうじゃん、って思ったのよ」

真姫「っ…!」

合唱部部長「ふふ、そうだな。彼女の言う通りだ。あんな校内を駆けずり回るアイドルなんて、そうそう聞いたことがない」

吹奏楽部部長「必死で走り回ってる姿が妙に魅力的で、なんだか手伝ってもいいかな、って気持ちにしてくれるんだよね」

ガンプラ部部長「それにUTXは文化祭がないからな!こういうみんなで何かを作るってのはなんか…、新鮮だぁぁっ!!」

写真部部長「それもあるー…。インドアばかりでは錆び付くー…。これもインドアだけどなー…」

真姫「みんな…」

映研部長「A-RISEはもう完成されきってる感があるしな!それに比べお前らはまだまだみじゅーっく!!」

パーツモデル部部長「アタシらが背中押してやんのも、悪くないでしょ?」

真姫「…えぇ。そうね」

306: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/28(土) 00:08:14.41 ID:LLJaNH3wO
親衛隊A「…ちっ、あのまま帰るつもりだったのにカバン置きっぱなしだし…」

親衛隊A「はぁ…。アイツらに見つからなきゃいいけど…」

ガヤガヤ…

親衛隊A「…ん?なんか騒がしい…?さっきの教室からだ…」

親衛隊A「もしかして大事になってたりする?…ちょっとだけ覗いてみようかな」

チラッ

親衛隊A「何が起こって…、えっ…」

「これどこってー?」「あー、それそっち置いといてだって」「あいよー」

親衛隊A「なんでこんな人がいっぱい…。しかも親衛隊の奴らまで…」

花陽「…ん?誰か覗いて…、あっ!」

親衛隊A「げっ…!見つかっ…!!」ダダッ

タッタッタッ…

親衛隊A「クッソ…!覗きになんか行かなきゃ…」

タッタッタッ…

花陽「ま、待って…!」

親衛隊A「っ…!く、来んなっ!こっち来るなよっ!!」

花陽「お願いっ…、私の話を聞いてっ!少しだけでも、いいからっ…!あっ!」

ガッ

花陽「あぎゅっ!!」ズコッ

親衛隊A「あっ…!」

花陽「…い、痛ぁ…。こけちゃった…」

親衛隊A「…」

花陽「あ、止まってくれた…。よかった…」

親衛隊A「…なによ、話って」

親衛隊A「つまんない話だったら、ぶっ飛ばすからね」

花陽「うん、さっきの話の続き」

花陽「…あなたの思いに対して、私、何も言えてなかったから」

花陽「一言、言わせて」

親衛隊A「反論するつもり?何言ったところで今更…」

花陽「…ごめんなさいっ!!」

親衛隊A「…えっ」

307: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/28(土) 00:09:02.61 ID:LLJaNH3wO
親衛隊A「ごめんなさい…?」

花陽「私がダメだったせいで、あなたを深く傷つけた」

花陽「あの時私にもっと勇気があれば、こんなことにはならなかったのに、って思って」

花陽「…だから、ごめんなさい」

親衛隊A「…っ!」

親衛隊A「何がごめんなさいよっ!謝れば済むと思ってるの!?そういうナヨナヨしたところが嫌いなのよっ!!」

親衛隊A「じゃあ何!?反省したなら、アイドルやめてくれるの!?私にアイドル専攻受ける権利をくれるの!?」

花陽「…うぅん。それは、できない」

親衛隊A「できないんじゃん!!だったら軽々しくごめんなさいとか言ってんじゃねぇよ!そんなの自分がスッキリしたいだけなんでしょ!」

親衛隊A「謝る気持ちがあるくらいなら、私の前でアイドルを辞めるくらいしてよっ!!」

花陽「やめることは…、できないよ」

花陽「アイドルは、私の夢だから」

親衛隊A「夢って…!夢ならどうしてっ!!どうしてすぐに諦めたんだよっ!!」

親衛隊A「私だって夢だった!!なのに…、私には才能がないから…、できなかったんだよ…っ!!」

親衛隊A「でもっ!アンタはあったくせに捨てたんじゃないか!権利を!!それをどうして今になって!!」

花陽「私の夢はね…。みんなが憧れる、アイドルそのものになりたいの」

親衛隊A「はぁ…?」

花陽「華々しくて、楽しくて、心の底から笑顔になれるアイドルが、私の夢」

花陽「私が今目指しているのは、そんな、本当に夢物語みたいなものなんだ」

花陽「バカげてる、って思われるかもしれないけど、本気だよ」

花陽「アイドル専攻は、私にとっての夢の在処じゃなかったから」

花陽「次は、自分で見つけ出そうとしてるの。本当の夢の場所」

花陽「決して、アイドルごっこなんかじゃないよ。…だけど」

花陽「誰にでもできるんだって証明したい。私たちの力で、夢のようなアイドルを」

花陽「あなたを傷つけてしまったことは、その夢を裏切ったことになるから」

花陽「…だから今は、あなたの傷を癒したくて、そのために話がしたかったの」

親衛隊A「何よ…、何言ってんのよっ…」

花陽「私、今度は真剣にスクールアイドルをやろう、って決意したから」

花陽「アイドル専攻じゃないけど、誰にも負けない、みんなを笑顔にするアイドルになるって決めたから」

花陽「少し遅くなっちゃったけど…、これじゃ、ダメかな…?」

親衛隊A「…っ!!小泉、さん…」

親衛隊A「私はっ…、くっ…!!そんな、そんなのっ…!!」

親衛隊A「そんなの信じられるわけないっ…!!あんな弱々しかったアンタが、そんなの…!」

花陽「本当だよっ!あの時は一人だったけど、今はひとりじゃない!」

花陽「真姫ちゃんが、ことりちゃんが、海未さんが、希さんが…それに、みんながいるってわかったもん!!」

花陽「もう弱くなんかない。私は、夢を叶えるの」

親衛隊A「っ…!!…だったら、私はどうなるのよ…」

親衛隊A「そんなあなたの夢を、粉々に壊した私は、どうすればいいのよ…?」

親衛隊A「許されないことをした私を…、笑顔にすることなんて…」

花陽「…大丈夫。私は…、私は、あなたを…許したいと思ってるから」

308: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/28(土) 00:09:33.61 ID:LLJaNH3wO
親衛隊A「…え?」

花陽「真姫ちゃんや海未さんは許せない、って言うかも知れないけど。でも、私はあなたを責めたりなんかしない」

親衛隊A「な、なんでよ…。それこそ、意味わかんないわよ…」

親衛隊A「私はあなたの夢をメチャクチャにしたのに…、どうしてそれを許そうなんて思えるの…!?」

花陽「私だって、どうしようもないことされちゃったら、許せなかったかもしれない」

花陽「だけど、ステージも衣装も、みんなのおかげでなんとかなりそうだし」

花陽「それに、誰かがどこかで許してあげないと、ずっと憎しみが続いちゃうでしょ?」

花陽「私はあなたと、憎しみあいたくなんてないから」

花陽「私を好きでいてくれた人なんだもん」

親衛隊A「ぁ…」

花陽「仲直り、したいの」

花陽「あなたがステージや衣装を壊しちゃったこと、反省してくれるなら、私はあなたの味方になれる」

花陽「誰があなたを責めたって、絶対にあなたを守ってあげる」

花陽「それが、友達、だから」

親衛隊A「っ…!」

花陽「それで、あなたは笑顔になれるかな?」

花陽「もう誰かを憎んだり、しなくて済むのかな?」

花陽「私に、アイドルに、幻滅しなくなれるのかな?」

花陽「…もしそうなら、それが」

花陽「私の、夢なんだよ」

親衛隊A「…ぁ、っ…!!」

親衛隊A「なんっ…、でっ…!!そん、なにっ…」

親衛隊A「優しく、なれるのよぉ…っ!!う、うぅぅっ…!!」

親衛隊A「うあ、ぁぁっ…あああぁぁぁぁっ…!!!」

親衛隊A「ごめんなさいぃっっ…!!ごめんなさい、小泉さんっ…!!」

親衛隊A「私ぃぃっ…!私っ…、あなたのことっ…!!う、うぎゅぅぅっ…!!!」

花陽「泣いちゃ、ダメだよ。こういうときは、笑おう?」

花陽「仲直りの秘訣は、笑顔から、だよ」

親衛隊A「うん、うんっ…!!ありがとうっ…、ありがとう…」

親衛隊A「花陽ぉっ…!!」

(泣きながら笑う私の前に、天使が微笑んでいた)

(笑える表現かもしれないけど、その時の私は本当に…、本当にそんな気分だったんだ)

309: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/28(土) 00:10:21.21 ID:LLJaNH3wO
真姫(集まってくれたみんなのおかげで、ステージの修繕は想像以上に早く終わった)

真姫(この修繕の最大の収穫は、足りなかったパーツを有り余りのもので補った結果、さらに良くなったってことかしら)

真姫(様々な部活から貰った、不要なモノやジャンクパーツをステージの飾りとして使用できた)

真姫(吹奏楽部の金管楽器たち、映画研究部のフィルム、演劇部の小道具など)

真姫(さらに、衣装の一部を演劇部の衣装の一部をまるごと移植、なんてことも。…これはことりのアイデアだけどね)

真姫(そのおかげでより一層、異世界…、様々な空間に放り出されたイメージを強めることに成功できた)

真姫(あらゆる時間、世界観、この世界だけでなく、平行する他の世界までも取り込んだ、ゴチャゴチャな、しかしながら統一されたステージ)

真姫(それはまさに私たちと同じようで、そして、このUTX学院をも象徴している)

真姫(趣味も、得意なことも、好きなものも嫌いなものも、住んでる環境や価値観だって誰ひとり違う)

真姫(下の階でやってる授業と、上の階でやってる授業は、全くかけ離れている)

真姫(そんな空間が混じり合って、なお共存している。UTXは、一つの異世界と言えるかもしれない)

真姫(このステージは、そのUTXをこれでもかと表現している)

真姫(私たちこそが、UTXの名を背負うものなのだと、声高に主張している)

真姫(なぜなら)

真姫(ここは学校で、私たちはスクールアイドルなのだから)

真姫(A-RISEだけが、スクールアイドルじゃない)

真姫(私たちこそが、UTX学院のスクールアイドルなのよ)

屋上

~♪

映研部長「…はいカットォッ!!お疲れっ!」

海未「ど、どうでしたか…!?どこか映像に不備は…!」

真姫「…うん、うん…。大丈夫!これなら完璧よ!!画質も最高レベルだわ!」

ことり「やったぁぁっ!!成功だぁっ!!」

花陽「うんっ…、よかった…!一時はどうなるかと思ったけど、本当によかった…」

海未「それにしても、協力していただいた部の皆さんには本当に、どれだけお礼を言っても足りませんね…」

ことり「まさか校内での撮影に部室まで貸してくれるとはねー。みんな優しい人ばっかり!」

真姫「えぇ、そうね。…彼女とも、もう争い合うようなことも、なさそうだし」

花陽「うん。今度から何があっても協力してくれる、って言ってた。…みんなも許してくれて、ありがとう」

海未「花陽は、少し優しすぎるかもしれませんけどね」

ことり「そこが花陽ちゃんのいいところなんじゃなーい!」

真姫「みんながみんなのいいところをカバーしていく、それがC☆cuteだからね」

花陽「あ、そうだ!今日希さんが撮影終わったらみんなでご飯食べに行こうって!」

真姫「あぁ、そういえば。…奢りですってよ、希の」

ことり「奢り!?これは行くしかないね!」

海未「元気ですね…とはいえ私も…、そう聞くとお腹が空いてきました」

真姫「じゃ、パーっと打ち上げと行きましょう!」

一同「「「うんっ!!」」」

310: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/28(土) 00:11:00.01 ID:LLJaNH3wO
真姫(撮影した映像を編集して、アップできるのは数日後くらいでしょう。おそらく、ハロウィン前後になりそう)

真姫(アキバハロウィンフェスタでのA-RISEと、どれだけ張り合えるか…)

真姫(けれど私たちなら…、きっと成し遂げられると信じている)

真姫(このライブが、革命の足がかりになれるって)

翌日 月曜日

1年C組前

花陽「…本当に、いいの?その気があるならあなたもアイドルに…」

親衛隊A「いいのいいの!花陽のおかげで許されたって言っても、私のしたことをなかったことにはできないし」

親衛隊A「それに、今はアイドルになるってより、もっと大きな夢ができたから」

親衛隊A「…絶対にあなたたちを、スクールアイドルの頂点に立たせるって夢。私がアイドルやるとしたら、その後よ、きっと」

花陽「うんっ、ありがとう!」

親衛隊B「ちょっと!小泉さんを独り占めはズルいわよ!私も話させなさい!」

親衛隊C「っていうかいつの間に呼び捨て!?ズルいですの!わ、私も…は、花陽…ちゃん」

親衛隊C「む、無理ですわ!神々しすぎて!」

花陽「あはははは…」

「…そこ、どいて。通行の邪魔」

親衛隊B「あ、ごめっ…、あっ!」

凛「…何?」

親衛隊B「…な、なんでも…」

花陽「…凛ちゃん」

凛「あれー?誰かと思えばクズの小泉さんじゃなーい。まだ学校来てたんだー」

凛「アイドルはまだやってるのー?凛の辛辣な激励でもうやめちゃった?」

花陽「…まだ、続けるよ。少なくとも、A-RISEを超えるまで」

凛「まだ、言ってるの?それ。…ハァ、懲りないなぁ…」

凛「小泉さんは弱い人間なの自覚してないの?あなたがA-RISEを超えるなんて夢のまた夢なんだよ?」

花陽「うん。私一人なら、弱い人間だよ。…でも」

花陽「私には助けてくれるたくさんの人がいるから。だから負けない」

花陽「必ず、勝つって決めたんだ」

凛「…なんか、違うね。こないだと、感触。…ま、いいけどねー」

凛「現実を見れないってのは幸せそうでいいにゃー。じゃ、凛はこれでー」

花陽「凛ちゃんっ!」

凛「…なに?」

花陽「…ハロウィンフェスタのライブ!私、絶対に見に行くから!頑張ってね!」

凛「…」

凛「…が、頑張るにゃ。応援ありがと…。ば、バイバイっ!!」ダダッ

親衛隊C「…なんですの?今の間…」

親衛隊A「多分、知り合いとしてかファンとしてかの扱いに迷ったんじゃない?」

親衛隊B「なんか照れてて笑えたねー…!ぷふっ…!!」

311: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/28(土) 00:11:40.14 ID:LLJaNH3wO
花陽「凛ちゃん、私、絶対に負けない」

花陽「もう諦めない。逃げたりなんてしない」

花陽「いつかあなたを、超えてみせる」

花陽「あなたが認めてくれるアイドルに、なってみせる」

花陽「だから、そのときは…」

花陽(…これは、受け売りだけど)

花陽(でも、どうしても言いたかった言葉)

花陽(私の、決意の言葉)

花陽「もう一度、友達になろうね」

もしライブ! 第五話

おわり

312: ◆Qe7X7xrNvI 2016/05/28(土) 00:13:35.22 ID:LLJaNH3wO
以上、5話でした ライブでやった曲はご想像にお任せします
明日もきっとこの時間 なるべく日は跨がないようにしたい ほなな
313: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/28(土) 07:11:44.57 ID:Hw9KG6/ao
ういういおつおつ
久しぶりにMuse読むかな・・・

続きますm(__)m

元スレ
タイトル:もしライブ! ~もしもμ’sのみんながUTX学院生だったら~ 前編
URL:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1464010883/
掲載サイト:SS速報VIP@VIPサービスに投稿されたスレッドの紹介です 

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